Part 5『アルバムでやっとスタート地点』
『I am ASOBOiSM』も遂に最終回。
みなさんによく聞かれるトピックをお話します。
聞き手・原稿◎高木“JET”晋一郎
◎“銀行員”について
2019年の12月18日にはRHYMESTERの宇多丸さんがパーソナリティをされているTBSラジオ「アフター6ジャンクション」にもライヴ出演させてもらって。いまは辞めたんですが、当時はたまたま銀行で働いてたんで、インタビューで「普段は銀行で働いてます」って話したら、紹介記事に「銀行員ラッパー!」みたいなキャッチが ついてその部分でも注目されて(笑)。ただ、ずっと銀行で働いてたわけじゃなくて、派遣でいろんな職場を転々としてる中で、当時働いてたのが銀行っていうだけだったんですよね。でもオフィス街で働いてるのに、オフィスカジュアルどころか、アフロに派手な格好で出勤っていうのは、街からも完全に浮いてましたね(笑)。Zoomgalsの「Zoom」でも銀行の話をしてるのは、まだその時期までは銀行で働いてたから。
◎アルバムを出そうと思った理由
10月16日には1stアルバム「OOTD」をリリースしました。タイトルの「OOTD」は、Instagramでファッショニスタの人が使うハッシュタグで、「Outfit of the day(今日の服装の組合せ)」の頭文字を取った言葉からつけました。「今回のアルバムって『OLの一週間コーデ』みたい」っていうイメージが浮かんだんですよね。色んな想いやカラーがあるアルバムになったんで、服をコーディネートするみたいに、その日の気分によってリスナーにはセレクトして聴いてほしいなって。
「DWBH」以降、ソングライターとして全ての曲を平等に聴いてもらいたいという思いも強かったので、リリースする楽曲は単曲シングルは単曲としてリリースしてきたんですが、リリース楽曲も増えてくると「このまま単曲リリースばかりだと、これから聴いてくれる人はどこから聴けばいいのか分からなくなりそうだな」っていうのと、まだリリースしてない曲も増えてきたので、それを纏めてアルバムを作ろうと。だから、アルバムのために制作を進めたというよりは、積み重ねてきたものが今回のアルバムになった感じですね。それから、少しずつASOBOiSMを認知して好きになってくれた人がありがたいことに増えてきたのもあって、その人達に喜んで貰えるなにかを作りたかったというのもあります。
単曲でもアルバムでも変わらないのは、「自分自身の言葉」という部分ですね。日々思ったことを作品に落とし込むスタイルは変わらないし、「自分が何を考えていたか」「どう思っていたか」をテーマにするのは、ASOBOiSMのモットーだと思います。攻撃的に思われるような内容もあると思いますが、それは自分に対しての戒めという部分も大きいんですよ、それはどの曲でも。
アルバムは10月18日に行った「ASOBOiSM×なみちえ YouTube Live Stream」に紐付いた作品にもしたくて、リリース日は10月16日にしました。ライヴに関しては、弾き語り時代の経験から、正直苦手意識があったんです。お客さんを呼ばなくちゃいけない、告知も頑張らなくちゃ、友達にも声かけて……っていうのが、ちょっとトラウマで。だけどASOBOiSMはここから頑張らないといけない、って気合を入れ直したときに、企画ライヴはやってみたいと思ったんですよね。何をやるかは全く決まったり見えたりはしてない段階で、自分を追い込むためにもとにかく自分主催の企画ライヴをやろうと。それで今回はなみちえちゃんとのツーマンという形で構成して、配信の形で行いました。
◎ラッパー?シンガー?ソングライター?
私は曲の中で歌を歌っていたり、ラップを取り入れていたりするので、「ラッパーのASOBOiSM」とご紹介をうけたり、そう認識されていることもあるんですが、自分としては「シンガーソングライター」という表現が近いのかなと思っています。リスナーの人にどう認知してもらっているかにはこだわりはないので、「ラッパー」でも「シンガーソングライター」でもなんでもいいんです。ただ、それぐらいの自由度で、いろんな曲を歌っていきたいっていう気持ちは強いし、今回の「OOTD」を作ったことで、そういう風に認識してもらえるんじゃないかなって。
たまに「ASOBOiSMって自分で曲を作ってるんだ?」って言われて、ビックリすることもあるんですよ(笑)。女性シンガーゆえに、自分で曲を作ってないって思われてるのかなと悲しくなりますが、ゼロから作ってるのは自分です(笑)。もちろん、自分の作ったデモをアレンジャーさんの手によって素敵にしてもらう工程も込みで曲作りですが、ゼロからイチを生み出す作業は全部自分でやってるというプライドはあります。
◎これからのASOBOiSM
「Part3」でも話したように、「ASOBOiSMっていうアーティストはどうあるべきか」 っていうことは、プロジェクトの立ち上げの段階では考えていたんですが、「DRAMA QUEEN」のあたりから、正直それはどうでもいいのかなって思いはじめて(笑)。だから、気づいたらいまのASOBOiSMになっていた感触がありますね。でも、アルバムを通して聴いて頂ければ、そこには一貫したメッセージがあると思うし、自分としても「自分は何なのか」を、アルバムを通してなんとなく理解出来たんですよね。そしてアルバムとして纏めたことで、私と同じような音楽をやってる人は、そんなにはいないと思うし、新しい感覚とかシーンを作ることが出来てるのかもしれないっていう自信は湧いてきました。だからこそ必要なのは、誰に名前を聞いてもピンとくるくらいメジャーに売れることなのかなって。良い作品が出来たら、それをもっと広いところに伝えたいって思うし、だからこそ「アルバムが出来たここから」なんだなって改めて思いました。デビューがスタートかと思ってたけど、アルバムでやっとスタート地点に立ったんだなって。そしていまスタートを切ったなら、「ソングライター」として色んなことを表現したいし、それを積み重ねて、続けていけばその先になにかが見えるのかなって。それがいつ見えるのか、すごく楽しみです。
"PRIDE" Music Video
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