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明日ノ澪
2023年6月8日 20:43
僕にはもう既に彼女の色がべったりと張り付いているのだろう。真っ直ぐに見る瞳を失って、彼女の音の方に漂って、触れたら消えてしまう事も恐れず。きっと恐れる脳味噌が溶けて無くなっていたのだ。一方彼女は正反対で。馬鹿な僕の向こう岸で、真っ直ぐ澄んだ瞳でこちらを見ていたのだとしたら。「よっちゃん……」小春は僕を抱きしめて浅い息をする。脳味噌の溶け出した後の僕を。出会った時から今まで、ずっと