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【41】決断

軽やかに生きる。
スピリチュアルな学び。

私はいつも、自分がいいと思った内容を家族に共有していた。

【やりたいこと】をワクワクと行動して、
そうやって、自分の世界を創っていく。

そんな内容を、ナッツも

「ナッツ。大学生になったらまたダンスしようかな♪ 」

と笑いながら聞いてくれていた。

引越ししてきて…

まず、アカルンが学校に行かなくなり

次に、パパもお仕事をお休みすることに決めて

ケイは、『ちゃん』と交代で家にいたり学校行ったり。

今思うと、そんな中、一人、
必死で、転校先の高校に通っていたナッツにとっては、
私の話す内容は、聞いてて辛かったかもしれないのに…

休日はいつも、ナッツも一緒に、公園でバーベキューをして、
アカルンとケイと一緒になって大笑いをしていた。

でも…
やっぱり。
ナッツも無理をしていた。

あまりに辛かった頃のこと。
簡単に書きたいけれど。

3学期に入り、ナッツは体調を崩すことが多くなった。

何度も、病院に「処置」をしに通った。
(手術って書こうとしたら、ナッツが「大げさだよ。入院はしなかったじゃん」というので、「処置」ってことに)

なぜ、何度も?


「出席日数が足りなくなりそうです。進級できないかもしれません」

この言葉に、不安と焦りを感じ、回復しかけるとすぐに学校に行かせていたから。

まだ、完治してなかったでしょ?
体に出てるのに、まだ無理をするのですか?
と、何かの警告。とても厳しい警告。

学校に行けば、悪化して…
それを何度も…

そんな時でも、『ちゃん』は、ベッドの横に来て
「ナッツー。大丈夫?」と、ナッツのほっぺたを挟み

ナッツが
「大丈夫よ。」と笑顔で言うと

「あのね。これ美味しいよ♪ 食べる?」
と無邪気に食べ物を運ぶのだった。

「もう行っちゃダメ」とか、
「まだわかんないの?」
というようなことは言わなかった。

きっと、あくまで、私たちの自由意志を尊重していたんだろう。

「痛そう…明日からもお休みするでしょ?」
と聞く『ちゃん』に
いつもナッツは笑顔で
「大丈夫。明日からは行けそうだよ」
と答えるのだった。

7回目の処置のあと。


膨れ上がった傷口から出る血と
ナッツの涙がまざって、赤い涙になった。
それを拭きながら、私も泣いた。

【なんてバカなことしてるんだろう。】
と私は思った。

【どうしたらいいか、わかってるのに、なんで勇気がでなかったんだろ。】

「もう、学校辞めていいんだよ」ってなんで言ってあげなかったんだろ。

ナッツから言い出せるわけないじゃない!

だってナッツは…

今まで、子供たちやパパのことで悩んだ私の全てを、見てきてるから。

(私だけでも、学校行って。私だけでも、ママに心配かけたくない)
って思ってるに違いないんだから。


「ナッツ。もう。しばらくお休みしよう」

と話し出したとき、電話が鳴った。
担任の先生から。

私は覚悟が決まっていた。
先生は、こう言った

「あと、足りないのは、学活だけなんです。
それを受ければ、進級できるでしょ。
あ、あと、こないだのテストをやらせます。」
(そのテストは診断書を出して欠席していた)

「だから、明日、最後の時間の学活だけなら来れるでしょ。
そのあと、テスト受けて…。あとは、もう数日だから休んだら」と。

「明日!?いや…あの。まだ今日処置したばかりで…痛みも」
と言った私に

「片目でしょ?眼帯してこれるでしょ?」
とあきれたように先生は言った。

カッとなって、頭に血が上った私に気付いたナッツが

「ママ。大丈夫。ナッツ明日行くから。眼帯して」
と言った。

そして

「大丈夫。ママ。
明日行って、全部言われたことしてくるから。
進級できる単位を取れるわけだから。
そして。あたし。
3年生は、アカルンと一緒の通信制に転校する。」
と言った。

アカルンは、4月から高校生になるので、子育て支援センターから、通信制の高校という選択肢があることを教えてもらっていた。

ナッツも通信制へ。

そうだ!そうしよう!
もう頑張らせなくていいんだ!

次の日。

ナッツは先生から言われた全てのことを処置した目を眼帯で隠し
処置していない片方の目だけで、終わらせてきた。






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