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アトリエ日記#4お金のこと

みなさんは建築物を建てるのに、どれくらいのお金がかかるか知っていますか?実務経験のある諸先輩方や、マイホームを建てた経験のある方ならご存知かもしれませんが…
私が社会人1年目のときは全然知りませんでした。大学で建築を勉強していても見につくものではなかったんです。

隈研吾建築都市設計事務所さんが設計した新国立競技場は、総工費1,569億円だそうですね。もう金額が大きすぎて現実味がないし、一般人からするとよくわからない金額ですよね...。

では、分かりやすくみなさんの身近にあるものを例に挙げてお金の話をしていきます。

1.戸建て住宅と土地の値段

みなさんは賃貸に住んでいますか?戸建て住宅に住んでいますか?
私は現在、都内の1LDKの賃貸に住んでいます。(※因みにYouTubeのルームツアーの動画でリビングを公開していますので良かったら見てみてくださいね!)

今は賃貸ですが、実家は戸建て住宅でした。約20年前、私の両親はオーダーメイドで新築を購入したわけではなく建売を購入しました。3,500万円ほどだったと聞いた記憶があります。(あってるか分からない...)家の広さは40坪程度、人を呼んでBBQができる程度の広々とした庭があり、駐車スペースには車2台は余裕で停められます。

私の実家は福岡県の田舎にあるのでそれなりの金額で、広めのお家をゲットできたというわけです。ですが、福岡県でも福岡市内だと土地だけで2,000万円〜4,000万円程度かかるのが普通かなと思います。平均で坪30万〜40万円くらい。小さな戸建ての住宅をオーダーメイドで建てるとすると、少なくとも2,000万円程度はかかるので土地と合わせると最低でも4,000万円以上のお金がかかることになります。

では、私が現在住んでいる東京ではどれくらいかかるのかというと、23区内だと平気で1億円を超える土地がわんさかあります。というか、平均で坪100万円超えている感じがするので、福岡で2,000万円程度の広さの土地が、東京だと6,500万円くらいになる計算になります。
さらにその土地の上に家の金額が乗ると考えると、かなりの大金になることは容易に想像がつくと思います。

戸建て住宅では土地の値段が総額を大きく左右することはお分かりいただけたでしょうか?

次は、家本体の何にどれくらいお金がかかっているのかをお話ししていこうと思います。

2.家本体にかかる金額

家にかかるお金の内訳はだいたい下記のような感じになると思います。
・仮設工事費
・地盤改良費(※無い場合もあり)
・本体工事費
・住宅設備費
・給排水工事費
・電気工事費
・外構費
・設計デザイン費
・工事監理費
・諸経費

仮設工事費
足場や仮設トイレなどがこれに含まれています。

地盤改良費
(※無い場合もあり)というのは地盤を改良する必要が無い場合があるからです。住宅を建てる前に必ず地盤調査というものを行います。軟弱地盤の場合、地震が来たら家が沈んで傾いたりしてしまうので、地盤にも一定以上の強度が求められます。その強度を確保するために行うのがこの地盤改良です。
どれくらいお金がかかるかというと、私が今まで見てきた金額だと、土地の広さや改良の工法にもよりますが50万円から150万円くらいが平均かなと思います。200万円になると高いなと感じます。

本体工事費
ここには家の基礎から屋根まで作るのにかかる費用が含まれています。構造に何を使うかで大きく変わります。分かりやすく表記すると
木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造
こんな感じになり、上記でお話ししていた戸建て住宅本体の相場の金額は木造の場合の金額です。木造の家は60〜70万円/坪くらいが標準のグレードになるかと思います。100万円/坪かけると結構贅沢なお家になります。

また、木造では規模やデザインに限界があるので、大きな家や変わったデザインの家にしたい場合は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造になります。
鉄筋コンクリートだと内装を標準のグレードにしても100万円/坪くらいにはなると思います。

また、内装の仕上げに何を使うかでも金額は大きく変わってきます。
例えば床材だったら、賃貸でよく見るのは合板に木目をプリントしたシートが貼られているフローリングです。これはコストがもっとも抑えられて傷が付きにくいものです。5,000〜10,000円/㎡くらいです。
逆に高価なものは無垢のフローリングやタイルです。
無垢のフローリングは樹種によって大きく変わりますが、10,000〜25,000円/㎡程度が相場かと思います。
タイルも物によりますが表面のデザインが凝っているものほど高い印象があり、10,000〜25,000円/㎡程度、物によってはもっと高いです。

ただ、壁紙はほとんどのものが1,000円/㎡です。キャラクターとコラボしたり、海外から輸入したもの、特殊な加工がしてあるものは高価になります。
壁紙本体の金額に職人さんの貼り手間が上乗せされた金額が見積もりとして提示されます。

他にも屋根、窓、木製建具、などなどそれぞれにグレードがあり金額が異なっています。

住宅設備費
トイレ、ユニットバス、キッチン、洗面台などがこれに当たります。当然ですが金額はグレードによって大幅に違います。ですが、工務店等から提示される金額はカタログに記載されている金額から2〜4割引きくらいの金額で提示されることが多いです。これはなぜかというと、メーカーから工務店に卸す際に掛け率がかかっていて、表示されている金額から値引きされているからです。ただ、掛け率はメーカーごとに違いますし、値引きの無いメーカーもあるのでそこは注意が必要です。

給排水工事費
上記の住宅設備を使える状態にするには水を引いたり排水経路を確保したりする必要があります。その工事をしてくれる設備屋さんの工事費用がこれに当たります。

電気工事費
住宅に照明は欠かせませんよね。また、住宅設備を使うにも電気を繋がなければいけません。家の中の配線や照明の取り付ける工事をしてくれる電気屋さんの工事費用がこれに当たります。

外構費
家本体以外の門柱や植栽、駐車スペースやお庭の整地を行うための費用です。

設計デザイン費
文字そのままですが、設計やデザインをする人たちの技術料、人件費です。

工事監理費
設計とは別に工事現場で図面通りにきちんと施工されているかを監理するための費用です。

諸経費
交通費や運搬費、工事ででた廃棄物を処理したり、清掃したり、細々とかかってくる費用になります。


こんな感じで、家一軒建てるには様々な物が必要でたくさんの人が関わっています。その分詳細が見えづらくなっている部分がありますが、これで少しでもイメージできるようになってもらえたらいいなと思います。

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