物価高と戦うアイドルオタク

CD全形態約4000円は出せるのに、卵一パックには手を出せない。遠征までの新幹線代は出せるのに、電車の運賃の数十円の値上がりが痛いと思う。同じツアーや舞台でも当たるなら数回行きたいと思うし、円盤なんてなんぼあってもいい。このご時世で奨学金を抱えながらの一人暮らし、余裕がある生活とはいえない。仕事や学業、人間関係、生きてく中で悩みは色々あるが、推しがいるだけで解決できるわけでもない。正直「推し」がいなくても生きてはいける。でも生活の中でアイドルは必要、卵と同じくらい。

知り合った人が同じアイドルを好きだった。メンバーの舞台に行った話をしたら、「1人で舞台まで行くなんて本気ですね。」と言われた。えええ???単番は単番の良さがあるでしょ?!そこじゃない?ライブだけが現場じゃないよ??そこでもない?推しの主演舞台行くのって本気なのか…?絶対に深い意味はないのに、サラッと言われたことが一言一句引っかかってしまった。オタクという生き物、非常に厄介。そのアイドルが好き=アイドルオタクとも違う。好きの尺度は人それぞれ、自分のスタンスを押しつけるのは絶対に違う。ただ私がアイドルを眺めている時はいつだって本気だよと叫びたい。厄介すぎてそのことがきっかけで、アイドルを応援することについて今noteまで書いてる。

アイドルを応援するのはお金がかかる。収集癖はないものの、円盤は全形態ほしいし、ライブや舞台に1公演は行きたい、最低限のグッズは欲しいし、欲しいなと思った雑誌、生写真は家に置いておきたい。特に高校生の頃はTwitterにいる先輩オタクたちを見ながら、CDや握手券の枚数、現場の数、遠征の様子を見ながら自分はそこまで出せないな、羨ましいな…と思ったこともあった。裕福とはほど遠い家庭で育っている中で、バイト代をアイドルだけに注ぐことはできなかった。CDショップで通常盤1枚を手にして、「ここにお金を使っていいんだろうか/1枚しか買えなかった」と葛藤を感じることもあった。でもアイドルが大好きだった。学生を終了し、夢にみた社会人オタクになれた。社会人オタクは非常に楽しい。やっぱり経済的にも精神的にもゆとりが必要な趣味に感じる。

推しがいても辛い時は辛いし、季節の変わり目には風邪も引く。ただ、「推し」の存在はささいな活力になって生きがいになっている。SNSやYouTube、ブログ、メディア出演、円盤発売日、メンバーの誕生日、結成日、自分にとって何でもない日が楽しみになるし、少し先まで生きる予定を与えてくれる。素晴らしい。特に現場にいくというのはすごい、当落が出てからの約1ヶ月、絶対に体調を崩さないようにしようと誓い、食生活を改める。日常生活の嫌なことが、来月ライブあるし…で少しだけ解決することもある。現場に行くという口実で服を買い、美容院に行く。遠征先のホテルを取り、周辺の美味しいご飯を調べる。少しだけ早起きし、持っていく生写真を選び、アクリルスタンドをポーチに入れ、いつもよりノリノリでメイクをし、電車に乗って現場に行く。こういう時間も含めて自分にとって大切な時間になっている。自分のために本気でアイドルを応援しているんだと思う。

自分の好きや熱量を人と比べて落ち込まないでほしい。アイドルはいつだって平等に愛を与えてくれる。アイドルを応援するのは義務でも強制でもない。ただ彼女たち/彼らが本気でぶつかってアイドルをしている姿、こちらも本気で見ていたいし、少し先の未来を見るために健康でいたい。

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