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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな…
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて…
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2022年11月の記事一覧

白いほう

 白いほうの婆ちゃんが死んで親戚一同が集まったものの、黒いほうの婆ちゃんは自分の部屋でず…

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浅生鴨
1年前
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検温

 店内に入るとアルバイトらしき若者が甲斐寺に笑顔を向けた。 「手指の消毒と検温にご協力お…

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浅生鴨
1年前
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正式なポーズ

 帰宅すると玄関ドアの前に荷物が置かれていた。たいして大きくない封筒なのだからポストに入…

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浅生鴨
1年前
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パン食

 渡師はいつもどおりの時刻に家を出て駅へ向かっていたが、しばらくすると、道行く人がチラチ…

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浅生鴨
1年前
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機種変更

 売上税の税率が上がるという噂があるからか、新型機種がニュースで話題になったからなのか、…

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浅生鴨
1年前
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看板

 温泉町へ向かう列車の窓から流れていく風景を眺めているうちに、なんだか誘われたような気が…

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浅生鴨
1年前
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いつもそこにいる

 テーブルにバッグをひょいと投げ出してから、有音は冷蔵庫を開けた。レモンサワーの缶を取り出してプルタブを引く。  カショッ。  小気味よい金属音に続いて、ピチピチと炭酸の跳ねる音が耳をくすぐってくる。  エアコンのスイッチを入れた。暑さはまだそれほどでもないが、湿気が酷い。このまま夏になったらどれだけ暑いんだろう。  有音は何もない壁をぼんやり見ながら缶を口に近づけた。やっと週末なのだ。今週もいろいろあったが何とか乗り切った。  レモンの苦みが強い炭酸でよりいっそう苦く感じら

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半年後に会いましょう

 やや勾配が険しく足場も悪い林道を抜けると、ゴツゴツとした岩場に出た。山の向こうは空が青…

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浅生鴨
1年前
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古いタイプの自動販売機は

 頭上から降り注ぐ強い日差しは天豊の体力を奪い続けていた。額に浮かぶ汗が顔中を濡らし、び…

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浅生鴨
1年前
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