50戦目1998年7月8日 己に挑む

「もし、時間が戻ったら」
そんな話を耳にします。
二度と経験したくはないので戻らなくていいと思います。
でも、


「相手がいないんだよ」
未払いのファイトマネー、公約通りならマンション買える程、
そうでないにしても数百万滞納していました。
その癖、こちらの弱味につけ込むかの様に、試合を組むのです。

試合しなければ選手としての感覚は落ちていきます。
だから、もらっていなくても、もしくは、もらえないに
してもやるしかないのです。
最後まで頑張りたいですから。

同じ階級では目ぼしい候補がいないから上の階級の選手の
名前を出しました。
断りました。

でも、決まりました。
家内が出産間近で嫌でしたが、そもそも結婚していることも
知らせていないので、そんなことは関係ありません。
無様に敗けました。

勝手に弱くなって自主的に引退すれば堂堂と踏み倒せる
と考えてもいないでしょう。
はなから堂堂と踏み倒すのでしょうから。

産まれてくる子だけが僕の希望でした。
その頃の僕には、希望を持つことが出来ませんでした。
家内は、いつ産まれてもおかしくない状況でした。
「合宿をやるから来い」
広報から電話がかかってきました。

断りました。
「マスコミも取材に来るから、お前が来ないと取材にならない
から来い」
広報は語気を強めて云いました。
全く身体を動かしてもいない僕には、辛いものでは
ありました。

取材すらされたことのない僕に勝った選手は一生懸命
自分を演じていました。

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これがなんのことやらか、ようやく 理解しました。 どうもです。 頑張ってホームラン打とうと 思います。