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南京留学日記

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大学時代、多感な21歳〜22歳を南京で過ごしました。当時の日記を少しずつ転載していきます。
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#留学

「私たちは友達」

酷暑の南京で 南京は、武漢や重慶とともに中国の「三大かまど」の一つに数えられ、夏には40度を超える日々が当たり前です。私の宿舎にはクーラーも冷蔵庫もなく、天井のファンが回っていても暑さをしのげません。 この炎天下の中で困るのは、冷たい飲み物がどこにも売っていないことです。中国では冷たい飲み物を嫌うため、ペットボトル飲料が常温で並んでいます。コーラやファンタ、セブンアップなど、街中のスタンドには蛍光色の飲み物が陽光にギラギラと輝いています。 滞在先の中医薬大学の宿舎で知り

もう騙されない

「不要」(いりません)もう絶対に騙されるまい。 上海から南京への列車の中で、ずっと考えていました。 これからは何か余計な接触がある前に、すかさず言おう。そう心に決め、頭の中で呪文のように唱えました。 ちなみに「不用(プゥヨン)」という言い方もありますが、「いらんわ」みたいなちょっとぶっきらぼうなニュアンスになります。 20時ごろ、南京に到着案の定、列車の出口には荷物運びのおじさんやお兄さんたちが降りる乗客に群がってきました。 「もう油断すまい」 初めて訪れた上海駅で痛い

上海発、南京行き――驚きと教訓の3時間旅

巨大な上海駅空港から上海駅まではタクシーで約1時間。 近代的なビル群を抜け、百貨店やホテルが立ち並ぶ繁華街に入っていくタクシー。ぎっしり並んだタクシーの列と誘導係の大声には驚かされました。 私のように大荷物を抱えた客がタクシーからエスカレーターへと誘導されていきます。エスカレーターを上った先には上海駅前広場が広がっており、人、人、人の群れ。まるでお祭りのような賑わいだけど、その日はまだ平日で、これが週末や祝日、正月になるとどんな状況になるのだろう、と想像せずにはいられません

未知なる南京へ——インターネット黎明期のサバイバル準備

2003年、インターネットがまだ黎明期で、情報の海は今ほど豊かではありませんでした。 私は大学の単位交換留学制度を利用し、9月からの約4ヶ月間を、江蘇省南京市の南京大学で学ぶことが決まっていました。でも、そこでの生活に関する情報はほとんど得る手段がない状況でした。 南京がどんな場所なのか? 持って行くべきものは何なのか? 手に入る情報は圧倒的に不足していました。 あちこちの書店を巡り、有益な情報を探し求めましたが、一番まともな情報源は『地球の歩き方』くらいで、その南京市の