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紫陽花とアゲハと色と

窓枠から見える外の景色は
スクリーンに映し出された
映像にようにも見える

その色の中に一輪だけで
咲いている紫陽花が目に触れ
いつの間にかその色に
引きずり込まれるように
それだけしか目に入らなくなっていた

アントシアニンの色からきているだろう
一輪だけの紫陽花の色が
ゆっくりと変わっていく
始めは白っぽいと思っていた色は
青になり紫を経てから
やがてピンク色に移ろいでいく

その変化に何の驚きもなく
見つめていたその紫陽花に
別の色が混じった

ヒラヒラと舞っている
風に流されて辿り着いたのか
自分の意志で到着したのか
その色の正体はアゲハ蝶だった

ゆっくりと舞っている
アゲハの黒と黄色のコントラストに
変わりゆく紫陽花の色が混じり
目に映る色彩が幾つもの色で埋まっていく

雨が降ってきていた
幾つもの色が輝きだし
色を反射し始めている

不思議と眩しさを感じえることない
自然の色の眩しさは目に入るものを遮ることは無い

一瞬、時間が止まった
見えていた景色はすべてなくなり
人に色を重ねている自分が見えた

人の色には目をふさぎたくなる時がある
幾つもの色が重なり合っている
人の色も自然に帰ると良い
紫陽花やアゲハの共存の色に

イラストはあぴさんにお借りしています

https://note.com/api19



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