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なぜここに来たの?

なんでノルウェーに来たの?
当たり前だけど、ノルウェーに来て、誰もに聞かれる質問。

家族がいるの?
ノルウェーに恋人がいるの?
学生なの?
仕事の関係?

私はちゃんと答える余裕がある場合、
「日本でずっと福祉の仕事に関わってきて、ノルウェーは福祉国家でもあるから、社会システムや障害者の人がどうやってここで生きているのかを見てみたいと思ってるからだよ。」
と答える。
相手は「へぇー(物好きだなぁ)」という顔をする。

そう、移民の多くは、何か事情があってここに来る。その事情をここにいる拠り所として生活を築いていくものなんだと、他の移民の人と話していて、突然気づいてしまいました。

私は、どれでもない。ただ、世界を見たいから、という理由だけ。

ノルウェー国内なら、1年間はどこに住んでも何をしてもいい。
もともと勤めていた会社でも何か肩書きが付いていたわけではなかったけど、日本の仕事での役割や立場などがすべてなくなって、ノルウェーで何者でもない自分になって、何をしてもいいという限りない自由を目の前にしたとき、「なぜここに来たの?」という何気ない質問が日に日に自分の中で重みを増していきました。

「この先どう生きていきたいの?」
って、突きつけられている感じがして。

何もそんなに真面目に考える必要はまったくないことはわかっているんだけど、考えてしまうからしょうがない。自分にとって今が転換期なんだなぁ。

「あなたはなんでここに来たの?」
「今はノルウェーで何をしているの?」
と聞かれる度に、自分の中で
...本当だよ、私はいったい何しにここに来たんだ...?と思い始め、
自分には“自分”以外の理由も拠り所もない。それだけではなんだか不十分な気がしてしまうことがあります。

けど、ビザを発給してもらったということは、ここにいていい正当な理由も権利もある。しかも私は恵まれた環境に身をおけている。
そこをちゃんと認識して自分の拠り所にして生活を築いていけばいい、と気持ちを奮い立たせます。

環境については、ノルウェーでワーキングホリデーをする人の中でも相当順調なほうだと思います。自分の想像・期待以上のことが起こっていて、ちょっとこわくなるくらい。

● 日本を発つ前から好条件の家を確保できていて、実際ノルウェーに来てからも快適に過ごさせてもらえている。
● 知り合いを通じてどんどん新しい人に知り合えている。一緒に過ごせる友達も良い感じで増えている。
● 日本語を話せる友達(日本人もノルウェー人も)がいる。
● 無料でノルウェー語会話の練習ができる場所や方法が確保できている。
● 今後仕事をするにあたってやるべきことやアドバイスを溢れるほどもらえている。
● お金や仕事について心配しすぎずに過ごせている。
● 郵便局のスキャナーが原因でノルウェーの銀行口座が何週間も開けていなくていろんな人に迷惑をかけているにも関わらず、快く助けてくれる人がたくさんいる。

生きていくために現実的に必要なお金やお金を稼ぐための仕事については、自分が恵まれていることを特に強く感じます。
例えば、パートナーと一緒に住むことをきっかけにノルウェーに来たけどコロナで仕事はなくなったし、仕事を失ってから4ヶ月の間に仕事が見つからなければ国に強制的に帰されるという、結構切迫した事情を抱えている人もいます。
「ノルウェーは肉が高いから買えない」と言っている移民の人たちもいて、私はそんなふうに感じたことがなかったから、そうか〜そういう感覚なのか...とちょっとびっくりしました。

いろんな人の話を聞けば聞くほど、自分はなんてお気楽な立場なんだと認識させられます。

それでも。
時間とお金をかけて準備して、コロナがあってもめげずにここにやってきたこと。
"自分"以外の理由がなくても、勇気を出して知らない世界を見にやってきたこと。

そんな立場の自分だからこそ見える景色もあるんだってことを、忘れないでいたい。
自分に言い聞かせる毎日です。

それにしても、ワーキングホリデーって説明しづらい😂 みんなどうやって説明してるんだろう...?説明なんてしないのかな。
いっそ「私は旅人です!」ってことにしとこうか。
...でも、ちょっと違うんだよなぁ。
I'm practically doing nothing here. That's what I am now.

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