見出し画像

神の手を持つ鍼灸師たち

みなさん、こんにちは。
今日は、卓越した技術と優れた感覚を持ち合わせた鍼灸師たちを紹介したいと思います。

鍼灸師は星の数ほどいますが、わたしを含めほとんどの鍼灸師は凡人です(笑)。
日々多くの鍼灸師が熱心に勉強し、経験を積み、感覚を磨いていますが、類まれなる才能を持つ鍼灸師はほんの一握りにすぎません。

そして、類まれなる鍼灸師の多くは『脉診術』をマスターしていることが多いです。

日本伝統の鍼灸である経絡治療は脉診を重視します。
脉診をマスターした鍼灸師は、患者の症状や体質、妊娠しているかどうかなども見極めることができます。

養成校では、一応脉診の授業があるのですが、教える教員が脉診をマスターしているケースはまれですし、一般的に脉診をマスターするには十数年かかると言われています。

ひと昔前までは、鍼灸は徒弟制度が主でしたので、師匠について脉診技術を学び、習得することが可能でした。

しかし、現在師匠について学ぶ鍼灸師はほとんどいません。
養成校を卒業した学生の多くは、グループ系列の鍼灸接骨院などに就職するため、どちらかというと実利的な技術というか営業力?を習得することになります。

独立した場合であっても、定期的な勉強会に参加しながら独自に学ぶ以外に脉診を習得する方法はありません。

そもそも、師匠につかずに独学で脉診をマスターするのは至難の業です。

独学で勉強して脉診を治療に取り入れている先生は少なくありませんが、指導者がいないため、その脉診の判断が誤っている可能性は多分にあります。

こうした事情からわたしは脉診に頼らない、医師が考案した鍼灸治療を取り入れています。(それでもとりあえず、脈の速さや不整脈かどうかくらいはわかるので脈は診ます)

さて、これまでに実在した鍼灸師の中には、名人と呼ばれる鍼灸師が少なからずいます。

今回ご紹介したいのは仙人のような沢田健先生と、ひたむきに真摯に患者に向き合い独学で脉診をマスターされた長野潔先生です。

沢田健先生は、鍼灸師であればだれもが知っている大正時代から昭和にかけて活躍された鍼灸師です。
『鍼灸真髄』は、著者である代田文誌先生が沢田健先生の臨床を細かく記録した本で、鍼灸師のバイブルといっても過言ではありません。

この本を鍼灸師になる前に読むと、「こんな鍼灸師になりたい!」と思うのですが、鍼灸学校に入ると、こんな類まれな才能を持つ人は、この世に数人しか存在しないことを思い知らされます、、。

あらゆる病を独自の古典の解釈により灸治療で治していく名鍼灸師が沢田健先生です。腰が90度に曲がった高齢女性も沢田先生の治療を受けるとまっすぐ伸びます。本を読んでいると実在しないんじゃないかと疑ってしまいたくなるほど腕の立つ先生です。その様子は人間ではなくまるで仙人?!生きているうちにお会いしたかった先生のおひとりです。

そして、次に紹介するのが昭和の時代に活躍された長野潔先生。
長野式で有名な鍼灸師で、その弟子にアメリカで活躍する松本岐子先生がいます。

長野先生は、病院の患者さんの脈を診続けて独自に脉診をマスターされた鍼灸師です。長野先生の著書を読むと、基本は脉診によって診断し、治療を行っていることがわかります。

松本先生が長野先生に弟子入りした際、自分には長野先生のような脈を捉える鋭い指の感覚はなく、到底習得できないと思い、ご自身で腹診術をあみだされました。それが、のちの「キーコスタイル」です。

長野先生は沢田先生とは異なり、才能だけでなく、努力の人であることがわかります。(沢田先生も相当の努力をされたでしょうが努力より生まれ持った才能が勝っている気がしてなりません、、)
先生の著書の中では、治療が奏功した症例だけでなく、奏功しなかった疾患についてきちんと記録し、記載されています。
多くの鍼灸師は、成功した症例しか書きませんし、セミナーでもいかに自分の技術が効果があるかということしか言いません。
長野先生のように、正直に、この疾患には効果がない、と本に残す先生はまれです。

この点からも長野先生の実直な人となりがわかると思います。

もちろん、本として出版されているからこそ、沢田先生も長野先生も世に出ていますが、世に出ていない仙人のような鍼灸名人は存在すると思います。

もし皆さんがそういう鍼灸師に出会えたら本当にラッキーだと思います。
わたしもいつかそういう鍼灸師に出会ってみたいと思いつつ、凡人なりに日々勉強しながら患者さんから教わる毎日です。

猛暑が続きますが皆さん熱中症にはくれぐれもご注意くださいね。
よい一日をお過ごしください!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?