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イノベーション用語解説:特許牽制情報

こんにちは。InnovationCapital Pathfinder(ICP)運営チームです。

こちらの記事では、事業創出に於けるキーワードとなる
イノベーション用語の中から【特許牽制情報】についてご紹介します。

「特許」という文字が入っているので、皆様の中には知財部の方(若しくは研究開発の方)向けの難解な専門用語であるイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、この【特許牽制情報】はイノベーションに関わる方であれば全ての方に知っておいていただきたいキーワードです。よろしければ是非、最後まで御覧ください!!

❏ 特許牽制情報とは

《 アスタミューゼの定義 》
後発技術が特許出願された際、先行技術が特許審査官により拒絶理由等の事例といて引用される(=被引用)情報のこと。先行技術により後発技術の特許権利化が阻害される為に「特許牽制」という言葉を用いています。

この【特許牽制情報】にて、自社で出願している特許がどの様な他社技術の特許化を阻害したか確認することで、技術自体の新たな活用可能性について知ることができます。

言葉の定義だけではイメージがつきづらいかと思いますので、続けて具体的な事例をあげながら解説を続けてまいります。

❏ 特許牽制情報の具体的な事例

例)大手自動車部品メーカーの牽制情報

牽制情報

上図は大手自動車部品メーカー(左側)の「排ガス浄化装置/多孔体ガス浄化材」の特許が、大手飲料メーカー(右側)の「液体ろ過ミクロ孔吸着剤」などの特許出願を牽制している例です。

大手自動車部品メーカーA社は「排気ガスを浄化するための材料」を新たに発明し活用する目的で特許を取得しています。この特許が後年、A社とは別の飲料メーカー複数社(B社、C社、D社など)の特許出願時に、特許審査官が拒絶理由として引用され、出願が牽制されている事実が見つかりました。

❏ 特許牽制情報から見えてくること

ここから見えることとしては、A社の保有する技術は当初目的通りに【排気ガスを浄化するための装置・材料】として活用できることは勿論、この特許を起点として想定外の活用方法である【飲料のろ過フィルタ】として新たに活用出来る可能性がある、ということです。

  当初想定  :【排ガス浄化材】
    ↓
  活用可能性 :【飲料のろ過フィルタ】

もちろん排ガス浄化材の技術をそっくりそのまま転用できるかどうかは別途検証が必要ですが、例えば当該領域の研究・開発を新たに進めたり、若しくは不足する技術を他社から調達したりすることにより、新たな市場参入への切っ掛けとすることも充分可能であることは想像に難くないかと思います。

この様な形で自社の技術が当初想定とは別の形で活用できる余地があることを知ることにより、技術を理解している内部の方が見落としがちな新たな研究テーマや用途開発の方針について見出すことが可能となるわけです。

❏ 牽制情報の調べ方(無料のツールを使う方法)

続いて、この特許牽制情報の調べ方についてご紹介します。

無料(かつ登録不要)で調べるためのスタンダードな方法は
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 ・J-Platpat
 ・Googleパテント
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などから特許検索を行って調べる方法です。
1件1件情報を拾い上げていく際の手間がかかるのでアイデアの探索には不向きですが、単に牽制情報を見たいというだけであれば目的を果たせます。

※今回はご参考までにJ-PlatPatでの検索方法を記載します。

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①J-PlatPatにアクセス
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/

②該当の特許を検索
(メニューから「特許・実用新案検索」に入ると詳細検索ができます)

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③出願番号や発明者などから自社の特許を検索(キーワード検索)する

④検索結果一覧から、特許の「経過情報」(右側)を見る

経過情報

⑤表示されたPDFファイルから内容を確認する

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以上です。

J-PlatPatの特徴を改めて纏めると以下の通りとなります。

【J-PlatPatの特徴】
 利点:
  ・無料で使うことができる
  ・事前登録不要
 課題:
  ・活用したい特許が明確になっていない場合は探索に時間がかかる
   (1件ずつ調べる必要がある)

❏ 牽制情報の調べ方(ICPを使う方法)

今度はアスタミューゼが提供しているInnovationCapital Pathfinder(ICP)を活用した探索方法についてご紹介します。

アイデアの探索に強みをもっている為、どの領域に牽制情報が発生しているかを俯瞰して確認しながら探索することが可能となります。

 ※実際に操作している動画はこちらから見ることができます。

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①InnovationCapital Pathfinder(ICP)で企業名を検索

検索ボックス

②対象企業の特許牽制マトリックスが2-3秒で作成されます。
 マトリックスの交点(ピンクの箇所)に牽制が発生しています。
  
(縦軸:技術分類(IPC分類) 横軸:136の有望成長領域)
 ※サンプルでキヤノン株式会社を検索してみました。

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③マトリックスの交点をクリックすると牽制情報が見られます。
 (左側:牽制元情報  右側:牽制先情報)

詳細情報

④ +詳しく見る をクリックすることで特許詳細が見られます。
  ※出願番号をクリックすると企業情報/発明者情報も閲覧可能です。

展開

⑤出願番号をクリックすると astamuse.com の該当特許に繋がって更に詳しい情報を確認することができます。

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⑥気になる牽制関係はブックマークで保存してメモがつけられます。

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以上です。

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特に特許についての専門的な知見を持っていなくても探索は可能ですし、お詳しい方であればその分深堀りしながら取り組みを進めることができます。

InnovationCapital Pathfinder(ICP)の特徴は以下の通りです。

【InnovationCapital Pathfinder(ICP)の特徴】
 利点:
  ・検索が簡単
  ・技術分類や有望成長領域毎に俯瞰して情報が見られる
  ・アイデアのメモができる
 課題:
  ・有料サービス

❏ さいごに

解説は以上となります。
特許牽制情報、意外と簡単に調べられそうではなかったですか?

近年はこの特許牽制情報を用いて特許の価値を評価したり新たなアイデアを探索したりする取り組みが大きく広がってきていますので、皆様も是非新たな事業探索の際に、特許牽制から導き出す考え方を業務の中で取り入れていただければと思います!!


(運営チームから)
イノベーション用語解説の記事は今後順次増やしてまいります。
今後解説を希望されるキーワードがあれば遠慮なくお知らせください。
(♡スキ、もしくはフォローもお待ちしています!!)

それでは、また宜しくおねがいします。

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InnovationCapital Pathfinder(ICP) 運営チーム

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