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【ヤエン】東紀州シーズンインと釣りの原体験

好んでやっているが、全然よく分からない釣り。ヤエンである。

出会いはまだ私が30代前半のころ、GWごろになると決まって同じ浜にでかけ、キャンプをしていた。
そこは直火で大きな炎を出して、好きな音楽を大きめの音で流しても自分たち以外は誰もいない、やりたい放題の無人の浜。楽園であった。

お酒も程よくまわり、上機嫌で話していると、背後にある山の斜面がガサゴソ。
なんと、大荷物をかかえた人が来た。
そして開口一番、「すみません!ここで釣りしていいですかー?」と聞かれた。
いいも悪いもみんなの海。「もちろんどうぞ、音下げますね!」と返すと、「(夜の海が)怖いんで、全然大丈夫です!」と、僕らの目と鼻の先に、釣り座をとった彼。
興味を抑えきれず、何釣りか聞いてみると、アオリイカ、ヤエンであった。
ヤエン?こんな砂利浜から?

ヤエンとは生きた鯵を針につけ、イカがそれを捕食し始めたところで、仕掛けを道糸に流す釣り、であることは知っていたが、堤防のように海と落差があるとこでやるものだと思っていた。
聞きたいことは山ほどあったが、彼の釣行を邪魔せぬよう、こちらは酒を呑み、縁もたけなわでテントに潜り込んだ。

翌朝、午前8時。テントから出ると、昨夜の彼はぶっ通しで釣りを続けていた。
挨拶の後、釣果を聞くと、2kgオーバーのアオリイカを筆頭に5〜6杯の釣果。

衝撃だった。
毎年来ているこのキャンプ地のすぐ近くに、こんなにもアオリイカがいたのかと。

朝っぱらからクーラーボックスを見せてもらう。
羨望の眼差しで質問攻めしてしまった僕らに、「良かったらこれで始めてみてください!」と、高価で今は買えないシマノのローラーヤエン(新品)をくださった。

これが私のヤエン師の始まりである。
それからすぐに、リアドラグのリールとアオリイカと冠の付いた竿を買った。

それから2年。
シーズンになればアオリイカ食べたさにヤエンに赴く。
下手すぎて、バラしまくるも、なぜか毎回1〜2匹は持って帰ってくる。
を続けていた。

そして、今年9月22日。秋、シーズンイン到来の知らせを聞きつけ、「まずは様子見」などと、言い訳を用意して釣りにでかけた。

SNSは疑似餌で釣るエギングの盛りであった。でも関係ない。初々しい、産まれて間もなき幼子を活アジの力をもって釣るのだ。

私の釣りの原体験は、幼いころ、父親に連れて行ってもらった釣りではなく、就職して間も無く、笑顔の怖い先輩に「いいからいいから」と半ば拉致されて、真夜中に連れて行かれたエギングである。
先輩は片道3時間かけて海につき、「やっぱりええな〜」と言い、竿も出さずに、水色のキャンピングガスのバーナーでお湯を沸かして、2人で同じカップラーメンを食べた。
車のシートを倒して、荒れた海の前で、「映画でもみますか」と言って、トムハンクス主演のキャストアウェイ。
今思うとエッジが効きすぎているジョークと笑えるが、釣りは釣りにあらず、釣行をもってほにゃららら〜と、釣り体験とアウトドア体験をミックスした素晴らしい日であった。
もちろんこの日は釣れず 笑。

それ以降、エギングに傾倒していったが、今は色んな経験を経て、古き良きエサ釣り派に落ち着いた。

だいぶ話は逸れたが、海にカップラーメンを食いに行くノリがベースにある釣り師なので、何をやっても毎回釣果は薄めだが、この日は夕方のマヅメでアタリ連発で、4匹獲ることができた。反応があったアオリイカ達は獲れた理由も、獲れなかった理由もよく分からないが、ただただヤエンは楽しい。

う、うまそう


季節と活アジに釣らせてもらった。そんな日であった。

#エッセイ #アウトドアエッセイ #ヤエン
#釣りを語ろう

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