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箱根登山鉄道の旅

我が家の兄弟がふたりとも小学生だった時のお話。

小学校の開校記念日は、うちの小学校だけが休みというスペシャルな日。

だからこそ貴重で、ここぞ!という体験が出来たらいいなぁと思っていた。

4年前の開校記念日、兄4年生、弟1年生。

ロマンスカーに乗って箱根に向かった。

ロマンスカーの終点「箱根湯本」駅、次は箱根登山鉄道に乗り換える。

兄弟初めての登山電車。
スイッチバック初体験。

スイッチバック(英語: switchback)とは、険しい斜面を登坂・降坂するため、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに敷かれた道路又は鉄道線路である 。〈ウィキペディア(Wikipedia)より〉

こんなイメージ↓

スイッチバック

登山電車に乗って目指す駅は「強羅ごうら

箱根湯本駅から強羅駅まで3回のスイッチバックがある。

車内には「ただ今よりスイッチバックいたします」というアナウンスが流れ、運転手さんが電車から降りる姿を車内から見ることが出来る。

運行中なのに運転手さんが線路に降りちゃった!
どこ行くのーーーーー!!!おーーーい!
驚く子ども達。

進行方向とは逆へ向かう運転手さん。

「これからさっきまで進んでいた向きと違う方に、一回戻るみたいに電車が動くよ。」

声をかけ、兄弟を安心させる。

運転手さんが反対側の運転席に乗り込むと、電車がまたゆっくり動き始める。

「こうやってジグザクを繰り返して山を登るんだね。」
「高い山を登るためには、行ったり来たりしながらも必要なんだね。」

もしかして私、良いこと言ってる?

これって人生にも言えることだよ……聞いてる?兄弟?と思っていた矢先、

「オレ、実はトイレを我慢しているんだよね。」

長男、突然のカミングアウト。

え?そうなの?え、え、じゃあ、次の駅で降りよう。

夫と降りる相談をしていると

「いやいや、大丈夫。降りたくないから。我慢できるから。」

そんな事言ったって、降りてまた乗ればいいからさ、大丈夫なんだよ。我慢するの、よくないよ。

説得に耳を貸さず

「降りたくな―――い。オレは大丈夫!」

数十分間の尿意との格闘の末、強羅駅に着くとトイレに向かって走って行った。

すっきりした後に撮影。

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◇◇◇◇◇◇

小4だった長男は中学生に、次男は小4になった。

箱根湯本駅でピースサインをする兄弟の写真。
まだまだ幼さ全開で、とても可愛らしい。
そうか、あの頃の長男の年齢に次男がなったのだなぁとしみじみ。

今、長男とは毎日、大なり小なり喧嘩になる。

母親の言う事、指摘することには全て反抗するお年頃。

でも言いたくもなるのよ。
返ってきた中間テストの点数。
ぐちゃぐちゃな部屋。
脱ぎっぱなしの服や飲みかけのコップ。
通学リュックの底から発見されるくしゃくしゃな保護者宛配布物。

「今度こそ!」
「オレを信じてないの?」
「お母さんとオレは違う」
嫌なことはつい逃げてしまうよね。
すごくわかる、お母さんも本当はそうなんだ。
昨日は縄跳びをさぼりました。

時にはスイッチバック。
戻って、またゆっくり少しずつ進めばいいよ。
一緒に居れるあいだは、ジクザクしながら登っていこう。

【追記】
見出し画像と、文中の写真(すっきり後に撮影)に出ているのは「箱根登山ケーブル」でした。いま中学から帰宅した長男に指摘され、箱根登山電車ではないこと、追記しておきます。失礼いたしました。

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