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しもやけ


小学生のとき、冬はわりと頻繁に手にしもやけができていた気がする。

昭和の半ば過ぎ、手袋もあったし、雪国に住んでいたわけでもないのに。
今より寒かったことは確実だと思うけど、それでも、なにかしもやけになるようなことしてたろうか。
寒い冬、うさぎ小屋のそうじ当番のときは水が冷たいなあと思った記憶があるけれど。
ただ、冬がもっと寒かった。
体育館の床も冷たかった。


週末は東京でも雪。

バス停での待ち時間、たまたま荷物が多いのと傘をさしているので、ポケットに手をつっこめなかった。
みぞれまじりの雪は重たいのに、それに勝る冷たい風とともに吹き付け、手がじんじんする。
待ち時間は10分無かったと思うけれど、1分経つのがめちゃくちゃ遅い。ようやく乗ったバスの座席に腰を下ろし、下から上ってくる暖かさに心底安堵した。
手をみると、真っ赤になっていて、あっなんか見たことあると思う。じんじんするのは続いており、なんだかなつかしい感覚。

突如、ピンクと水色のストライプとクローバーの編み込み模様のミトンがよみがえる。
友達と雪で遊んだあとだったろうか。濡れた手袋を外したときの真っ赤な手がじんじんして、小指の脇のあたりはもう痒い。
家に帰って、ストーブに手をかざし、熱気をあてるとさらにちりちりと痛痒くて、ああまたしばらく治らないかもと思う。




母さん、わたしのあの手袋、どうしたんでせうね。




巨匠の詩になぞらえて。
大切にしていたのに、いつのまにかどこかへ行ってしまった。
今朝は嘘のような青空で、切ないな。






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