Misiones PF（ミシオネス　ピーエフ）　―アルジェリアからやってきた茶葉は穏やかで力強い

　以前、あまり紅茶の産地としてイメージのない場所で採られた茶葉を紹介していた時期がある。正直、毎回1つずつ消費していたこともあり、改めて飲み比べても多分違いが見極められないものもある気がして、少し遠のいていた。ただ、購入したからには、全部試してみる他ない。今回は長らく書けていなかった、アルジェリアの紅茶であるMisiones PFを取り上げる。

　袋を開けてみると、細かい茶葉が入っている。名前に付いているFPは等級を表しており、ペコーファニングスというようだ。サイズとしては、小さめのものを指すBOPFよりも少し大きいとのこと。ただ、抽出する際に茶こしから結構漏れてしまったことを考えると、かなり細かい部類と考えて良さそうだ。香りとしては穏やかで、何にでも合わせられそうな印象だ。
　飲んでみると、こっくりとした深みがある。飲み方としてはストレートがおすすめだ。一見ミルクとの相性も良さそうなので試してみたが、ミルクの甘さと芳醇な紅茶の風味はなく、あっさりし過ぎという印象だった。レモンは試していないものの、渋みや酸味が強めのタイプではないため、あまり合いそうには思えない。


　突出した個性を持つタイプの紅茶ではないため、ペアリングを考える際も特に困らないだろう。
　食事系の場合、単純なバタートーストからどっしりしたエッグベネディクトまで、何でも問題ないはずだ。個人的には、カニカマをからしマヨネーズで合えたものとモッツアレラチーズのサンドイッチを合わせてみた。マヨネーズとチーズのまろやかな味わいを穏やかな紅茶が包んでくれるような組み合わせで、ぴったりだった。ぴりりと辛いからしのアクセントも、丁度良い印象だ。

　スイーツと合わせる際は、スイーツをメインに据えるイメージの方が良さそうな印象だ。ただ、あまりすっきり感の強い紅茶ではないため、菓子もさっぱりとしたフルーツティーな物より、バニラやチョコレートの風味を持つものの方が親和性は高そうに感じる。具体的にはクッキーやロールケーキのような物が良いだろう。個人的に合わせた中では、チョコレートを練り込んだデニッシュが良かった。しっとりとしたココアと鼻に抜けるバターの香りのパンを、紅茶が引き立てる形で、楽しめた。ちなみに、今回ペアリングしたデニッシュはチョコレート専門店で購入したもので、甘さは控えめでありつつもチョコレートの風味がしっかりと感じられるタイプだ。他の菓子の場合でも、ミルクよりもダークの方がこの紅茶には合うだろう。


　最後に、Misiones PFは量り売りのみの販売だ。どうしてもこの茶葉でないといけない、とい理由は見つけにくいかもしれないが、あまり紅茶のイメージがないであろうアルジェリア産ということで面白いとは思う。色々な紅茶をある程度試した人が飲むことで、発見を得られると推測する。関心を持った人はぜひ手にしてみて欲しい。

参考文献
モクシャチャイ「紅茶の等級 紅茶のグレード」（2023年7月16日1時38分閲覧）
紅茶の等級 紅茶のグレード - モクシャチャイ | チャイカフェ中目黒 マサラチャイ インド紅茶通販 (mokshajapan.jp)