見出し画像

足と未病④

気にもしていなかった足を見る。そして触れる。
そうすると、爪や指たち、皮膚。
あらゆるところが語りかけてきます。
「足の指がこんなに曲がっちゃって戻らないの」
「足の裏にたくさん魚の目やタコがあるのよ」
「足がすごく冷たくて、思うように動かないの。」
「触っている感覚がわからないよ」
足の色々なパーツがそれぞれ訴えてきます。
それはそれはおしゃべりです。
やっと私たちを見てくれたね。
やっとフットケアに来てくれたね。
私が施術を始めるとたちまちパーツたちは柔らかさを取り戻します。細かく刺激されて細胞たちが動き始めます。
やがてむくみが取れて、血色が良くなります。
爪や角質がどんどん綺麗にお掃除されて輝いてきます。
その間約1時間。たった60分で足のパーツたちはそれぞれの感覚を取り戻します。

施術が終わり彼女は「ありがとう、気持ちよかった。わー足が綺麗になってる!」

そして立ち上がった次の瞬間

「何?この感覚!足の裏がある!」

その時の彼女の驚きこそが足が蘇った証です。
足の裏はふんわり柔らかく、今までにないほど足の裏が存在を示してきます。
ストレッチにより母趾球、小趾球、踵が柔軟になり、しっかりと床につき、正しく身体を支える事ができているのです。
股関節を庇いながらも彼女は背筋を伸ばしてゆっくりと足の感覚を確かめながら歩いています。

「私、今まで何やってたんだろう。もっと真剣に足のこと考えてたら股関節症にもならなかったのかもしれない。」

「これから私は自分の足を大切にする。自分の足を最優先にしてまだまだ歩く。歩きたい。」

その言葉を聞けた時、私の心の中はほんとうに熱くなりました。

彼女は2時間近くかけて電車で訪ねてきてくれました。近くのサロンで定期的にケアしてね!と声をかけると「あなたにやってもらいたいな。また来てもいい?」と言ってくれた。

たかが爪切り。たかがフットケア。されど感動を共有できるフットケアは素晴らしく絆も深めてくれました。

足にはその人の人生が刻まれています。

いつも靴下や靴の中に仕舞われている足はなかなか自己主張できません。
でも、
足をわかった人は自分に感動し、もっともっと自分というあらゆるパーツを知りたくなるのです。

自分に向き合う事は大変な時もあるけど、その先に新たに展開される人生は、きっとそれまでとは真逆の人生です。

その鍵となるものの一つがフットケアです。

終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?