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ストックデールの逆説

1965年9月9日、北ベトナムへの軍事作戦中に、ストックデールは捕虜となった。そのあと1973年までの7年半、捕虜収容所でストックデールは戦争捕虜として扱われた。足に鉄の鎖を付けられ、ストックデールは日常的に拷問を受けた。1973年2月12日、ストックデールは戦争捕虜から解放された。肩は関節窩から捻じ曲げられ、拷問によって脚はボロボロにされ、背骨も折れていたが、彼はついに屈服しなかった。

ストックデールはベトナム戦争で7年半、戦争捕虜を経験し生還した。かの有名なジェームズ・C・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」において、コリンズは、ベトナムの捕虜収容所での経験についてストックデールに取材しており、ストックデールの以下のような言葉を記している。

「わたしは結末について確信を失うことはなかった。ここから出られるだけでなく、最後にはかならず勝利を収めて、この経験を人生の決定的な出来事にし、あれほど貴重な体験はなかったと言えるようにすると」

そして、どのような人物がそれをできなかったのかというコリンズの問いに対して、ストックデールは次のように答えた。

「楽観主義者だ。そう、クリスマスまでには出られると孝える人たちだ。クリスマスが近づき、終わる。そうすると、復活祭までには出られると考える。そして復活祭が近づき、終わる。つぎは感謝祭、そしてつぎはまたクリスマス。失望が重なって死んでいく。
 これはきわめて重要な教訓だ。最後にはかならず勝つという確信、これを失ってはいけない。だがこの確信と、それがどんなものであれ、自分がおかれている現実のなかでもっとも厳しい事実を直視する規律とを混同してはいけない」

コリンズはこの言葉を「ストックデールの逆説」と呼んだ。

まさにいま、このストックデールの逆説を教訓とするべきだと思う。最後には、人類がウィルスに必ず打ち克つという確信を持ちながら、今現在われわれが置かれている状況を直視し、その対策をしっかりとっていかなければならない。われわれが置かれている状況とは、毎日のように感染者が増え、医療現場が限界をむかえ、死者は止まることを知らない。そして、辛うじて感染を免れているものも、経済的な死と直面しているものもいる。これが現実だ。この問題にどう打ち克つのか?わからないけど、

絶対に人類は生き残る

と確信している。

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