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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな…
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて…
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2023年3月の記事一覧

一人で組み立てるのはたいへんだから

 夕方帰宅するとエレベーターホールの脇に大きな段ボール箱が六つ無造作に置かれていた。北欧…

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浅生鴨
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影踏み

 ルールはいたって簡単だった。影を踏まれた人が次のオニになる。それだけだ。だからみんなモ…

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浅生鴨
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一番の願い事

 金曜から徹夜が続き、なんとか井間賀が職場を出られたのは日曜の朝になってからだった。とは…

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浅生鴨
1年前
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本日の会見で

 補佐官がマイクを持つと会見場内のざわめきがすっと落ち着いた。 「それでは定例の官房長官…

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浅生鴨
1年前
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欲望の都市

 四十七階にあるオフィスの窓から眺める街は、不揃いな箱を並べて積み上げたようだった。屹立…

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浅生鴨
1年前
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埋め樫

 昨日会社から持ち帰った仕事を二階の自室で片づけたあと、利揮はひと息入れようと階段を降り…

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浅生鴨
1年前
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春が来る

 春はとても重要な季節だ。草木が芽吹き、生き物たちが活動を始める。すべての命が蒼く輝く季節である。  多くの人々が待ちわびるだけにかつては競争も激しく、二〇五十年代半ばには一部の大手業者が買い占めたため、多くの人が春を迎えないまま何年も過ごすことになった。  八十年代の終わりになってようやく春に関する法律が成立し、これで安定的に供給されるだろうと国民は期待したが、やがて国会議員や政財界の有力者の中に春を不正取得している者がいることが発覚し、大疑獄に発展した。 「我が党は国民の

¥100

出演料

 三年生の教室は校舎の四階にあって、窓際の席から遠くを眺めると桜の木が花を一斉に咲かせて…

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浅生鴨
1年前
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一番いい思い出

 高い天井に取り付けられた薄暗いダウンライトから落ちる明かりは、部屋のところどころに楕円…

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浅生鴨
1年前
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