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2003年旅行記西安編

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2024年6月の記事一覧

玄奘三蔵と大雁塔:仏教の旅人とその遺産

唐代、中国の歴史の奥深くに輝く一人の高僧が大胆な旅に出ました。 玄奘玄奘三蔵。 彼は仏典を求め、未知の地を踏破しました。明代に創作された西遊記の三蔵法師のモデルとなったのが玄奘三蔵です。史実としての彼の冒険と遺産は、時代を超えて今もなお多くの人々の心を魅了し続けています。 玄奘三蔵進んだ道なき道玄奘三蔵の旅は、中国の歴史における重要な冒険譚です。当時は、現代のように整ったルートや豊富な情報はありませんでした。彼は盗賊が横行する道や、険しい山脈や砂漠地帯を越え、荒野を進み、定

唐代は中国人の心のふるさと:大雁塔

「中国人の心のふるさと」 唐代はよく中国人の心のふるさとといわれます。 長安はローマと並ぶ世界大都市。 多くの文化が融合し思想が生まれ、強大な国力を誇った中国史上最も輝かしい時代です。そんな唐代への憧れと誇りを掻き立てる場所ともいえるのが、西安市郊外にある大雁塔です。 ここは『西遊記』の三蔵法師のモデルとなった玄奘三蔵のために作られた場所です。1300年以上長い間、玄奘三蔵の業績を称えるだけでなく、仏教の重要な教義や経典を広めるための象徴的な建造物としての役割を果たして

西安のランドマーク、鐘楼と鼓楼

(2003年9月16日、友人と行った西安旅行の記録です) 西安市内でひときわ目を引くのが、市の中心にそびえる鐘楼です。かつてこの鐘楼の大きな鐘は、住民に時を知らせる重要な役割を果たしていました。 高さ36メートルのこの建物は、10〜12階建てのビルに匹敵する高さで、下を東西南北の4つの大通りが交差する、まさに西安のランドマークとなっています。 鐘楼:歴史と機能 鐘楼は1384年に明朝の初期に建てられました。ライトアップするとさらに、明代の壮麗な建築美が際立ちます。夜は

西安大清真寺、イスラムと漢文化の融合

西安大清真寺 西安のムスリムストリート(回民街)にある西安大清真寺は、中国で最も古いモスクの一つといわれており、その歴史は742年の唐の玄宗時代にまで遡るとされています。でも現在はまだ、それが確かであると言い切れるような、信ぴょう性の高い記録は見つかっていません。 現存する建築物は明代に再建されたものです。 一説には、イスラム教徒が政治経済両面で重要視された元代や、元代直前に建立されたのではないか、ともいわれています。当時の西安はシルクロードの重要な交易拠点であり、東方か

ムスリムストリート、西安の回民街を訪れて

西安の旧市街に位置する回民街は、イスラム教徒である回族のコミュニティが形成されたエリア。ここには多くの清真(ハラル)料理店やモスクがあり、イスラム教の文化が色濃く反映されています。 2003年に訪れた際は、中国人に対する個人旅行への規制が厳しく、外国人以外の観光客らしき人は殆どおらず、地元の人々の生活の場といった雰囲気が強く感じられる場所でした。 2003年9月15日月曜日 中国に住むイスラム教徒 中国には約2,300万人から3,000万人のイスラム教徒がいるとされて