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『カレーの時間』読了 守るべきものを失うこと ※ネタバレ注意

あらすじ

親戚一同から除け者にされている頑固な祖父・義景と同居することになった孫の桐矢。
祖父のことは好きではいが、カレーを食べるときは打ち解けることができる。
カレーの時間を通して、祖父を理解して行って・・・。

周囲に嫌われる頑固親父

本作のキーマンである祖父・義景は、どうしようもない頑固ものだ。
男尊女卑思考が強く、吐き散らすようにしゃべる。

家はゴミ屋敷状態で、ゴミの分別も行わないため、近所でも嫌われている。

しかし、祖父の頑固な性格には、理由があった。

「女を守る」という強い意志

義景は、始終気が強く、周りを巻き込んで横暴な振る舞いをする。

しかし、長年大切にしてきた「女を守る」ことに終止符を打ち、義景は衰弱していく。

大切にしていた意思を失うことで、人はこうも衰弱するのか、と思うほどに。

それだけ義景にとって固い意思で、それのために必死に強く生きていたことが想定される。

精神と身体の強い繋がりを感じる先品でした。

老いについて考えさせられる

桐矢が嫌がる義景のだらしなさは、性格からくるものだけでなく、「老い」によるものがある、と分かるシーンがある。

鼻つまみ者の祖父・義景は一見元気そうであるため、親戚の誰も気づかないが、義景は着実に衰えていた。

どんなに強気な姿勢の老人であっても、周りの人間は、当人の「老い」について目を配る必要があると考えさせられた。

一貫して、読みやすく、面白い作品でした。
難解なミステリーとか読んだ後にいいかも。

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