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浅生鴨の短編Z

月に二本の短編を掲載します。一篇ずつでも購入できますが、マガジンをご購読いただくと、ほんの少し割引になります。あとコメントは励みになります。誤字脱字の指摘も喜んで!(あまり喜ばな…
僕は締切りがないとぜんぜん書かないので、短篇集の担当編集者から「noteで連載しろ!」と強制されて…
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2022年6月の記事一覧

広島のおじさん

illustrated by スミタ2022 @good_god_gold  給食後の昼休みに、風介が一冊の雑誌を鞄から取…

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浅生鴨
2年前
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局地的なシラス

 本宮寺で城北線に乗り換えて六つ目。楓台の駅には一つしか改札口がない。上空から見下ろせば…

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浅生鴨
2年前
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鉄そば

 川沿いに一軒のそば屋がある。これが例の鉄そばだ。おそらく店主の名前が鉄だから鉄そばなの…

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浅生鴨
2年前
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キムチが減らない

 テーブルの上に並べられた料理を一通り眺めて、丸古は満足そうな笑みを浮かべた。頼んだのは…

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浅生鴨
2年前
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呼ばれたときには

 上座に座った丸古は、怒りに肩を震わせながら、睨みを効かせたギラつく目で集まった面々をゆ…

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浅生鴨
2年前
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契約は優雅に

 到着ロビーで砂原茂禄子は緊張を隠せずにいた。目の前にあるのが北出口の通路でまちがいない…

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浅生鴨
2年前
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戒奴の石

 城街の入り口に立ったヒガは遥か上空まで続く石積みの壁を見上げた。ここを超えなければ街に入ることはできない。壁には何本もの丸太を鋼で締め上げた巨大な門が取り付けられていた。固く閉ざされた門は街へ入ろうとする者を拒んでいる。ヒガは大きな荷物を背負い直し、静かに門へ目をやった。  甲冑を纏った衛兵が四人ずつ左右に分かれて立ち、両手で地に刺した槍を胸の前でしっかりと抱えている。門のすぐ右側には焚き火が設けられ、赤々とした焔を上げていた。パチと薪の爆ぜる音が大きく鳴るたびに黒い煙の塊

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星明かりと街明かり

 デンが町の東壁に着いたのは、ちょうどあののんびりと美しい鐘の合奏が終わって、残響が鳴っ…

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浅生鴨
2年前
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