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甦るバンデェラ、ダニエレ・デ・ロッシ特集

ロマニスタとの別離、そして引退

2019年5月19日、ダニエレ・デ・ロッシはローマを退団した。そして、2か月後の7月26日にかねてよりファンを公言していたアルゼンチンのボカ・ジュニアーズへの加入が発表されたのは、ロマニスタのみならず、サッカー界に広く驚きを与えた。

現役生活19年目にして初めての移籍、初めての海外生活は決して順調とは言えず、ローマ時代同様に怪我に苦しむことになったが、それでもまだぼくたちのバンディエラは、その持ち前のローマ魂(ここはキャプテン魂と書くべきか)で、郊外の犬のようにピッチを駆けずり回ると心に決めていた。
しかし、年が明けた2020年1月6日、突然ボカ退団と現役引退は発表された。彼は後にこのときの苦悩と決断をこう語った。

長女は一人でイタリアに残っていた。思春期の女の子は父親を必要としていた。俺も彼女が側にいなくて寂しかったよ。これは家族の問題だった。俺は家族の為にもっと多くの時間を使うことに決めたんだ。
昨年10月、11月はまだまだ現役でプレーするつもりだったから、正直とても難しい時期だった。現役か引退か、そのことだけをずっと考え続けていた。ある朝に妻は天井を眺めながらずっと将来について考えている俺に気がついた。どうしても眠れなかったんだよ。でも俺は引退を決意した。そして、ファンとクラブに敬意を表するためにブエノスアイレスに戻り、経営陣に自分の口から家庭環境や気持ちを話した。
適当な事やまやかしは言いたくない。俺は永遠にボカの一員で、このクラブを心に残すだろう。もちろんローマはまた別の存在だよ。でも、ティフォージは俺を歓迎してくれて、この経験を魔法に変えてくれた。彼らは俺を兄弟のように迎え入れてくれた。だから個人的にもみんなにありがとうを言いたいんだ。

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