TOKYO2020の開会式を目前に

東京の観光振興をしている私にとって、ここ8年はオリンピックとともにあった。丁寧にいうと、観光とオリンピックは直接の関係なく、オリンピックは組織委員会のものである。私たちがやってきたことは、本来の自分たちのミッションである「選ばれ続けるTOKYOへ」の元、経済波及効果をもたらすことを考え続けることの延長でしかない。ただ、このイベントは大きすぎたが故、私たちは、ずっと波にのまれてきた。

日本でも観光振興の際には、経済波及効果のみならず、「地域の課題解決」のための観光振興であるという話を最近よく聞くようになってきた。日本でもオーバーツーリズムが問題になってきて、地域の生活を壊すような観光客はいらないという議論である。

 国際会議を誘致する際には、「レガシー」という言葉で表現され、世界で争われる国際会議を誘致合戦の結果、地域にどんなレガシーが残せるかというのは、それぞれの提案書に求められる内容だったりする。

では、東京の「地域課題」とは何なのか。私が思っている東京の課題は、「高齢化社会を迎え、どのように財政が圧迫されないように、かつ都民が楽しく生きられるか」だと思っている。そして、それに対しては、このオリンピック(というより、パラリンピック)を通じて、いろんな方策をうってきた。街のバリアフリー化、各種の健康促進のためのイベント。コロナ禍になって、またヘルシー志向が加速したこともあり、結果的にこの課題に対しては、ちゃんと向き合ってきたと思うんだ。だから、もうすでに、オリンピックのレガシーは存在していると思っている。

7月になってから少しづつだけど、準備をしている様子が街に表れてきた。私が個人的に8年前に描いていた姿とはだいぶ違うけれど、本番がやってくる。

2016年にリオ五輪と絡めた東京のプロモーションにリオを訪問した時も、ブラジル人が言ってたな。「始まる前は大もめで、なぜ貧困対策を放棄してオリンピックをやるのかと。これに合わせて建設したBRTも開会式には間に合わなかった」「ところが、閉会式が近づくにつれて、お祭り大好きブラジル人たちは論調が変わり、今、こんな感じ」リオは、世界中からの観光客にあふれており、本当にお祭り騒ぎで、閉会式でアベマリオが出てきたとき、上司も私も泣きそうになった。ああ、こんな祭りが4年後東京に来るんだと。

何度もこのエピソードを思い出す。そして、閉会式が始まるときには、リオと同じように世論もHAPPYな論調になってればいいのにな、って思ってる。日本は黒船に弱いから、自分たちが気づいていないような点を海外メディアから褒められまくって、自信を取り戻す。っていうのが、楽観的な私のシナリオ。

そうそう、お前だよ。丸っこい体してオリンピックのバッチっぽいつけてる白人のおばちゃん、おじちゃん。期待してるよ!いい記事書いてくれよ~頼むから。絶対アスリートじゃない彼らにTCATの中や電車の中で念を送っている。

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