絵ッセイ 「あなたはだあれ?」
これは、実際にいる女の子「あーちゃん」のことを書いたお話しです。
「あなたはだあれ?」
あーちゃんは、9cmのあーちゃんのことをまだよく知らなかったから、知り合うためにたくさんの検査と内なるコミュニケーションが始まった。
当時の北海道では最新の検査機での検査を受けるには特定の場所に行く必要があり、長時間の車移動をし最新検査機に何度も入りました。移動の道中はママとのドライブで観たことのない北海道の広大な風景や木々、初めての街並みに楽しんでもいました。
MRI、CT、PETなどで9cmのあーちゃんのこと細かく細かく調べていきました。
まっさらな天井が高い四角くひんやりした空間の中心に、ボンと宇宙船の中にありそうな検査機。検査中は看護師さんたちも室外へ出るのでその空間に一人目を瞑ったり開いたり。そしてまた瞑る。
検査中、目を瞑る世界の中でときたまこれまで感じたことのないジジジッファーッと何かを感じながら、長いのか短いのかどちらにも感じる空間にあーちゃんは自然と慣れていった。
あーちゃんは当時、中学3年生だったので卒業式が終わったら本格的な治療をすることとなった。
ある日、学校へいくと同級生が心優しく心がギュッとなったような目で
「あーちゃん、がんなんでしょ?」と問いかけた。
小さな田舎町なので知らぬ間にウワサ化していたらしい。
また他の同級生も同じような目で
同級生:「あーちゃん、死んじゃうの?腫瘍があるんでしょ?」
あーちゃん:「大丈夫。死なないよ^^」
同級生:「本当?どうやって?死んじゃうんじゃないの?だってがんだよ!」
あーちゃん:「大丈夫だよ^^」
あーちゃんはちょっとコジコジみたいなところがあるらしく、
帰り道に「ん〜?なんで?9cmのあーちゃんはそうなの?」という感覚もありつつも、家までの道中に溢れる空や植物に牧場の馬たちと戯れながら、今日伝えてくれた同級生の優しさと勇気に感謝が込み上げていた。
大切な一つを教えてくれたのだから。(今も)
9cmのあーちゃんの第一印象は、はじめは「あなたはだあれ?」とふんわりしていた。
それから知ったのは、9cmのあーちゃんやその仲間たちは" ある印象 "がつよいこと。それから、9cmのあーちゃんに関しては「上咽頭がん」という高齢男性がなりやすく10代に発症するケースが珍しいということ。10代は進行が早まりやすいこと。
そして卒業式の後、どんな治療を進めていくのかも見え始めた。
それでもあーちゃんは、卒業式や新しい高校生になる入学式にウキウキしていた。
そして日々の中、内なるコミュニケーションもより深まっていった。あの、ジジジッファーッも。
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