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バイクパッカーおじ@2023石垣島⑥

西表島の南風見田(はいみだ)キャンプ場(一泊900円)には、僕の他に連泊の奈良からやってきた徒歩キャンパーおじが泊まっていた。リピーターで5連泊の予定でやってきて今日で3泊している。おじさんは朝食を食べ終えるとキャンプ場に落ちている薪を拾い集め、毎日のルーティンかのようにドラム缶風呂を沸かし始めた。こんな朝風呂贅沢すぎるわ。ほんと時間がゆっくりと流れるのを感じる。僕は、ドラム缶風呂に入ってみたかったが、今日中に南風見田とは真反対にある星の砂キャンプ場まで行くので簡単な朝食をすませ大原港の方へ向かった。ここにいると、人と接触しないから一週間ぐらいお風呂に入らなくても何も問題なさそうだ。
西表の日差しは厳しいが日陰に入ると海風が気持ちよくてゴロゴロしたくなる。大原港の日陰で休憩していたら、案の定自転車をこぐ気がしなくなってしまった。「星の砂までの道はアップダウンが多いし自転車だからこそできるバス輪行をしちゃおう。キャンプ場の前にバスの停留所があるし」という考えが湧いてきてバス出発までの2時間ゴロゴロすることにした。こんなことならドラム缶風呂入っておけばよかった。

西表島のキャンプ場
バス輪行

大原港から星の砂まではバスで一時間ほどなので、お昼には星の砂キャンプ場(一泊500円)に到着してしまった。レストハウスから見るエメラルドグリーンの海の色が美しすぎる。キャンプ場のロケーションは最高だ。海に向けて芝生が広がっている。遠くに波の音が聞こえる。傾斜があるので、海が見える日陰になるフラットな場所というと限られているが、宿泊者は数名しかいないので問題はない。すでに一つのテントが張ってあったが主は留守だった。このキャンプ場はシャワー300円、携帯充電100円(一回)、歩いて30分ほどで大きな商店があり八重山のキャンプ場としては総合的に一番かと思っている。ただここはゴミ箱がなく、自分で分別しておいて、隣接したキャンプ場を管理するレストハウスに預けるスタイルなので少々面倒くさい。それも透明の袋に分別したものを受け取るとなっている。まあこれがキャンプ場が綺麗な要因でもあるのだが。そもそも離島ではゴミ箱というものがなく、ゴミは各自で持ち帰るのが基本だ。離島にいると、日常のどこにでもゴミ箱がある生活というのが異常に思えてくる。そんなことを考えながら、30分ほど歩いて、一番近い商店に出かけた。
途中、だだっ広い敷地の中にホテル従業員の寮らしき建物があり、東南アジア系の外国人が自転車で入っていく。道を歩いていてすれ違い様、何度も外国人から挨拶されたが、どうも彼らから、出勤するホテル従業員と思われたようだ。ほとんど人通りがない道を歩いて行くと、自転車に乗った野球のユニホームを着た小学生が向かってくるのが見えた。彼は30メートルほど離れた所で自転車を路肩に停めると、自転車を降りて道の横の草むらに近づいた。立ちションでもするのだろうと思ったが、すれ違うまで草むらから離れなかった。何かを探しているようだった。珍しい生き物でもいるだろうかと気になって、「何してるの?」と声をかけると、「ここにゴミがいっぱい落ちてる」と返ってきた。そこには数本のペットボトルが固まって落ちていた。僕は返す言葉を失ってしまった。遠くから、「○○ちぁーん、どーしたあ」と彼を呼ぶ母親らしき声が聞こえ、僕は不審者と思われるのがいやでそこを立ち去った。以前、「世界遺産に登録されて観光客が増えるとゴミが増えるから住民の半数が登録を反対している」という記事を読んだが、予測された通りのことが起こっているのかもしれない。陸地では観光客からのゴミが、浜辺にはプラスチックや外国語のラベルのついたペットボトルが絶え間なく漂着していると聞くと、西表に入ってからきれいな海しか目にしていないが、島民の苦労があることを忘れてはいけないと思う。

レストハウス
星の砂キャンプ場









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