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侵略的な赤とその野望の対価ーーFE風花雪月紅花ルート感想

まず念頭に置いて欲しいことが一つあります。
初めてFEシリーズ(ファイアーエムブレム)に手を出したのがこのゲームで、紅花ルートは一周目でほぼ何も知らず選んだルートです。

そもそも急に五年前のゲームをやりだした理由としては、わたくしのツイッターにしつこく出てくるセテスのファンアートでした。
あのむっつり顔に長髪とあごひげが完全にうちの性癖とドンピシャだったし、最近はシミュレーション系や戦略系のゲームをもっとやりたいと思って買った次第です。
そして五日間ぐらいかけて、ノーマルクラシックモードでクリアしました。
ちょっと思うことたくさんあって、このルートもちょっと賛否両論的な感じなので、自分の思いの清算としてネタバレ満載の感想を書いてみようと思います。

ゲーム性

本当にやばいほどどっぷりハマってしまった。 元々戦略系ゲームは途中で飽きてしまい投げ出すのが多々あるので、ちょっと警戒しましたけど、このゲームは本当にハマる。
ゴリゴリの「出撃」に飽きたら、「散策」に行って推しと会話して疑似恋愛を堪能したり、会話が済んだら「講習」で育成を楽しんだり。
ストーリーも青春でドキドキがあれば、緊張感の漂う暗い部分もあり。
色々が充実してて本当に飽きなかった。 そ
れにやっぱり自分が育った「生徒」たちが立派に成長してて、戦場でサクサクと敵を倒していく様を見るのが本当に最高に気持ちいい。
個人的にはこういう戦略系ゲームはあんまりやったことないですけど、完全にハマってて次何のゲームを買おうかなって悩んでます。

ストーリー

面白いエンタメ要素がたくさんある。
戦略ゲーなのに、士官学校の存在のおかげで、第一部ではドキドキの学園生活、第二部では血まみれの壮絶な戦争。シリアスと学園ものを同じゲームにすると大胆さ。
それにこの「五年後」という設定もマジでうまい。育ってきたキャラたちのビジュアルも変化していくのが面白い。
あの冴えない高校生姿がこんな大人気が帯びてる素敵な騎士に!?というギャップにもやられました。
ていうか五年後のエーデルちゃんカッコ良すぎるだろう!
そしてこのゲームをやりながら、どこかの攻略で「ルート分岐」という単語を見た時、ちょっと「あっ」になりましたけど、それでもできるだけのネタバレを避けて自分なりに進みました。

そもそもなぜわたくしが「エーデルガルトを護る」のを選んだ? そしてなぜ「帝国ルート」を検索でかけてみると「嫌い」と出てくるの?

第一部のストーリーは「生徒と青春を楽しみながら、闇に蠢くものを退治する」的な話で、同時にこのゲームの世界観、国それぞれの文化だったり、教団とソティスの謎だったりを探索していくゲームで。
王道的な話を進むんですけど、度々教団の闇の部分をほのめかしたりする。
主にはジェラルトとエーデルガルトに、レア様の裏になにかあるとかいざ何があれば戦う羽目になるだろう的なものを言われる。
そういうわけでわたくしとしては、教団はめっちゃくちゃ怪しく感じるし、レア様のあの笑顔と寛大さを見せかける感じも個人的には苦手です。
そのせいで多分ただのシスコン(親バカ)のセテスも怪しく感じてしまう。
教団に関する感想は、まず教団ルートをやらないといけないなので、今回はこれぐらいにします。

エーデルガルトに「私は炎帝です」とかまされた時、わたくしはくそほどショックだった。
「ルート分岐」に「教団ルート」と「帝国ルート」が分かれてる時点でわかるだろうけど、マジで気付かなかったからショックだった。
ああいう強気で王道の主人公顔のエーデルガルトが平気で人の命を犠牲にするって普通はありえないでしょう。
パッケージも立ち位置も、何ならディミトリよりも主人公っぽい感じがまさかのラスボスとか、エンタメ性としては本当に一本取られたって感じです。

それでわたくしがざっくりとネットの反応を見る限り、やっぱりみんなは侵略をする側で知ってる人たちを殺しに行くのが胸くそ悪すぎるだったり、これまでの死人がエーデルちゃんが一枚噛んでるのがダメだったりですけど。個人的に一番ダメだったのは、「エーデルちゃんの動機があやふやなこと」「親殺しを加担すること」です。


問題点①「エーデルちゃんの動機があやふやなこと」

分岐点では、エーデルちゃんが「私は炎帝です、さあどうしましょう」的な感じで、完全に裏切られた生徒や先生(わたくし)のことを説得、説明すらしなかった。
ギリギリの解釈をすれば、エーデルちゃんは自分が酷いことをしてるという自覚があるから、許しを求めてないから何も言わなかったってギリ言えるけど。
でもこの時点で、プレイヤーに「護る」か「斬る」かを聞いてるから、やっぱりエーデルちゃんの一言が欲しかった。
もちろん全編を通して、エーデルちゃんの思想がわからなくもない。
紋章による差別や格差を無くしたいから、その格差を作り上げそしてそれを利用して社会を牛耳っている教団を無くしたいのはいいことだと思っている。
ただし、それがエーデルちゃんがあの場でちゃんとした説明があったらの話です。
急に炎帝ですって言い出したら、偉大な革命家じゃなくこれまで「闇に蠢くもの」たちが起こした事件にかかわっている悪者にしか見えない。

問題点②「親殺しを加担すること」

 普通はないでしょう。
いくら偉大で立派な思想を持って革命を起こしたいと言われても、父親を殺したモニカことクロニエと通じてる人を護るのはおかしい。
てかまず主人公がこのことについて何も言わないのが変ですし、それ以上に説明一切しないエーデルちゃんがやっぱりダメ。
一応このあとでヒューベルトが出てきて「闇に蠢くもの」との関係を説明してくれるんですけど、遅すぎです。
この辺のペース配分がちょっと変ですね。急な展開が多すぎるし、ちゃんとした説明もなくただついてきてほしいみたいで、人によっては割と胸くそ悪い。
ここの流れの描写が足りなくて、面白い展開なのにしらけてしまう。
エーデルちゃんが熱い演説をかましてくれたら、くそほど熱くなるのにこれはもったいない。

問題点③「そもそも戦争を始めるきっかけが足りなかった」

例えば領地が侵略されたり、政治家が暗殺されたり、最初は何らかの事件があってその国の統領がそれを口実に戦争を始めるのが定番中の定番。
何も起こってないのに、大勢の人がついて行くわけがない。
何らかの正当化をしないと、エーデルちゃんがただの悪役に見える。
今のエーデルちゃんが中途半端な悪役になっててなんかモヤモヤする。
どうせなら「必要悪」の要素を全面的に押しだしガッツリとみんなを騙して悪者になりきった方がいい。
エーデルちゃんが盛大に嘘をつけが教団と「闇に蠢くもの」がつるんでるって証拠を出して、みんなが先生の仇を討とうとして戦った方がマシ。
こういうところの描写が足りなくてキャラクターたちがリアリティーも説得力もいまいちのが残念。

一応「エーデルガルトを護る」を選んだ理由としては、
個人的にレア様が苦手で教団があまりにも怪しすぎるのと、
エーデルちゃんの思想には賛成なので、
今回は「覇王ルート」「帝国ルート」こと「紅花ルート」を選びました。
(ていうかなぜかセテスとレア様の間に何とも言えない雰囲気がしてNTRされたくないので、選ばなかっただけです…
セテスとフレンは親子なのが分かるけど、じゃあ二人はレア様とどのような関係…
今作では髪色が緑だと99%女神と何らかの関係、つまり女神の眷属…
まさかレア様こそフレンの母親!?ていうかフレンが直々レア様みたいな感じになる??)

問題点④「スカウトした生徒」

そしてこのルートのもう一つの弱点としては、「スカウトした生徒」です。 第一部では軽い気持ちでスカウトした別学級の生徒たちは、第二部ではうっかりと帝国軍として取り込まれ自分の家族を裏切ったり戦う羽目になる。 自分のお父さんと戦うことになる時、動機が完全にゼロのフェリクスは個人的に割と悪かった。 戦ってる時に特殊な会話が出るが、あれ全然捗ってないというか全然事情とか説明してないし、単なるカオス。
「紅花の章におけるスカウトキャラの寝返り動機について」のブログ記事を見ればわかるけど、キャラクターたちの動機がぐちゃぐちゃになる。
もちろん開発者の気持ちはわからくもない。
自分の理想のチームを組めるのが大事だと思ってるプレイヤーも少なからずいるから、多少なストーリーやキャラが崩れてても、どのルートでも「スカウト」をなるべく自由にするという取捨選択的な感じがわかる。
ちょっと仕方がないって思うけど、これのせいで、紅花ルートが不完全なルートに感じる。

ちなみにエーデルガルトとヒューベルトのデザインがマジで絶妙で好き。
エーデルガルトは見た目強気でツンデレ感出してて、一国の皇帝だからしっかりに見えるけど、裏ではベレトスにデレデレするところまで見えるのに、実際はクソほど意思が強く完全に最初から完成された主人公みたいな感じで。
ヒューベルトは典型的な「正義のヒーローの裏に存在する必要悪」みたいなポジで、悪役でもよく見る頭脳派の幹部。
そしてモチーフとする「赤」もまた絶妙。 このゲームのパッケージでは、「赤」って主人公の色っぽいでしょう、鮮やかなエーデルガルトのレギンス。
でも裏を返せば、それが悪役の禍々しい「赤」にもなれる、まるで狂いだした獣の瞳の色。
だからこの二人は「正義のヒーロー」も、「恐るべしのラスボス」にも見える、マジで素晴らしいキャラデザイン。


支援システム

さて、批判は多かったけど、ちょっといい話をするか!
支援システムマジで面白い。 やっぱギャルゲー大好きのわたくしとしてはこういう好感度システムは楽しい。
黒鷲の学級を選んだ時、エーデルちゃん以外に好きなキャラはいなかったけど、支援会話を見たら割とクラス全員好きになった。 クラスのみんながいいキャラしてるし、何よりも組み合わせによって思いもよらぬような会話が聞こえて、カプ厨の天国かよって言いたいぐらいだ。

面白いカップルとペアエンド

シルヴァンxドロテア
二人とも生まれ育った環境に悩まされちょっと切実な問題を抱えてお互いに打ち明けるような関係性。割と良い。チャラいシルヴァンなのに最後の最後にずっと一緒にいるよとか最高じゃねえか。

カスパルxエーデルガルト
個人的にはちょっと変化球がすぎるかな? 一国の皇帝の重荷を一緒に背負うことになるから、エーデルちゃんの恋愛はちょっと想像できないかも。カスパルも弟キャラがすぎるから、かえてエーデルちゃんに迷惑かけてそう。 相応しい男がわからん。ヒューベルトかフェルディナントぐらいだと思う。

フェルディナントxベルナデッタ
これちょっと理解できないかも… フェルディナントxドロテアの方がいい。 ちょっと小賢しいドロテアちゃんが吹っ掛けてくる謎を素直で真面目に解こうとするフェルくんかわいいし、貴族x平民は良い。

そしてわたくし(ベレス)と最後までイチャイチャするのがーー
ヒューベルト

セテス目当てでこのゲームはじめたのに、結局はヒューベルトのベレスへの殺意(?)や国に対する献身的な一面に惚れました。
こういう恋愛に一番遠い人間が恋をすると一番可愛く見える。 それより支援会話Aの時点でマジでクソほどロマンチック。
比翼の鳥のようにだとか、マジでドキッとした。
そこで気づいたんですけど。主人公絡みの支援会話Aはロマンチックなものがあれば、ちょっとおふざけっぽい会話もあって面白い。
最後に大事な人を選ばないといけない時、マジで悩みました。

支援会話S見たかったリスト

アロイス
支援会話を見れば見るほど好きになった。元々おじさんが好きなのもあるけど、ただひたすら健気主人公を支えてくれててマジでほっこりするし。最初はジェラルトの子だからって言って、最後は護りにあたえするような人間だからっていう心の変化も素敵。マジで好きになった。 ただのダジャレオヤジと思ったのに。

イエリッツァ
想像以上にロマンチックでビックリ。最後に主人公に殺されて本望みたいで、これは完全の相思相愛だろう。それにそのあと勝手に主人公との対決を妄想しだして、勝手に興奮してるところが怖いしかわいい。こんなに怖くてかわいい人間は久しぶり。

ハンネマン
心の中で勝手にハネマン(跳満)先生って呼んでるの、わたくしだけ? 意外と変態な部分があって悪くなかった。「脱いでくれえ」とか叫んだり、面白い人でした。

シルヴァン
紅花ルートのせいかわからないけど、第一部では明るく典型のチャラ男ポジだけど、ある事件を機に、割とひたすら辛くて悲しい…そういうわけで思わず応援したくなった。

結論

そういうわけで、急展開が多すぎて説明が足りなくて、不完全燃焼な感じがするのが紅花ルートですね。
エーデルガルトのキャラクター自体は面白いし、デザインもくそかっこいいけど、物語自体がそれをちゃんと発揮できなかった気がする。
面白みもあってエンタメとしては最高だけど、エーデルガルトの動機や父の仇に関する主人公の思いの描写が足りないから深みがあんまりないです。
多分他のルートでもっと事情が知れたりするけど、紅花ルートを単体で見たら割と神ゲーとは言い難いし、おまけルートにしか見えない。
プレイヤーによるけど、胸くそ悪い話と思われても仕方がない…
批判ばっかりしてると思われるかもしれないですが、一応愛を込めて書きました。 プレイしてて楽しいですし、キャラクターたちが魅力的なのも本当で、戦略ゲーをやりたくなったのも事実。

だらだらと物語について個人的に思った感想や残念だったところを読んでくださってありがとうございます!
これからは青獅子ルートをやってから教団ルートをやりたいと思います。
紅花ルートでは度々ディミトリの過去が掘り出されたりするから気になってて見てみたいと思います。

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