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フォートナイトは、なぜApple,Googleを提訴したのか?

人気ゲーム「フォートナイト」の開発元、米エピックゲームズが13日、スマートフォンのアプリ配信・課金システムが独占に当たるとして米アップルと米グーグルを提訴した。米IT大手の反競争的な行為への警戒感が高まるなか、アプリ開発企業が「アップル税」などと呼び問題にしてきた制度が法廷に持ち込まれる。
 問題視するのはアップルが「アップストア」、グーグルが「グーグルプレイ」として運営しているアプリ配信サービスだ。こうしたサービスにより規模が小さなアプリ開発企業でも自社の製品を世界で提供できるようになった。一方で「30%の手数料は高すぎる」といった不満が高まりアップル税などといった呼び方が広がった。

◯プラットフォームに載せるメリットはなにか?
 上記の論争(訴訟)は何が問題なのか?ゲームなどの有料アプリ(アプリ内課金を含む)を販売する場合、スマホの場合、アップルの「アップストア」かグーグルの「グーグルプレイ」に登録する必要があり、このアプリの売り上げの30%をそれぞれアップル、グーグルへ支払う必要がある。ショッピングモールに出店した店舗が、その売り上げの一部をモールへ支払うのと同じようなイメージだと思う。今回、なぜこれが問題となっているのか?それは、フォートナイトがプラットフォームから受け取るベネフィットがあまりないからだろう。そのため、エピック社は「エピック・ダイレクト・ペイメント」という自社マーケットプレイスの提供を始めた。プレーヤーは従来よりも安くキャラクターの見た目を変えることなどが可能になる

本来、アプリ開発元がプラットフォームに載せるメリットは、各OSで使えるようにするという目的以外に、各ストアに登録しておくと広告効果があるという副次的な目的もある。例えば、amazonに出品するのは、amazonには普段なかなかタッチポイントがなく、出会えない層の人の目に触れる機会が早出され、しかもレコメンドしてもらったり、ランキングにのることができれば一気に認知度が高まるというメリットがある。そのために、売り上げのいくらかを支払うのはありな気がする。

しかし、フォートナイトにとって「アップストア」、「グーグルプレイ」にその旨味は感じられない。なぜなら、フォートナイトはすでにバカ売れしているからだ。

2017年10月に「バトルロイヤル」モードをリリースから、2週間余りでプレイヤー数が1000万人を記録。
2018年6月にサービス開始からわずか1年弱でプレイヤー1億2500万を達成。Switch版『バトルロイヤル』が配信された際に、24時間で200万ダウンロードされた。2020年時点で世界の登録プレーヤーは3億5000万人を突破した。対戦競技「eスポーツ」の代表的な種目にもなり、19年の世界大会の賞金総額は3000万ドル(約32億円)に拡大。企業価値で米国5位の大型スタートアップ企業へと育っている。

つまり、フォートナイトにとって広告のお手伝いはもはや不要であり、単に「各スマホOSで使えること」のみがその目的となっているのだ。

逆に言うと、各スマホプラットフォーマーは、フォートナイト陣営には何も貢献していない。にも関わらず、30%の所場代をとっているということだろう。

しかしながら、最近ではエピックゲームズ社はプラットフォーマーとの争点を、30%の所場代ではなく、独自ストアの許容に絞ったようだ。「所場代は払います。その代わり、独自の店舗も許してね」ということだ。

まとめると、所場代ビジネスは永くは続かない。プラットフォーマーは、その場所で店を構える(商品やサービスを売る)ことによるメリットを提供し続ける必要があるのだ。

あぐらをかいて踏ん反り返っていては、気づいたら誰もいなくなる。

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