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【三題話】こんにゃくゼリーよりも危険な食品

今回のランダム単語ガチャによるお題はこちら。また餅だと……?

Screenshot_2019-12-17 ランダム単語ガチャ

 もうすぐお正月ですが、お正月といえばお年寄りの方がをのどに詰まらせてお亡くなりになってしまう悲しい事故が毎年起きています。これに対して消費者庁がなるべく小さく切って食べてねと訴えたり、日本医師会が詰まったときの対処法を説明したりしています。またのどに詰まらせる事故といえば、数年前にこんにゃくゼリーも問題になっていました。

 こんにゃくゼリーをのどに詰まらせて死亡した事故が複数発生したことを受けて発売を禁止すべきという話になったのですが、その時に餅のほうが事故が起きているのに、なぜ餅がよくてこんにゃくゼリーがダメなのか、伝統的な食べ物だからといって見逃していいのか、という議論が起きていたことが思い出されます。

 では実際それぞれ事故がどれくらい起きているのでしょうか。議論になっていた2009年当時の食品安全委員会のレポート*を見てみました。
*総務省食品安全委員会「食品による窒息事故についてのリスク評価を行いました。」

 この中にある一億口(一口じゃなくて、一億口ですよ、一億口)食べた時あたりの窒息事故発生頻度の比較表よると、いろいろな計算方法がありながら、各食品ごとに以下の通りであるとのことです。
 餅              :6.8~7.6(件/一億口)
 ミニカップゼリー       :2.3~5.9
 飴(あめ)類         :1.0~2.7
 こんにゃく入りミニカップゼリー:0.14~0.33
 パ ン            :0.11~0.15

 こんにゃくゼリーの安全性、すごいですね。十億口食べて、やっと数回事故が起こると。十億口って、全国民が9個ずつ食べるくらいの量です。それだけ食べれば窒息事故くらい起きますよねと。飴に比べても1/10程度で、水準はパン同様。パンがなくなってもケーキがあるかもしれませんが、こんにゃくゼリーなくなったらどうしたらいいのか、マリー・アントワネットも頭を抱えそうです、っていうか抱えないか。抱えないです。はい。

 一方で思いのほかリスクが高いのがミニカップゼリー。食べるのが子供がメインということもあるかもしれませんが、こんにゃくゼリーの約20倍とう高さです。てっきりゼリーの中でもこんにゃくゼリーのほうがリスクが高いので攻撃されていたのかと思いきや、その逆だったのですね。数字だけ見たらなんならゼリーは全部こんにゃくゼリーにした方がいいんじゃないか、くらいの値です。

 最も事件が起きる可能性が高い餅が禁止される話にならないのは伝統的な食品で代替されるものがないからという話でしたが、こんにゃくゼリーよりリスクが高いミニカップゼリーや飴類が禁止されないのは、市場規模が大きくて禁止すると経済的なインパクトが大きいという理由なのかもしれませんね。そしてそのような理由で餅やゼリーが禁止されていないことで、結局現状に至ってもこんにゃくゼリーも禁止に至っていないということかもしれません。

 どっとはらい。

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