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アンティーク着物と古裂と私 vol.7 新たな展開に

続きになります。

本の出版後、デパート催事での販売に新しく加わったことがありました。
今までは店舗ブースを設営し販売するだけでしたが、主催者側から、オーナーのトークショーや会場内で企画展示をしてみないかと提案されるようになったのです。

「古裂と着物の話」のトークショーでは、聞きに来てくださるお客様達も着物姿で、会場が華やぎました。
トルソー(マネキン)におすすめコーディネイトを着せて、トークショー終了後に販売したりもしました。

企画展示では、本に載せたようなオモシロ柄や駄玩具、子ども着物などを展示。
珍しいもの、面白いものをただ飾りつけるのではなく、展示内容には必ずテーマを持たせ、お客様たちが古裂や着物の世界を楽しめるように心がけました。
自分たちで小冊子を製作、企画展示のミニカタログ的なものを作りました。

デパート催事での内容が色濃くなっていく大変さはありましたが、新規のお客様との出会いがあり、店の特色をより多くの方に知っていただける機会でもありました。

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路面店は、最寄り駅により近い場所に移転することになりました。
また、路面店とは別の場所にもう一店舗、新しい店がオープンすることになりました。

スタッフは、最初の路面店時代からの方々が退職し、新しい方が入ってきたり変化がありました。
「オモシロ柄」の本を読んでうちの店で働きたいという方が、スタッフ募集に来てくださるようになりました。

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勤務年数が増えてきていた私は、シフトづくりやデパート催事の企画案、新人さんへ教えることなど、販売以外の作業もしていました。

あるデパート催事の終了後(夜9時半ごろ)、別のデパート催事の搬出作業に合流したり、
店舗業務が終了してから記事校正をしたり、
店とデパート催事と骨董市を、オーナーとスタッフ全員で必死に回していました。

このように書くとブラックな感じがしますが(たしかに紛れもなく黒い…(笑)どの骨董店、アンティーク店も、少人数でハードスケジュールをまわすのがこの業界、という空気でした。
店主も店員も、好きじゃなきゃやれない、そんな感じでした。
過剰とも言える労働を賛美しているのではなく、これが普通であり、むしろ余裕があるようなところを私は見たことがありませんでした。
今は違うと思います。私が居た頃から10数年は経っていますので。

お客様から見れば、華やかで綺麗なものを売ったり、ヒビがあるのにびっくりする値段のものを扱っていたりで、「古いものを売って、いい商売ね」と言われることもありました。

骨董、アンティークに価値を見出すか否かは、お客様次第です。
中にはつよい言葉を突然店員に投げかけてくる方もいらっしゃいました。
傷つくこともありましたが、それ以上に、色の美しさ、手仕事の素晴らしさに感動したり、「大切にします」と我が子を抱えるようにお持ち帰りになるお客様にたくさんお会いすることが出来ました。
実店舗、デパート催事、そして骨董市のお客様は当然ながらそれぞれが違って、売れるものも違う……今、とても懐かしく思い出しています。

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骨董、アンティークの店の人は、お客様側からはどう見えるのでしょうか?
話好き? 怖そう? 何でも鑑定団??

次回「vol.8 骨董市」に続きます。
読んでいただき、ありがとうございました。

※見出し画像は夏着物(絽縮緬)です。この花はケイトウかな?着物、帯に描かれた花を、お客様に聞かれることがよくありました。ケイトウ、間違っていたらごめんなさい。





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