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アトリエ日記#5「学生の設計課題」と「仕事としての設計」の違い

学生の頃は設計製図で「自由に設計していいよ」と課題を与えられ、自分が良いと思うものを思いのままに作っていました。たぶん、建築学生はみんなそうですよね。

ですが、社会に出て仕事として設計をするとなると、施主の希望や予算に合わせて法律を守って設計をしないといけません。さらに構造はどうするのか、それで成り立つのか、材料は何を使うのかという問題がついてきます。これが思ったより制約が多い。学生の時の課題でやってきたことは一体なんだったんだと私は社会人になってから思いました。
ここが学生の課題と大きく違うところです。

ですが、まだまだこういった部分を踏まえて設計課題のエスキスをしてくれる学校は多くはないと思います。

仕事で設計をするとき、施主の要望を取り入れつつ自分の個性や考え方を取り入れるのは難しいことだなと感じます。自分の考えがあって施主の要望と違うことをしようと思ったとき、施主に納得してもらえるような理由づけが必要になりますし、その理由が施主の想像しているものの上をいくものでなければならないし、プレゼンの仕方も大事になってきます。それで施主に納得してもらえて初めて、設計において自分のやりたいことができます。

これは学生の設計課題でも同じことが言えると思いますが、人が使う物のデザインというのは基本的に理由があってその形になっているべきです。なので、理由もなくなんとなくその形になりましたなんていう説明は説明になっていません。設計者にはしっかり理由をつけて設計をして、どこを指摘されてもそのデザインになってる理由を説明できるというスキルが必要だと私は思います。

学生の設計課題では、どうしても構造や材料、法規に関して先生が教えてくれなければ自分で習得することが難しい範囲もありますが、与えられた課題に対して決められた期間内に自分の考えをまとめて、それを見る人に伝わるようになんらかの方法で表現しプレゼンテーションするというスキルは、他の学科ではなかなか習得できないことだと思います。

そして、その上で設計者として必要であろう「なぜそのデザインなのか理由を説明できる」というスキルは自分の意識次第で身につけられるものなのでぜひトライしてみてほしいです。


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