β-377 ぼうぎょりょく
『魔人探偵脳噛ネウロ』『暗殺教室』、そして現在では『逃げ上手の若君』を連載している週刊少年ジャンプではお馴染みの松井優征先生が、下記のようなことを述べられておりました。
昨年度から主に漫画家を対象として特別開講している「ジャンプの漫画学校」で述べられたようですが、漫画家のみならず、創作するすべての方々にとって大切なことなのではないかということを認識してしまいました。
拡大解釈も甚だしいのかもしれませんが。
とは言え、小説でも漫画でも、創作したものを読者に向けて伝えるときに継続して読んでいただけるかは、「面白いかどうか」という端的に言えばそういうことなんでしょうけれど、面白さというものは千差万別で、当然ながらどんな名作でも駄作であっても、受け入れられるもの、そうでないものがあるのは、みなさんも過去の経験からあるかとは思われますし、面白さの決め手となるストーリーの組み立て方、奇抜なキャラクター、そういったアイデアは生まれ持って得られた部分が強い部分があると兼ねてから私は、そういう認識でおりました、松井先生も読んだ限りだと、似たような認識なんだなという感じになりました。
しかし、松井先生は面白さの基準をお金や時間、そして労力というコストを引き算してまでも、ストーリーや絵、演出などの要素がそれを上回っている、それこそが"面白い"ということではないかという説明をなされております。
まあ、期待以上なら面白いってことでしょうし、以下ならつまらないというものになるのでしょうなと・・・。
こうしたコストを減らすものとしては、労力と時間を減らす。
ざっと言ってしまえば、パッと見てどういう話かを理解してもらい、不快になるような展開を極力省き、取り入れたとしても挽回可能な道筋をつくり、文字や絵で疲れさせないように、進行させて、なおかつ読了後に内容が濃く、続きを気にさせるような方向性に持っていけば、コストというものは気にしなくなるという要旨なんですが・・・。
いや、それが難しい。
わかってはいるけれど、果たしてそれだけのストーリー展開などが思い浮かぶか、というのが大事で、無駄なものを省き、必要なものに注力させて、ドーパミンを刺激させていけば、長く最後まで読者に見ていただけるというのは、確かに真理ではあるんですが・・・、なかなかその領域まで達するのは厳しいかなと感じてしまいますね。
でも、余談となるギャグやスピンオフ的な展開は、もちろん面白ければいいんですが、あんまりにあんまりだと、もったいないかなという想いは確かにありますし、文章展開がとっ散らかってたり、文字数がやたら多かったりすとやっぱり疲れてしまうのかなと感じてしまいます。
もちろん読者側もストレージを多めに確保する必要があるのかもしれませんが、なるべく軽量に、それでいて密度の濃いものをクリエイターサイドは提供していかないといけないという意識を持って創作していったほうがいいというのは確かにそうだとは思いました、できるか否かは別として。
内容は減らしたくないが、説明過多になるのは避けたい、そこで必須となるのは2つ以上のものを1つに集約させる"兼ねる"という技術で、これをうまく多用していければ、そこまでの力は使っていないが、濃度は高くなるというものを集英社を燃やしながら説明されておりました、確かに例としてはわかりやすい題材でしょうし、そこがうまくできればできるほど、生き残れるし、連載が終了しても読み返されるんでしょうな・・・と。
読者のコストを減らしていくことで、大崩れしにくくなり、センスと運で左右されにくくなるというプラスの影響を入手することができますが、加えて他の作家が描かれた作品のなかで負担や不快だなと感じた描写は、自らはしないように、記憶して、その後の自作の創作に反映することを心掛けてほしいとも述べられておりました。
ここでいう良くないは、私情であっても客観的に見てもアンケートが下がったなという面でも・・・ということでしょうか。
そして、最後に
防御力は、気遣い。
と締められて、終わりました。
松井先生は、お客様(読者)第一主義を念頭に漫画を描かれていらっしゃっているのは、先日から始まったシリーズ記事でもよくわかります。
週刊連載で言うと約4年余りで1作品を完結させて、必要な分だけ話を広げ、回収し、不快なキャラクターも0ではないけれど、いろんな過去や立場などから必ずしも100%不快にならないように配慮なさっているなど、ここで書かれたノウハウは松井先生の随所に現れているのかもしれません。
『ネウロ』はともかく、『暗殺教室』は第1話の見開き巻頭で「あっ、そうい話なんだな」とわかる描写でインパクトがあり、生徒の数も多いながら、それぞれちゃんと生徒や先生、学校内におけるE組の立場、E組以外に殺せんせーを狙う人々の姿もしっかりと書かれつつ、その後の進路まで描かれていたのが印象的でした、個人としてはけっこう完成された漫画だなという認識でいます。
でも、まだ『ネウロ』はそこまで読んでいないなと・・・本誌掲載時も『DEATH NOTE』や『銀魂』などを中心に読んでいたので、どうしても扱いは小さかったです、内容も恐らく万人受けするとは思いませんでしたが全202話という数字からもわかるように、人気を博しているのは間違いないですし、何よりネウロと弥子の過程と、まとめ方がきれいだというのを各所で聞いているので、なんとかスペースを確保して迎え入れたいなという面持ちでいますが、優先順位がぐっちゃぐちゃなんで、果たしてどうなることやら。
そして、最新作『逃げ上手の若君』は、南北朝時代の北条時行を中心に史実に基づいて描かれる作品で、日本史でも習うように、鎌倉→南北朝→室町の流れは抗えず、ある程度の方向性、時代の流れは踏襲せざるを得ないジャンルのなかで、どう展開させていくのか、どの部分まで焦点を当てて、または当てないでいくのか、僭越ながら見守っていければと考えるあした・の・β<ベータ>でした。
でも、やっぱり私は読む専門ですね、けど、伝える場においてわかりやすく、文字を少なく、端的に伝えられるように努めて、今後を歩んでいければと思っております、片隅にでもしっかりと松井先生に気付かされたことを維持できるように。
ここまで読んでいただいてありがとうございます(人''▽`) 間髪入れずに言ってみますか・・・ よろしければ!でもまさかね・・・