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かなしみを共有するということ


最後の小生おじさん


 小生は物心ついた頃から、悲しいことや辛いことがあった時に、誰かと共有することで気が安らぐという言葉の意味を理解できなかった。話すことで問題が解決するわけではないのに、それは悲しいね辛かったねと言われたところで、だからなに?わざわざ話したのにそれだけ?と怒りが先に立ってしまうのだ。聞いたからには何か解決策はないのかと。この思考が相手にとって理不尽に感じられるであろうことは、ドラマや小説や映画で学んでいた。どの物語でも、話を聞いてもらえた人物は「気が楽になったよ。聞いてくれてありがとう」と感謝を伝えることを知っていた。そういうものである、ということは知っているから、話を聞くよと言われれば「ありがとう。聞いてほしい時にはお願いするね」と伝えて決して心を打ち明けることはなかった。


 そんな小生が気が安らぐのは、河原でぼんやりしているときと、ポッドキャスト番組の5点ラジオを聴いているときだった。水の流れる音を聞いていると、だんだんと心のささくれが抜けていくような気がした。そして5点ラジオを聞いている時も、何故か心が軽くなるのだった。個々の悩みをお便りにしてくるひとがいる。しょうちゃんとヴァジャさんがそれをけらけらと、笑いに転換してしまう。5点フレンズと呼ばれるリスナーたちがそこに便乗して奇想天外なアイデアを出し、大きな笑いへ膨らませていく様子を眺めるのが好きだった。水の流れる音も5点ラジオも、私が抱える問題を解決するわけではないのに、気を楽にしてくれていることは確かだった。そして、水が流れているからなんなの?2人して笑ってばかりでなんなの?と理不尽な怒りも沸いてはこないことが、ドラマや小説の中にみた人間らしくいられているようで嬉しかったのだ。


 「今月をもっていったん5点ラジオをお休みさせていただきます」と、突然の報告があったのは昨晩のことだった。5点リスナー有料会員限定の、LINEライブでの告知だった。「会員の皆様にお願いがあります。2月19日の放送で一般公開するまでは、決してこのことを匂わせたり、追悼ポエムを書いたりしないでほしいのです」

 5点ラジオが終わってしまうショックと悲しみに、匂わせやポエムを書いてはいけないということの重大さを、そのとき我々小生たちはまだ気がついていなかったであろう。その日は早々に眠りにつく者、まだ夜勤のため聞けていない者、ショックから抜け出せない者、様々な思考と共に一晩が明けた。

 小生は、仕事を休んだ。5点ラジオが自分の心を占めていた空間の大きさに今更ながら気がつき、これからその空間を何で埋め、何を心の支えにしたら良いのか分からず、眠ることができなかったのだ。中年の男が、スーツを着て歩きながら泣いてしまいそうだった。情けないと思って構わない。実際そうなのだから。

 腫れた目のまま、布団の中でXやスレッズを覗いてみる。きっと5点フレンズの皆が、この悲しみを共有しているはずなのに、誰1人このことを口にはしていない。あの人も、あの人も、あの人もである。なぜ?だって、大好きな二人のお願いだからだ。

 誰もが何かを、匂わせたい。有料会員だから先に知ってるんだけどってマウントしたい。そして寂しさを共有したいはずだ…!どうにか笑いに転化したいはずだ、5点フレンズなら…!
しかし彼らは、5点ラジオへの愛を、沈黙を持って、たったいま、全員で、表現しArtしているのだ…!


 そして、小生は気がつくのである。

これが、「かなしみを共有する」ということなのだと!(休)


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