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僕と僕の中を垣間見る5

ここから見る君は本当に退屈そうだ。
無理もない。ベッドから動けないばかりか
これから先4ヶ月以上も入院するのだから。

俺は今日もベッドでテレビを見ている。
毎日それだけだ。
ルーティンなんてあったもんじゃない
決まった時間に先生と看護師が見回りに来て
決まった時間に飯を食って
決まった時間に寝るだけだ。

ある時から見回りに来る看護師が当時で言う
准看護師の若い女の子が見回りに来るようになった。
最初はなんてことはなかった。
でも毎日接しているうちに仲良くなってきたんだ。



そういえば一人だけ随分仲良くなったんだっけ。
あの准看護師の女の子。
こちらから見ててもお互いが仲良く見えるよ。
君の左足の状態も随分良くなってきてたんだ。
でも喜んでいたのも束の間。
その女の子がどういう子なのか知ることになる。

俺はいつも待ちわびていた。
准看護師のその子が来るのを
その子と話をするのが楽しくて仕方がなかった。
それなのに!
ある時別の入院している患者の話が耳に入った。
あの女、3分100円だってよ、随分、安い話だな。
???・・・


そう、君はあの時茫然自失の状態だった。
それから君の生活は変わらないまま高校生活を終えたんだったね。
氷河期世代と言われる君はまともに就職も出来ず何となく生きていたんだ。

俺は荒れていた。
高校が工業高校だったこともあって
工場の製作関係で働いていた。
毎日毎日同じ日々。
いつの間にか俺は荒れていたはずの感情すら
無くし始めていた。



僕はなんてずっと無駄な時間を過ごしていたんだろう。
ここから見る君はまるで人形のようだ。
嫌まだ人形なら良かったのかもしれない。
人形ならそんな感情すら持つことは無かったのだから。

俺はいつしかまともな感情をなくしていた。
いつもいつも今自分が生きる意味ばかり考えるようになり
いつしか、それは自分の命を軽んじる用になっていた。
今日は死のう、明日は死のう、明日こそ死のう。
どうしてこうなったのかもう自分では分からない。
いつの間にか俺の周りから友達もいなくなり
ずっと一人ぼっちだった。



君の今はいつの頃だろう?
毎日の生活に嫌気を覚えながらも
只々、同じことを繰り返している。
でも、そうある時に君の人生は
生涯で最大の転換期を迎えることになるんだ。

何年たったのだろう。
年が明けてまた新入社員が入ってきて
一通りラインを見て回り研修を受けるんだ。
もう、そんな時期か。
そんな事を思いながら作業を進めている。
死のうと思いながら死ぬ勇気さえもてず
毎日同じ製品を作り続けている。
この時、俺はある新入社員と出会った。


俺は自分の人生を大きく変える人に出会う事になったんだ。


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