棗いつきさん 2ndワンマンライブ パラレルショット感想


前書き

1月27日に開催された棗いつきさん2ndワンマン『パラレルショット』感想となります。
 この内容はライブの内容を含みます。ご注意ください。
 
 棗いつきさんの2ndワンマンライブに行ってきました。
 1stで過去と今の作風を物語に取り入れてライブに仕上げていた棗さんの2ndライブです。
 演出が凝っているという事前の情報もあり、絶対に何か仕込んであると想像はしていました。
 概念3Dを使うのだろうか。もっと物語色を強めて来るのかな。
 色々と想像はしていましたが遥か上の物がやってきました。
 概念3D使って物語を作り上げて、昼夜2公演であることを活用してほぼ2部構成、さらに物語の分岐の部分を参加者に委ねるなんて想像できませんて……。
 常々、棗さんは「ライブは皆で作り上げる物」とはおっしゃっていましたが、それをまさに体感させられました。
 小説と音楽とで分かっていたつもりでしたが、まさかライブでも物語を作り上げるとは。

※つい先ほど棗いつきさんからライブのセトリのプレイリストが出されました。
どうかこちらをご参考までに


ライブ序盤

 ここから曲込みで感想を。
 『ストラゴヴィゴス』
 『追想のラグナロク』
 『ハッピーエンフォーサー』
 『Spider Girl』
 最初からクライマックスゾーン。
 「初手ストラゴヴィゴス!?」となったのは私だけでは無い、と思いたい……。
 そこからの『追想のラグナロク(棗いつきver)』で観客をぶん殴ってきましたね。
 『ハッピーエンフォーサー』と『Spider Girl』はダンサーさんのモエカさんとアヤカさんも登場。『ハッピーエンフォーサー』で1stを思い出して鳥肌が立ちましたね。格好良いダンスシーン。
 そしてここは〈リアルの棗いつき〉さんを象徴する今の曲として歌われたのかな、と感じました。
 物語では〈リアルの棗いつき〉さんの所へ猫ドローンのせいで〈バーチャルの棗いつき〉さんが現れ、リアルの身体にバーチャルの意識が転送されそうになるという物。
 ゆえに〈リアルの棗いつき〉さんを表す曲達なのかなと。
 
 
 『名前の無い怪物』
 『Unravel』
 『フォニイ』
 まさかのカバー曲ゾーン。あの時の会場のざわめきは忘れられそうにありません。
 「なんで!?」とは思いましたがここは〈バーチャルの棗いつき〉さんを象徴する曲なのかな、と。
 歌枠などの配信でよく歌われたり、あるいはカバー曲として投稿された曲。最初の〈リアルの棗いつき〉さんのオリジナル曲との対比として、〈バーチャルの棗いつき〉さんが歌っていた曲を持ってくる必要があったのではないかな、と感じました。(※配信でマネージャーさんからの提案である事。新規のお客さんに触れやすいように、という趣旨の理由があったとの事でした。そしてヴァーチャルな存在だからこそ、オリジナル曲は歌えないという理由付けもあったそうです。この記事は配信中に書いているのでそのまま記入しておきます)
 本来感情や思考を持つはずの無い存在が《それまで取って来た行動》や《周囲(この場合はファンと棗さん本人?)の願望や理想》によって動き出す、というのは好みなのでニヤニヤしていました。
 また配信での「ライブでのセトリ予想してほしい」「当たってる人は今の所居ない」の発言の時絶対ほくそ笑んでたでしょう……。
 こんなの想像できませんて!? 最高でした!!

分岐点:昼公演

 さてここから昼夜の分岐でした。
 分岐点は〈バーチャルの棗いつき〉に〈リアルの棗いつき〉の貸すかどうか、という事で、その決定権は観客に委ねられていました。
 前回のライブや配信でさんざん棗いつきさんの質問に「いいよー!!」と返答するようにしつけられていたオタクたちは「いいよー!!」と返します。
 ここから昼公演の内容になります。

 『インドアアドベンチャー』
 『LOVETOXIN』
 『無条件Surrender』
 『My Entertainer』
 〈バーチャルの棗いつき〉さん無双ゾーン。
 〈リアルの棗いつき〉さんの身体を得た〈バーチャルの棗いつき〉さんが歌うシーン。
 事前に配信で告げられていた『インドアアドベンチャー』が出てきました。野太いオタクたちの「育成!! 課金!!」「脳筋!! 寝落ち!!」「破っ!!」でずっと笑い叫んでました。
 可愛い曲のゾーン、でしょうか。〈バーチャルの棗いつき〉さんがこの曲を歌うというのも色々と思うものがあります。
 この辺りは〈リアルの棗いつき〉さんのオリジナル曲を〈バーチャルの棗いつき〉さんが侵食していく、という意味があるのでしょうか。

 『夏の残り香』
 『anarchy』
 『純情サクリファイス(パラレル)』
 『Miniascape』
 『son mscabre』
 〈バーチャルの棗いつき〉さんラスボスムーブゾーン。
 〈リアルの棗いつき〉さんの身体を手に入れた〈バーチャルの棗いつき〉さんが歌った曲たち。
 『夏の残り香』や『son mscabre』等の不穏な曲をここで持ってくるのか!?
 『夏の残り香』の入りで興奮のあまり歓喜の笑い声が出そうになりました。こういうお話大好きです。しかもそれをオリジナル曲を持ってくるなんてもう、最高ですね!!
 そして忘れてならないのが『純情サクリファイス(パラレル)』です。
 あの『純情サクリファイス』をさらにダークに落とし込んだ楽曲でした。
 私は個人的にネタバレという言葉が嫌いなのでCDでの確認無しで向かいました。
 また私は『純情サクリファイス』が大好きです。
 そこでやって来たのがあの曲だったので背筋がぞくぞくしていました。グシミヤギさん神ですか?
 そして最後に来たのが『son mscabre』でした。
 この曲も聴ければいいな、と思っていました。歌ってくれないかな。と思っていました。
 けどこのタイミングで流しますか!?
 「『son mscabre』が『son mscabre』してる!?」と一人謎の思考をしていました。
 曲だけならまだしも演出こみで完璧なタイミングですね。
 あれで〈リアルの棗いつき〉さんが〈バーチャルの棗いつき〉さんに浸食された、という事が決定的になったのだと思います。
 という訳で〈リアルの棗いつき〉さんが〈バーチャルの棗いつき〉に飲まれて消えてしまいましたとさ、と。銃で〈リアルの棗いつき〉さんが打ち抜かれて昼公演の物語は終了です。
 終了しました。
 鬼ですかね?
 初見で回避不能のトラップを仕掛けて強制バッドエンドです。
 しかもこれ何が凄いって分岐点が観客に委ねられているせいで「自分たちのせいで」という感情を観客に持たせる事に成功しているのですよね。
 
 そこからは、ここでライブ初めてのMCとアンコールが入ったのですが。
 アンコールの際、周囲の「これ、アンコールしていいの……?」という空気が忘れられません。
 そしてアンコール曲は
 『ANAMNESIS』
 『Secret of my heart』
 でした。
 さらっと情緒をぶっ壊してくる曲2曲です。
 この2曲で何人のオタクがやられたのでしょうか。
 最後のバッドエンドからの 『ANAMNESIS』『Secret of my heart』でもう、感情がめちゃくちゃでした。

分岐点:夜公演

〈バーチャルの棗いつき〉さんに対して「駄目―!!」と言った世界線のお話です。
 『メーデー』
 『Limitless』
 『FRAGMENT OF QUALIA』
 『The child of guilt』
 『アンダーテイカー』
 『ANAMNESIS』
 『プロパガンダ』
 『優しい嘘(パラレル)』
 〈リアルの棗いつき〉さん逆襲ゾーン(&お前ら無事に帰れると思うなよゾーン)。
 〈リアルの棗いつき〉さんが歌うシーンです。
 なんで(お前ら無事に帰れると思うなよゾーン)なのかというと、このあたりの記憶が曖昧だからです。叫んで動いていた記憶しか残っていません。
 ご覧くださいこの曲目。人が死にそう。
 途中から私は「あぁ、これで全部出し切るつもりなんだな」「あぁ、これ帰りは足が死ぬな」と笑いながら思っていました。
 そして周囲では息切れの声が聞こえて来ていました。
「もう無理……」とも聞こえてきました。
 もしかしたら自分の声だったかもしれません。
 けど次の曲が始まると体は動くのだからオタクって凄い。
 そして夜公演のアレンジは『優しい嘘(パラレル)』でした。こちらは昼の『純情サクリファイス(パラレル)』と打って変わって優しいバラード調となっております。
 アレンジでこうも印象が変わるのかという驚きでした。前に突き進むような格好良さから、包み込むような優しさに変わっています。
 こちらも良かった。グシミヤギさんはやはり神か。
 
 『AIとCodeQの果て』
 約束された感動ゾーン。
 来るのは分かっていたけれど、来たら感極まった曲です。
 この曲の前に〈リアルの棗いつき〉さんと〈バーチャルの棗いつき〉さんの対話が入りました。
 変わらなくていい。頑張らなくていい。同じ(みんなが楽しんでくれた)ライブを何度も繰り返したい〈バーチャルの棗いつき〉さん。
 変わり続ける。努力し続ける。次の曲への期待やわくわく、ちょっとしか変化がライブを作り出していくと告げる〈リアルの棗いつき〉さん。
 以前の配信で「ネガティブな曲にも事務所で挑戦してみたけれど、ネガティブなだけな曲は作れなかった」「自分にはネガティブなだけではなく、ネガティブな中でも希望を持って前に進んでいく」という趣旨の発言をされていたと思います(この辺りうろ覚えです……)。
 〈バーチャルの棗いつき〉さんの「頑張らなくていい。変わらなくていい」というのは胸に刺さる言葉です。私自身、自分が怠惰な性格である事を理解しているのでその誘惑は痛いほど分かるつもりです。
 「それでも私は前に進むんだ」というお話がやっぱり私の好みなのだと再確認できた物語でした。
 昼の〈バーチャルの棗いつき〉さんの発言が「これ本当に棗いつきさんのバーチャルなのか?」と少しだけ違和感はあったのですが、これも棗いつきさんの中にある感情だったのだろうなぁ、と今は思います。
 1stワンマンで「辞めた方がいいのかな、と思った事はありました」と告げられていましたので。
 色々な事に挑戦し続けている棗いつきさんだからこそ、悩んだり不安になったりする事もあったのだろうなぁ、とオタクが妄想しております。
 そして体を取り戻した〈リアルの棗いつき〉さんが〈バーチャルの棗いつき〉さんと対峙します。
 「最後には銃で一思いにやって欲しい」と告げる〈バーチャルの棗いつき〉さんに対して〈リアルの棗いつき〉さんは銃を外します。
 最後ならば華々しく消えよう、と。
 そして歌われるのが『AIとCodeQの果て』です。
 流れが卑怯すぎる!?
 演出も〈リアルの棗いつき〉さんと〈バーチャルの棗いつき〉さんが一緒に歌うという物です。
 卑怯です。卑怯過ぎます。
 こんなの泣きます。
 棗いつきさん、基本的に否定をしないのですよね。
 今の自分も、過去の自分も。
 リアルの自分も、バーチャルの自分も。
 その全てを持って〈棗いつき〉という存在である、という事を1stでも2ndでも表現されていたように感じました。
 自分すらも組み込んで物語を作り上げているその姿勢がとても好きです。

 『My Entertainer』
 『キミとひとつ。』
 そして夜公演のアンコールはこの2曲でした。
 昼公演の『ANAMNESIS』に対応する『My Entertainer』でしょうか。(配信で昼は〈バーチャルの棗いつき〉さんが選んだアンコール曲、よりは〈リアルの棗いつき〉さんが選んだアンコール曲と言われてましたね。〈バーチャルの棗いつき〉さんが選んだのが『ANAMNESIS』『Secret of my heart』なんですね。そっか。そっかぁ……。どんな気持ちで『Secret of my heart』選んだのか想像すると色々と恨めなくなってしまいます)
 『君とひとつ。』は「消えてしまったとき キミはなんて言うかな その不安も手を取って踏み出していた もしも、この時間(とき)が最後だとしても ボクは笑って歌うよ」の歌詞がもう、泣きます。

 こうして〈リアルの棗いつき〉さんと〈バーチャルの棗いつき〉さんの対立は収束し、〈棗いつき〉さんとして再び歩み始めたのでした、でいいのでしょうか。
 本当に、ライブでここまでの物語を作り上げるとは想像もしていませんでした。
〈棗いつき〉さんであることを全て出し切った素晴らしいライブだったと思います。
 そして私にとっても最高のライブ体験でした。
 本当に、本当にありがとうございました。

個人的な事


 ライブ後に初めて打ち上げに参加させてもらいました。
 ただスマホの充電がギリギリだったので写真が1枚も無く……。
 他の記事の方が挙げられているのでどうかそこで……。
 楽しかったのですが、自己紹介の時に何度か「あぁ、あのアシアさん?」と言われたのでびっくりしました。
 私はSNSに低浮上なので、おそらく『らぷりアドベントカレンダー』の記事だとは思うのですが。あと「鳩の人?」でしたね。
 ネットって凄いですね。
 けれどとても楽しかったです。普段から推しの話ができる人は居ないので、初めてあんなに話ができました。
 次回、2月4日(日)のクラリムステラにも行きますので、そこでお会いした方々とはまたお話ができればなと思っています。
 あぁ、本当に楽しいライブでした。

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