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鹿児島県出水市の本町通り商店街での取り組みを振り返る【2/3】

 さて、【1/3】では関わり始めて3年目の途中あたりまで書いていきました。書き出すと筆は進むもの・・・だったり、そうでもなかったり。書き始めるまではかなり腰が重かったのですが。それもそのはず。当然良いことばかりではなく、苦しいことも多かったです。そう思うと、良かったことさえも素直に目を向けられなくなる、という苦しさに気づきます。ここまでくるのに時間がかかりすぎた…そんな負い目も感じています。もっと早く気づければ、もっと早く踏み出せていたら、と。そんなことを言っても仕方がないのはわかっています。でも確かにそう思っている自分がいる、ということをここに記したいのです。

 この3年目は特に苦しい年でした。人とぶつかることも、裏切られるようなことも、離れていくことも、ありました。しかしその多くは、自分自身の弱さや逃げによって少しずつ少しずつ積みあがっていったものがぱーんっとはじけたから、だと振り返ります。


 いろいろありましたが、活動は続きます。私が3年目特に注力したのは、前編でもご紹介したレンタルスペース「文化堂」の運営・活用です。

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 レンタルスペースとしてだけでなく、様々なチャレンジができる場所としても活用していきたいという思いでつくったこの場所。出会いを次のつながりへ、紡いでいくために、文化堂をもっと活用したいと思いました。

 2017年7月7日。第1弾として、出水の野田女子高校生たちの協力をもらい、cafeランチ企画を文化堂で開催してもらうことができました。

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 みんなで試行錯誤したランチメニュー、しかも和洋選べる。学校で作ったものをただ売るのではなく、その場で提供し、お客さんの生の反応を直接目にする。お客さんからの声かけに少し緊張しながら答える。慣れてくると世間話をするような場面も。

当日は未来会議のメンバーも食べに来ていました。「やったね~あすみん、こういうのだよね」と。

そう。"こういうの"ですよね。笑

なんていうか、それを具体的な言葉にすることは重要ではなくて、そうそうこれ!というのをリアルで共有できることがめちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。同時にそれは、この場をつくるチャレンジをしてよかった、という気持ちを共有しあえる時間でもありました。

これをきっかけに、自分に不足しているものが何なのか、何が求められているのか、ということになんとなく気づき始めたように思います。

ここ商店街で「私がやりたいことはできているか?いや、そもそも私自身が何かをやろうとしているか?」ということ。

地元の人たちと一線を引いて、私は伴走者、みんなをサポートする役割を担っていました。業務を遂行する者としても、事を進めると同時に、管理することも必要です。当然、事を起こすことも。私がみなさんに問い続けたこと、それは「1年目、あきない(商い・飽きない)商店街にしようってみんなで決めましたよね。そのためにできることって何ですかね?やりたいことある方いませんか?」そんなレベルの問いかけだったかもなあと、振り返ります。はあ、そりゃ苦しいわけだ。

 するとその場から返される言葉。                  「あすみんはさ、なんかやりたいことないの?」

誰しもやりたいことが常にあるわけではない、あったとしてもここで実現することを強制はできない、タイミングもある。

ある意味、商店街という場所には何か具体的なもの、かちっと決まったものが求められているわけではなかったのかもしれません。とはいえ、何かやりたいという人を迷惑だ!と追い払うわけでもない。来るもの拒まず去る者追わず、シンプルにそれが商店街なのかもしれません。そして当然ながら商いが集積する場所。お金にならないことには楽しいことも続きませんし、そのへんが曖昧なまま協力を求めようとすると、みなさんなかなか首を縦には振ってくれません。(まあ商店街に限った話ではありませんが)

そして当時、ここに足りていないと感じていたものは、思い描いたものをカタチにするために一歩を踏み出す存在と、ここで何かできるかも…!と思える空気感だと考えていました。しかしこれらは、すでに商店街にあったのです。

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↑ これは2018年にフジドリームエアラインズが制作する機内誌にて、麓を含めた商店街エリアを紹介させていただいた際の記事の一部です。(すみとカフェにも置いてますので、ご来店の際はぜひ読んでみてくださいね)

遠めから見てもなんだかとっても魅力があるように見えませんか?いや、魅力めちゃめちゃあるんです。特に注目していたのは、商店街の奥さまたちの存在です。

●今やインスタで11万人以上のフォロワーがつき、県外からのお客さんも多い「吉村金物店」。建築金物をメインで取り扱う金物屋ですが、一部器も扱っていました。それをさらに広げるため、奥さんがお店の真向かいのスペースをつかって器屋を展開。1日に2~3回投稿される素敵な器の写真とさらっと読めて、くすっと笑えたり、ほっこりしたり、な文章。@goryo0115

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●もともと生花を扱うお花屋さん「花のよしおか」。奥さんがドライフラワーを始め、様々なイベントへの出店やWSを展開。はじめは商店街ではなく、小さな倉庫を改修してスタート。お花がぎゅぎゅぎゅっと詰まった空間とゆきこさんの人柄に虜となるお客さん多数。現在は商店街の生花店と一緒にドライを並べ、商店街ににぎわいをつくってくださってます。@hanano_yoshioka

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 こんな皆さんが商店街にいることを感じながら、自分は何もしないなんてそうはいられない。この波に私ものらなきゃ!と思いました。だんだんとやりたいことが見え、わくわくとともに、自分ごとに。

 そこで始めたのが、朝cafe@文化堂。レンタルスペースとして再出発した新たな文化堂の活用・認知・商店街に足を運ぶきっかけづくり。そのために私が持っている資源できること。マルシェの企画やイベント限定のコーヒー屋さんなど、失敗はたくさんあったけど、私なりにやってきた経験はある。ここにつなぐしかない。

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 当時は鹿児島市内⇔出水市を行ったり来たりの日々。移動は車。片道1時間40分の下道派。泊まるときはビジネスホテル。泊りの翌朝はだいたい朝食難民。チェーン店はあるけど、地元のお店利用したい派。朝時間の充実をなんとなく探し求めてました。

 商店街にカフェがなかったわけではありません。でも私は私のカフェをしたい。しかし、業態としては重なる。せめて営業時間帯は避けたい。じゃあいつやる?朝しかない(笑)

 ということで、営業時間は朝!自分のできるペースで継続していきたいから、2週に1回。まずは朝6時半から10時までやってみよう、いずれお昼くらいまでできたらいいな。コーヒーだけじゃつまらないから、お菓子も持っていこう。お菓子は、これまでマルシェなどでお世話になっているお菓子屋さんから仕入れられないか相談してみよう。出水に住みながら、他のまちの美味しいお菓子を食べられるのは貴重で嬉しいはず。

 そんな感じで妄想は広がり、朝cafeの日は、朝3時に起床。4時には鹿児島市内を出発し、5時半ごろ到着。机と椅子をならべ、テーブルクロスを敷く。コーヒーの器具をセットし、お菓子を並べ、外に旗を立てる。朝cafe完成!(いま振り返ると我ながら最高のはじめの一歩。大変だけどとっても楽しかった。)

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 早朝はパジャマで来店するお客さん。出勤ラッシュの時間はサラリーマンも。9時を過ぎると朝の一仕事を終えたお母さんたち。毎回数は多くないです、おそらく7~8割は常連さん。でもまた来てくださるって嬉しくてたまらないですよね。そもそも不定期で出水に行く私は、出水に行って毎回いろんな人たちに会うということはありませんでした。でも朝cafeがあることで、2週に1回、出水の皆さんと顔を合わせることができる。よそ者として、こんな贅沢、これ以上ないです。

ふぅ、ようやく上がってこれました。朝cafeを始めて調子が出てきたように思います。もともと自分でいろいろ考えながらやってみることが大好きな私なので、自分との相性も最高な活動だったと振り返ります。

朝cafeは丸1年続けました。途中、夜カフェに挑戦してみたり。音楽ライブをやったり、マルシェをやったり。するとまた、新たなことを妄想し始める私が現れました。

さて、続きは【3/3】へ。あともう少しだけお付き合いください。



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