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キャリアコンサルタント講習「組織と仕事の特性を知る」

先日、キャリアコンサルタント講習に参加しました。今年2つの目に受講するものでしたが、久々の対面での講習で受講生がたったの4名、それに対して講師2名という非常に充実したものでした。対面での学びはいいですね!初めて会う人たちと終日ご一緒して、少し緊張しつつも新鮮な体験でした。 

テーマは「組織と仕事の特性を知る」です。地味なテーマに感じられますが、キャリアコンサルティングではさまざまな業界のクライアントとお会いしますので、業界ごとの特性と、それによってどんな組織や働き方になっているのかを知っておくことは重要です。

前回の講習では「価値観」がテーマでしたが、今回は具体的なものを扱いなかなか実践的でした。

ロールプレイ

ロールプレイのウェイトが高めの講習でした。ロールプレイというのは、架空の相談ケースを設定して、クライアント役、キャリアコンサルタント役、オブザーバー役(会話のやりとりの記録を取りながら観察する人)の三者で行うものです。

1つの相談ケースのロールプレイをじっくり30分間かけて行いました。さらにクライアント役を講師が担当しましたので、非常に実践に近いものでした。

キャリアコンサルタントの講習では、講習生どうしがクライアント役、キャリアコンサルタント役、オブザーバー役を交代で行うことがよくあります。講習生の人数が多いため通常はこのようにせざるを得ないのですが、盛り上がりに欠けることも多いのです。

クライアント役を担当する人は、自分が演じるクライアントの背景や相談内容について紙に書かれたものを渡されてすぐに始まるのが常で、キャリアコンサルタント役の人に突っ込んだ質問をされると答えられないこともあります。そして、クライアント役を担当するのもキャリアコンサルタントですから、どうしても会話が予定調和になりやすいという難点があります。その点、今回は講師がクライアント役を務めてくれましたので、クライアントの設定に奥行があり、受け答えも手ごわく、実践さながらの内容・質になりました。

ケース:百貨店からアパレルへ転職したが、うまくいかず悩んでいるクライアント

クライアントの背景と相談内容は、「百貨店でマーケティングやマーチャンダイザーを長年やっていて実績があった人がアパレルに転職したらうまく行かない。やることなすことがうまくいかず、上司に叱責される。合わないところに移ってしまったような気がする。上司には発注計画が違うと言われるが、何がどう違うのかを教えてもらえない」というものでした。

転職先のビジネスモデルを理解しているか?

このロールプレイの最大のポイントは、クライアントが転職先のビジネスモデルを理解していなかったという点でした。百貨店は欠品を出さないことが大切(百貨店は売れ残ったものはメーカーに返品できる。欠品を出して機会損失するのは避けるべきだとされている)、しかし製造小売り業では製造したものは売り切ることが良しとされるというビジネスモデルの違いがあります。この業界の特性をキャリアコンサルタントが知らないと、クライアントの抱えている問題が把握できません。このまま延々と話を続けて、クライアントと一緒に迷宮入りしてしまいます。

クライアントは百貨店での経験から欠品を出さないよう、昨年の実績よりも多めに発注していましたが、それが間違っていたというわけです。製造小売りでは欠品を出すことよりも、製造したものが売れ残ってしまうことが問題です。そのことを理解していなかったため、上司から違う、何もわかっていないと言われていました。

転職先では教えてもらえないの?

百貨店や製造小売りのクライアントを持ったことのない私の素朴な疑問は、「百貨店と製造小売りのビジネスモデルの違いは、その周辺で仕事をしている人たちにそこまで知られていないものなのか(一方で働いている人は他方を知らないものなのか)、仮に知らなかった場合、転職先の上司や同僚が教えてくれないものなのか?」というものでした。失礼な言い方になるかもしれませんが、これほどシンプルなことで躓いているケースに私は出会ったことがありませんでしたので、正直なところ驚きました。

講師にこの疑問を尋ねたところ、似たようなことで悩んで相談に来るクライアントはたくさんいるそうです。中途採用で入社すると上司も同僚も教えてくれない、お手並み拝見といった態度であえて傍観していることがままある、とのことでした。

入社してしばらくは気軽に相談できる人(他部署の同僚など)が社内にいないことが多いので、上司や身近な同僚に教えてもらえない状況だとしたらかなりキツイですね!

中途入社する人に優しい会社は存在すると思いますが、こんなにシンプルなことでつまずく中途入社組も少なからずいるようです。中途入社した人がなるべく早く組織になじんで実力を発揮してくれたほうが、みんな助かるのではないかと私などは思うのですが。。。もとからいる人たちにライバル視されてしまうこともあるようです。

キャリアコンサルタントは、問題解決する人ではありません

キャリアコンサルタントは、クライアントに代わって問題解決する人ではありません。対話を通じて問題が明かになったら、クライアントが自ら問題解決できるよう支援します。先ほどのロールプレイのケースのように、「製造小売りはモノを売り切るのが期待されているのに、クライアントは欠品を出さないように多めに発注していた。そのことで上司の叱責を受けて、本人が苦しんでいた」とわかったら、この問題を解決するためのアクションをクライアントと話し合います。

クライアントが取り組めそうなアクションのアイデアが出てきて、クライアントがやれそうだという気持ちになっていたら、ひとまず相談は一区切りです。その後必要に応じてフォローアップを行い、新たな(別の)問題があればそれについて話します。

最後に感想(HSP的感想も少々)

今回の講習では業界の特性を知っておくことの重要性を学びましたが、そのほかにも得るものがありました。それは、「クライアントの話をちゃんと聞くのがやっぱりいちばん大事」ということと、それを踏まえてのこちらの発想力です。

クライアントは意識しなくても、さまざまなヒントを出してくれているのです。しかし、キャリアコンサルタントが自分の考えや経験にとらわれて、それに当てはめてクライアントを解釈したりアドバイスしようとしていると、相手を正しく理解できないのはもちろんのこと、間違った方向に導いてしまいます。

このことは、他の受講生のロールプレイを観察させてもらうと如実に表れているときがありました。本人(キャリアコンサルタント)は一生懸命にやっていて気づくのはなかなか難しいものだと思います。キャリアコンサルティングでは、基本的にクライアントとキャリアコンサルタントの二人きりで行われ、第三者が見ることはありません。ときどき、ロールプレイを他者に客観的に見てもらって、改善点を指摘してもらう必要があります。

最後に、HSP的な感想を少し添えます。HSPに興味がない人は読み飛ばしていただければ幸いです。

HSPは感情の変化を敏感に感じ取ることに長けていますし、相手が言えないでいることに気づいたり、不足している情報を察知して質問したりすることも得意なので、キャリアに限らずカウンセリングをする側というのは向いていますね。そして良い相談相手になるために不可欠ともいえる発想力についても、想像力が豊かなHSPにとっては得意分野だと思います。

引き続き精進します!

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