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ヴァルキリーエリュシオンについて①


……あ――……



評判悪いなぁ――……


評判悪いよ……





――なにがって?

ヴァルキリーエリュシオンだよ!!!

1/4が星1つ?


こいつぁひでぇや。

いいけどね。
ゲームの面白さなんて自分がどう感じたかが全てでいいんだけどね。

幻聴くん
『みんなクソゲーって言ってるよ?アマゾンレビューだけじゃなくてSNSで有名なゲーム紹介や実況の人まで「これはあんまり……」って言ってるよー???』


あのね、そういうこっちゃ無いよ。
ものの良し悪しなんてのは。

その人が何を重視するかとか、
じゃああなたは何を重視するの?って、
感想ってそういうことじゃん。

他人はいいじゃん、他人は。
なんで感想まで他人に主導権渡さなきゃならないのさ。


……ん?
それで?

だったらお前はどう思ってんのかって?

はいはい。

予約して買ったし
かなり好きですけど何か??


※ちなみ今回の感想ですが
「物語・グラフィック・システム・まとめ」
の4本に分けて書きます。理由は1つ1つがすげえ長いから。

あと物語とエンディングのネタバレもばっちりありますのでごそのへん了承を〜〜。

では始めます。

📖感想〜物語篇〜📖


めちゃくちゃ面倒かもしれんがまずあらすじを読んでくれ。


主神オーディンと神狼フェンリルによる”神界戦争”の影響により、世界樹ユグドラシルに支えられた世界(神界・地上界・冥界)は滅びかけていた。
戦争は相討ちで終結したが世界の滅びは止まらず、ついに終焉を告げる”角笛ギャラルホルン”が吹き鳴らされた。

ラグナロクが始まる。

オーディンは世界の終焉=ラグナロクを止めるため、残された僅かな力で最後の使徒ヴァルキリーを創造し、世界救済の任を与える。


……ここから物語が始まります。
さあプロファイルをプレイ済みの方はこの先の展開の予想しましょう。
少し時間を取ります。

……
…………
………………

ほい時間切れね、鳴らしちゃうよブォー


正解。
オーディンは今回も悪役です


物語が進むごとに判明していきますが……

いや違うわ、最初からかなり胡散臭かったわこの人。

そもそも世界の終焉ラグナロクも
「あらゆる魂がユグドラシルに還ることで安定する世界のシステム」を
力を高めるため人間の魂を喰いまくって動作不良を起こさせたオーディンをはじめとした神族たちが原因です。

つまり、基本的に今の世界を保つ気なんてオーディンには最初から無いのです。

オーディンが言う「世界の救済」とは
一度世界を無に還し次の世界に移行する
という意味です。終焉と大差ないじゃん。

更にそれだけじゃありません。
オーディンはヴァルキリーにとって仇でもあります。

なぜなら彼女は「素質があるから」という理由でオーディンが集落ごと魔物に襲わせて殺したノーラという少女の魂で作られたからです。
自分の手駒を作りたい。という手前勝手な理由で集落ごと全滅。ひでぇ神様です。

かと言って
神界戦争を起こした相手のフェンリルが実はイイモノかと言うと?
勿論そんな事はありません。一緒に魂喰ってた神様ですから、言うまでもなくどっちも同じくらい自分本位。

じゃ両方やっつけちゃいましょう。

……だったら溜飲も下がるんですけどね。
そんな簡単な話じゃ無いんですね。

何故なら
ヴァルキリーエリュシオンの物語には「世界の不条理」というルールが敷かれているからです。

世界の安定、維持のためには純粋な神族の力も必要。
システムから純粋な神族が欠ければやはり世界は終焉を迎える。

そして、神界戦争を経てラグナロクが始まった世界には二柱以外もう純粋な神族は存在していません。
つまり、オーディンかフェンリルどちらかに味方しなければ世界は滅びてしまうのです。

独善的で仇のオーディンに協力するか?
信用できないフェンリルに協力するか?
ちょっと面白くなってきましたね。
世界の全てを知った時、あなたの選択は果たして?


登場人物

ヴァルキリー
オーディンに創造された”救済の使徒”。
主人公。
強い者の魂をエインフェリアとして使役する。
実は元人間で、ノーラという少女の魂を素体にして作られた。感情は出さないが真面目で素直な性格。
オーディン様
身勝手な神様。
世界の維持とかどうでもいい。気に入った女の子を捕まえてはヴァルキリーにする。
イーゴン
元騎士団長。
1人目のエインフェリア。
とにかく強い。姫様と良い仲になっても決して手は出さない忠義の人。本当に手は出さなかったのか?
守るべき姫様が薬物で化物になってしまい、自分もろとも手にかけ死亡した。
サイファ
やり手の商人。
2人目のエインフェリア。
体が弱かったが魂になってからは元気にアクロバットしている。口が多く芝居がかっているのはたぶん前職の癖。
流行り病に伏せた王子へ奴隷時代の恩を返すため新薬を開発するが間に合わず、自身も病に侵され死亡。
クリストフェル
英雄に憧れる姫様。
3人目のエインフェリア。
戦死した兄の名を継ぎ戦場に出る。自らの意思を示すため引き裂いたドレス姿がDLCで出てほしい。
不利な戦況のなか敵側の大将(王の弟)に嫁ぎ、毒花を使った口紅で殺害した後、恐らく自身もその毒で死亡した。
タイカ
賢女と呼ばれる存在。
4人目のエインフェリア。
メイクとファッションとギャンブルに興味がある。
要石に魔力を注ぐことで結界を張り町を守っていたが、その影響で体が異形化しつつあった。強力な魔物の侵攻から町を守り切れなかった事から不信を買い、守るべき人々に火刑に処され死亡した。
アルマン
「何か」を探し旅をする青年。
後に探しものが恋人のノーラだと判明。
不死者がうじゃうじゃいる場所や毒の沼みたいなのに囲まれた小島にも平気で来る。
言うことがいちいちちょっとだけキモイと感じるのはナイショだ。
ヒルド
フェンリルに仕える黒いヴァルキリー。
何らかの理由で人間の頃の記憶を取り戻しオーディンに反逆。何で鎧が黒いかは明かされない。
突然ウォーズマンみたいな理論を使ったり、協力エンドでは気のいいお姉さんぶりも見せる。
フェンリル
幼児性高い神様。
予言を恐れたオーディンにいきなりぶちのめされたり、事情を聞くかぎり苦労人。オーディンへの復讐のためにヒルドを奪った。彼は常に主観的なので、実際のところどれだけ真実を話しているかも不明だ。
不死者
「アンデット」と読む。個人的には「ふししゃ」と読みたい。かっこいいので。
沢山いるのは実は神族のせい。
デザインのパターンもっと欲しかった。
教官殿
チュートリアル卒業試験の相手。おスネが弱いベルセルク。クリア後はセラフィックゲートで待ってます。


今作は120分映画版ヴァルキリー

物語の印象についてこういう例えが使われているのを目にしました。

言い得て妙。
なのでそのまま使わせてもらいます。
今作はかなりストレートかつライトな展開方法になっているんですね。


「どうせオーディンは悪者だろ?」
→「悪者でしたー!」
「ヴァルキリーは人間でアルマンの恋人かな?」
→「でしたー!」

という具合に
見ている情報を追う限りどんでん返しはありませんし登場人物も少人数でわかりやすい。プレイしていて物語の内容を簡単に飲み込める作りだと思いました。


エインフェリアも全部で4人ですし。


……少ない。
ですがおかげで最後まで全員物語に絡んできます。
そして各エインフェリアを肉付けする要素も実はしっかりあります。

例えばサイドミッションで自分の死後の国の情勢を知るはめになったり、ステージ中コントローラーを放置すると”脳内井戸端会議”を始めたりもします。
死までのちょっと辛い事情が聴けるボイスドラマ(ヘッドホン推奨!)も良い。

劇中にエインフェリアを中心にした物語が無い分、こういった要素でキャラクターを浮き上がらせようというのはアリだと思います。
欲を言えばもう二人くらいエインフェリア欲しかったですけどね。

みんな聴いた?脳内井戸端会議
いいよねーこういう他愛のないやつ。同じ会話を何度も再生されるとヴァルキリーの頭が心配になったりもするけど
滅びゆく世界に想いを馳せるイーゴン。思い残すことがあるまま命を落としたので、この後ちょっとセンチメンタルな感じになります。
ヴァルキリーに人間味が出てきたことをみんなに報告するクリストフェル。魂を取り込んでいるので雑談も丸聞こえ。
特にお気に入りの会話。ヴァルキリーがエインフェリアみんなから愛されてるのも今作の特徴。リーダーだけど人生的には全員の後輩なので、末っ子的な愛され方をしてます。良い。


で?結局面白い話なの?

そう聞かれると
僕ははっきり面白かったと答えられます。

ただしこれはヴァルキリーというキャラクターをどれだけ好きになれるかにも依るでしょう。
なんでもそうか。

ヴァルキリープロファイルのように登場人物の物語を劇中にぎっちり詰め込んだ群像劇ではなく、ヴァルキリーを全ての中心として整理されたかなりストレートな構成。
ヴァルキリープロファイルの「レナスに関する話のダイジェスト」を見ている感覚です。

故にヴァルキリーが好きにならないと物語に乗れないし、故に重厚感が無いという感想もわかります。
僕はヴァルキリーの事が大好きなので面白い。という感じ(わかりにくいかな)

悪そうなやつは大体悪い。もっと捻くれた物語でもよかったかも。



全体として「初ヴァルキリー」を見据えた物語作りだと感じました。

シリーズファンより新規プレイヤー向けだと思います。
過去作についてもオマージュに留まり「これはプロファイルではなくエリュシオンなんだぞ」と言われているような感覚があり(これはゲーム全体通しても感じます)、プロファイルファンが求めるハードルとは違う競技をしてる作品だと感じました。


……え?
プロファイルと全然違うの?


「シリーズもの」を期待してる方には残念ですが、そうです。
しかし僕はそれで良いと思いました。
なんせ「エリュシオン」ですから。

エインフェリアの情報の補完をムービーでなくボイスドラマという形にしたのも、アクションの箸休め的な意味としても僕は肯定的です。
実際ちょっと休憩しながら聴いてられますし。


「違い」をプロファイルファンのあなたはどう受け止めるか?

先述の通りプロファイルのような大人数の事情が絡む群像劇ではなく、わかりやすさと飲み込みやすさに重きを置いた物語ですから。

そんなのはヴァルキリーシリーズじゃない!


とか言われてちゃうのも正直致し方ない。
何より想像で埋める物語の空白が多いことが引っかかる人も多いんじゃないかと思います。

内蔵された設定は決して薄くは無いんですが
それでも物語が薄いという声が多い印象なのは、劇中で設定の多くが表されていないからです。

これは想像が好きな人(僕とか)は楽しいです。
が、どうしても劇中で見せてよ!という人にはかなり物足りないと思います。
そもそも「想像しようと思える程前のめりになれるか」というハードルもありますし。

想像をさせるという意味では、ボイスドラマでの展開は「狙った」方法なのかも。



とはいえ3Dアクションの今作においては、この物語と展開方法も僕はアリだと思っています。

アクションゲームをプレイする前に (キャラの動きがちょっと硬い)CGムービーをずっと観続けるってどうでしょう。
それはそれでムービーゲーとか人形劇とか言われてたと思いません?

プロファイルの頃は「止め絵の顔グラフィックとドットのキャラクターによるムービー」だからよかったんですよね。
行動や表情の機微や空白をプレイヤー側がいくらでも好意的に想像できるので。
だから動きが少なくても観れちゃうし、想像を掻き立てられる分尚更思いも篭もるんですよね。
この辺りは描画方法の得手不得手ですね。

エインフェリアの人数についても、プロファイルだと魂を回収→ヴァルキリーに関わる物語が無く戦闘だけ参加。のようなエインフェリアも少なくなかったので……だったら少人数でも正解だったのかなと思えます。
これも好みですね。

ただ集落でも人にほとんど会えないのは流石に寂しかった。人が全く姿を見せないのは展開上必要だとも思えないので単純にモデリング時間の削減?
考察求む。

プレイ時間は?

個人的にはちょうどいい長さでした。

全エンディングをクリアした時点で30時間過ぎたくらい。
ヴァルキリープロファイルも大体一周それくらいだったので時間的にはほぼ同じじゃないでしょうか?

エリュシオンは一周ごとにエンディングが固定されないから短く感じるのかも知れません。
ていうか10時間でクリアとか言ってる人、ちゃんとボイスドラマとか脳内井戸端会議まで聴いたか?


エンディングは4種類
(僕は①のエンディングが好き)

①オーディンに従い世界を救済
②フェンリルに促されオーディンを浄化
③アルマンと逃避行
④ヒルドと協力しフェンリルもオーディンも浄化


①ではオーディンの思惑通り世界は消滅→再生し、ヴァルキリーはオーディンと共に新たな世界を守護します。

悔しい。

が、ヴァルキリーが残ったことで
世界がまた一巡したことで次こそは……とも思えます。

物語が短いからか今作で全て上手く行って大団円にまとめられるよりは、今後を想像できるくらいの内容の方が好みでしたね。
悪くない後味の悪さ。
そんな感覚になり①のエンディングが僕は好きでした。

あと続編が作られるならこのエンディングか②のエンディングが作りやすくて良いと思います。
②はオーディンを浄化しますが、一筋縄ではいかないフェンリルをなんとかするため救済の旅が待ってますからね。いやマジで続編待ってます。
③はわかりやすい逃避行です。バッド扱いなのかな?

で、気になるのが④ですね。

全ての情報を残さず集め、神族とラグナロクの真実に辿り着くとこのエンディングに行きます。
シナリオ的には多分これがグッドエンドなんでしょうね。


……ん?え?あれ??
④ってオーディンもフェンリルも殺るの??
不条理ルールは??

「世界の維持のために純粋な神族が必ず1人は必要」

世界の不条理がテーマと思われるこのゲームの物語において、多分それは本当の事のはず。

ヴァルキリーは半人半神なので条件に当てはまりません。
オーディンが憎かろうがフェンリルが怪しかろうが必ずどちらかに世界を委ねなければいけない。
もちろんその不条理はどのエンディングでも重くのしかかります。

本人も言ってます。


フェンリルもそれを盾にヴァルキリーを惑わしてきます。

どれほど邪悪でも純粋な神族は浄化してはいけないのです。世界のために。

やはり、どちらかを許して、主神に置くしか無いのか……


……しかし!
協力エンドではヒルドがそこに割って入ります!



……え?

……ど……
……どういうこと……??

ひょっとして
半人半神×2=純粋な神族ってこと??


どうもそうらしいです。

実際2人によって両柱は浄化され、魂はユグドラシルに返され、世界は再生を始めます。2人のヴァルキリーは1柱の神になりこの世界を維持します。
するらしいです。



………どういうこと???


到達に必要なアイテムや情報の場所は全てマップに表示されているので、実は一番たどり着きやすいエンディングでもあります。なんという不条理。

今回のまとめ

僕は好き。


でも、プロファイルファンの気持ちもとてもわかる。



過去作から完全に切り離された物語。
非常にストレートな展開。
少ない登場人物。

群像劇でなくなった時点でプロファイルとは全く別物ですし、ヴァルキリーとエインフェリアの関係性もプロファイルよりとても近い。
これを「ヴァルキリーらしくない陳腐な物語になった」と言われればその通りかもしれません。

しかも、そうであるにも関わらずちょっとだけ過去作の境遇を引用したキャラクターや唐突に現れる鈴蘭畑(僕が伏線に気づかなかっただけかも)などあるので、よりイライラする気持ちもわかります。

わかるぞ。

ヴァルキリーを終わらせられた!!

とか言いたくなるよね。

過去作がある時点でそれぞれの「ヴァルキリーと言えば」があって、新作とあればファンのそういった要求を満たしてくれることをどうしても期待しますよね。

全否定だって仕方ない。
というか今作ファンサービスをする気がほぼ感じられません。


だけどね

それでも敢えて言いたい。

終わりじゃなくてまた始まったんですよ。
せっかくだしみんなで応援しません?


傲慢ですね〜
ごめんなさいね〜

でも物語そのものにしても展開方法にしても、確実に良さや可能性を感じるんですよね。

今作をプレイするだけでもきっと光るものは受け取れるはず。
それにこのシリーズ(になったらいいな!)はまだまだ潜在能力あると思ってますし、
次作でプロファイルファンやシリーズファンをも納得させられるような大アップデートも充分可能だと思います。

いやマジでちょっとやってみて欲しい。
そんで色々想像してみて欲しい。

やろうよ!新品でも安いし!!


以上物語の感想でした。
次回はグラフィックについてになります。

ここまで読んでくれてマジ感謝。





おまけ(読まなくてもいい)

僕とて今作の物語を全肯定するつもりはありません。
そもそも自分が作った物語でもなければ満足なんてできませんよね。
だからこそ、断片的な情報から色々想像し”自分なりのヴァルキリーエリュシオン”を構成して楽しむ。マルチエンディングならそこに至る道筋も(見えていない部分を想像することも含めて)マルチでいいんじゃないでしょうか。
この楽しみ方はあらゆる創作物における自分の留飲を下げる方法でもあります。
想像しなさい!ということですね姫様。

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