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【11】家の中の小人たち②

ある日。

公園で夏祭りがあると知った私は、
(子どもたちが帰ってきたら、公園で夏祭りがあるよって教えてあげようっと)と思いながら過ごしていた。

すると、帰ってきたケイが玄関から入ってくるなり
「ウケる!小人たち、なんかちょうちんぶらさげて、盆踊りしてるし!お祭りか何か?」と言ったのだ。
みんな、浴衣のようなものを着ているらしい。

偶然かな…。
小人たちも、夏になったなぁなんて、季節を感じて盆踊りしてたのかな。なんて思うようにした。

でも、それからの日々も。
私がご機嫌で過ごしていた日に、ケイが学校から帰ってくると、玄関を開けるなり
「すごーい!綺麗!小人たちがお花畑にいる!」と言ってみたり

逆に、心配事があったり、落ち込んで過ごしていた日には、
「え!?なんで?今日は小人たち真っ暗な洞窟にいるの?」なんて言うのだった。

そしてある日。

私は子どもたちが学校の間、祖母の引っ越しを手伝った。
母とたくさんの荷物を段ボールに入れ、運ぶ作業をし、家に帰ってきた私は疲れ果てて寝ていた。

ケイは学校から帰ってきて、お菓子を食べながらぼんやりと何かを見ていた

「どうしたの?」と聞くと

「おっかしいんだよぉ。今日の小人たち。なんかねぇ、たくさんの箱?段ボールみたいなのをせっせと運んで忙しそうにしてるの。」と…。

やっぱり・・・
完全に小人たちは私のことが見えるんだ!

そして、そのエネルギーを読み取って、真似をして遊んでいるのだった。
今回、もう確信したのでそのことをケイに伝えると

「そうかもねぇ。小人たち、ママのこと大好きだもんね。」と答えた。

「へぇ~?ママのこと好きなの?ケイじゃなくて?」と聞くと

「うん。だって、小人たちの身につけている洋服とかリボンとかのタグに

『We Love Mama』

って書いてあるもん」

なんてかわいい!!
なんて嬉しい!!
なんというファンタジーな世界!!

「きっとママ、小さい頃一緒に遊んでたんじゃないかなぁ」
とケイが言ったとき、私ははっとした。

そう。ケイが小学校1年生になって引っ越ししてきたこの家。
ケイが小人が見えるようになったこの家。
この家は、私が幼稚園から結婚するまでの間住んでいた家なのだ。

だから。
子供の頃、一人でお留守番しているときも怖くなかったし、全然寂しくなかったんだ。

私は、ケイみたいに小人が見えないけれど、きっと小さい頃、そのエネルギーは感じていたんだ。
この家の中にいる時の、私の絶対の安心感は、このエネルギーだったんだ!




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