夢日記20230311 一間
温泉街から少し下ったところにその部屋があり今は空き部屋になっている。小さなカンバスに入居者募集の張紙、それが何とも気になっていた。
中、見てみます? と、小太りのおばちゃんが声を掛ける。
ええお願いします。
中に入ると今はただ一間の物置で、風呂もトイレもないようだ。風呂は温泉があるし、さして問題があるとも思わない。キッチンも今のところ見当たらないが、それもコンビニや小さなスーパーでもあれば大丈夫だろう
二万円
え
月々
ああちょっと
ん
寝転んでもいいですか
寝転べるならね
はい
五時に閉めるからそれまではお好きに
と、おばちゃんは行ってしまった。段ボール箱を奥に脇に押しやり、寝っ転がってみる。薄汚れたじゅうたんは背中に良く馴染む。
ぼーっと薄目を開けていると、入り口の脇の方に小さな、明かり取りの窓がある。くしゃみをひとつし、目を閉じ何を買って掃除してなんて思いを巡らせながら、そのまましばし眠りこけた。
そろそろ
あ、はい
外に出ると、温泉街が少し賑ぎわい始めている。
どうします、お部屋?
あ、借ります。
だと思った
今日からでもいいですか
いいけど電気通ってないわよ
いいんです夜は寝るだけですから
おばちゃんはまたふふと笑う。さっきから笑われっぱなしな気がする
だって今も寝てまた
ああですね
ま別にいいんだけどね
簡単な履歴書、申込書にサインしてカギをもらう。敷金礼金は持ち合わせの漱石八枚でいいとのことで、早速また風呂と腹を満たしに温泉街をぶらつくことにした。