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TBMにおける可視化とは ~TBMタクソノミー~



1.TBMタクソノミーとは

TBMタクソノミーとは、規律1の「可視化」を実現するためのツールです。
タクソノミーとは一般的に「分類」を意味する英語です。TBMの分類、ということですね。

TBMタクソノミー

現状多くの企業では、IT投資・資産の分類は組織ごとにそれぞれ定義されております。
組織ごとにばらばらの定義を、グローバルのベストプラクティスとして統一する分類方法がTBMタクソノミーです。
IT部門、ビジネス部門、ファイナンス部門といった、使用している言語が異なる部門同士でも通じるように、お互いの共通言語として定義されました。

この「一定の決まり」は現在TBMカウンシルが発行しているホワイトペーパーに記載されています。
(The TBM Taxonomy : https://www.tbmcouncil.org/learn-tbm/resource-center/the-tbm-taxonomy/



2.タクソノミーの4つのレイヤー

TBMタクソノミーにおける4つのレイヤーを下から見ていきたいと思います。

・データソース

TBMタクソノミーの4つのレイヤーに入る前に、根本となるデータソースについて簡単に触れていきます。
取り込まれるデータは大きく5つあり、ファイナンスに関するデータ、インフラに関するデータ、アプリケーションに関するデータ、プロジェクトに関するデータ、ビジネス部門に関するデータ、になります。
これらのデータをTBMタクソノミーを参考に分類し、ITファイナンスの可視化を行っていきます。

データソース例

・コストプールとサブプール

まずは最下層のコストプールにデータを分類していきます。
コストプールではファイナンスに関わるデータを扱います。
コストプールレイヤーには9つのオブジェクトと23のサブプールが存在し、基本的に総勘定元帳に合致させることができます。
CFOやファイナンス部門になじみのある形で表現されます。

コストプール例

・ITタワーとサブタワー

コストプールの分類が完了した後、そのデータは2番目のITタワーへ展開されます。
ITタワーとは、サービスやアプリの基本的な構成要素に分類するレイヤーです。
ここではコストプールに入っているITコストが「配賦」を通じてITタワーへ流れていきます。
ITタワーは11のオブジェクトと43のサブタワーが存在し、IT部門になじみのあるテクノロジーで表現されます。
ここまで構築ができれば、「どのテクノロジーにどの程度のITコストが使われているか」を見ることができます。

ITタワー例

・アプリケーションとサービス

ITタワーに取り込まれたデータは、3番目のアプリケーションとサービスレイヤーに展開されます。
ここではITタワーに入っているそれぞれのテクノロジーごとのITコストが、企業が無数に保有するそれぞれのアプリケーションやプロダクト、ITサービスに配賦されていきます。
これにより、それぞれのTCOが可視化され、「アプリ、プロダクト、サービスにどの程度のコストが使われているか」を把握できるようになります。
CIOやIT部門長にとって価値のある情報を得ることができます。

アプリケーションとサービス例

・利用部門

最後のレイヤーは利用部門です。
どの事業部門がどのアプリやサービスをどの程度利用しているか、売上や利益はどの程度か、などの情報を管理します。
ここまで構築ができれば、「A部門はAアプリをどの程度利用していて、どのくらいのコストがかかっているのか」を把握できるようになります。
ITがビジネスへ与える価値が可視化されるため、事業部門としての成果を追うリーダーにとっては有益な情報となります。

利用部門例


3.TBMタクソノミーの価値

・ITコストが把握しやすい

TBMタクソノミーは4階層からなり、それぞれのステークホルダーの視点をもって整理されています。
そのため、組織それぞれのステークホルダーが自分の見たい軸で分かりやすくITコストを提示することが可能な点が1つの価値です。

それぞれの軸でITコストを確認できる


・繋がりをもって可視化ができる

TBMタクソノミーの価値のもう1つは、それぞれのオブジェクト同士繋がりをもって可視化が可能、という点です。

例えばCRM費用が10億円、利用人数が1万人、
その翌年にCRM費用が11億円に増加していた場合を想定してみます。

TBMを用いたコミュニケーション例

TBM方法論を実現するなんらかのTBMシステム上でCRMをダブルクリックすると、CRMを構成するITタワーのオブジェクトとその金額が展開されます。同様にコストプールも展開され、合算額は11億円となります。
ここで、1億円の増加は何に起因するものなのかを容易に見つけ出すことができるようになります。
また、上記画像のように実際は1人当たりのコストを削減できていた場合、TBMシステム上でどこを削減したのかをロジックをもって説明することができ、組織におけるIT部門への評価を高めることに繋がります。

社内のあるステークホルダーからITコストに関する指摘を受けたとしても、このデータを用いて説明をすることにより、ほとんど調査の時間を使わず、納得感高く経営の意思決定をすることが可能になります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。今回はTBMタクソノミーについて簡単に解説してみました。
良ければTMBの全体像を説明しているこちらの記事もご覧ください。

TBMの旅はまだまだ続きます。

・参考書籍