見出し画像

Destination の訳語ってピンときますか?

もう10年近くこの仕事をしているとDestionationという単語に違和感はない。でも、最初にこの単語を聞いたとき、その日本語への訳しづらさが気になっていた。

「目的地・行先」と訳すのが一般的だが、日本で「目的地」というとあんまり色気がない。でも、英語のDestination という単語には、なんというか、ちょっとだけバカンスのにおいがして、楽しそうなニュアンスになるのではないだろうか。ネイティブじゃないからちゃんと理解してないかもしれないけど。

私のいる観光業において、英語→日本語の翻訳問題はさらに続く。

ここ数年でDMOという考え方が入ってきた。DMOとは何かというのはいろんな人が述べているし、観光庁でも推進しており、今流行りのトピックの一つである。以前まではDestination Marketing Organization だったが、最近ではDestination Management Organizationと言われている。

で、思うのである。あれ・・・よくわからない・・・と。「日本版DMO」という言葉からも読み解ける通り、日本社会が歩んできたなかでのDestionationと観光振興はちょっと文脈が違いすぎて、それぞれの人たちが納得できないのだと思う。

先日、Destination International (米国のDMO団体)が出しているDestionation Next Future Study を訳す機会があった。本当に苦戦した。だって、日本語より英語のほうが意味が分かるから。

やっぱりマーケティング用語(特にサービスマーケティングや観光地マーケティング)を日本語に訳そうとすると、説明が完全にできない用語がある。それは英語圏と日本語圏の文化差というか。

なので、観光庁が推進するように「これが世界の最前線!みんなこれに倣うべし!」ってやるとどうしたって、そこには大きな齟齬があって、日本の業界人は首をかしげてしまいがちだ。

ただ、そうはいっても、世界を理解したうえで、日本の文化と向き合うというのが私のスタンスだ。世界のやり方がすごいんじゃない、日本のやり方に固執するのも違うと思う。日本の観光地にとっての、最適解を探すために、私はやっぱり引き続き、Destination Internationalをウォッチしたいと思っている。

写真は鬼怒川。SL大樹で浅草から2時間くらいで行ける。結構、大きめの宿が多く、ホテル内で一日が完結できる。これだと、あんまり地域にお金が落ちないんだよな。一方で、SL大樹は結構地域から指示されていて、12キロを30分で走るんだけど、その間の住民の人とか車に乗っている人とかが手を振ってくれた。「地域に根差した」「そこに住む人が旅行者とハッピーになれる」という仕組みは加点。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?