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コロナ禍でのインドアパレル製造事情

今もまだ感染者が増加を続けているインド。
最近では感染者50万人を超え、このまま進むと7月末までには倍の100万人にまで膨れ上がりそうなペースだそうです。

3月の中旬にいち早くロックダウンを開始し、
延長に次ぐ延長により先日ロックダウンが段階的ではありますが解除されました。
がしかし、その解除の決断の裏には経済停滞を恐れ、経済再稼働を最優先した結果十分な押さえ込みができず、未だ第一波すら解決していない状況のようです。

長期のロックダウン中に輸出できなかった多大な貨物が
今も輸出港でコンテナ確保ができず船積み待ちの状態が続いています。
ある日系通関会社は港のコンテナ争奪戦に参加できず、
7月中旬以降もコンテナが十分に確保できないというケースも出てきているようです。
ただでさえ納期を守らないで定評のあるインドの製造事情に追い討ちをかけるべくコロナの影響が重なり、まだまだインドの製造および輸出事情は解決までまだまだ時間がかかりそうです。

がしかし、輸出を待つ貨物はまだまだ良い方です。

このコロナという未曾有の状況下、アジア諸国のサプライヤー工場へ製品を発注していた多くの海外ブランドや小売業は、コロナによる経済ていたの影響により、発注済みのオーダーを金銭的補償もなく一方的にキャンセルを強いているのです。

そういった影響から多くのサプライヤー工場は経営難からたくさんの工員を解雇または休業せざるを得ない状況となっています。
これは経済協力開発機構(OECD)「衣料・履物セクターにおける責任あるサプライチェーンのためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」が示すブランドが負う人権上の責任に反する行為にあたるようです。

コロナの影響により失業などの影響を受けている主なアジア諸国は以下の通り。

カンボジア:約5,000人
ミャンマー:約10,000人
ベトナム:約880,000人
バングラデシュ:約2,280,000人

もちろんインドも同じく多大な影響を受けているようです。

中国同様に世界でも有数の綿花生産国であるインド。
コロナの影響により綿製品の製造量が圧倒的に激減または製造が止まってしまっている状況の中、本来収穫された綿花はすぐ糸になり工場へと出荷されるはずが、供給が一気に止まってしまったことで収穫した綿花は野晒し状態になり、再度洗いを入れたりメンテナンスをしたとしても、
その価値は本来の半額まで暴落しているそうです。

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そんな影響で6月の時点でインド農村部の失業率は約25%。
労働者の4人に1人が仕事を失っている状況なのです。
このままでは満足に食事もできず餓死者も出てくるかもと危惧されています。

収穫した綿花が十分な価格で売ることができず、
今度は次期の綿花の種を仕入れる資金も十分に得られないという負のスパイラルが生まれようとしています。
これらはインドの綿花農家の生活への打撃はもちろん、アフターコロナにより景気回復をした時に、十分な綿花生産体制ができず、需要が大きく上回り、その結果綿花の高騰へと繋がることも十分に危惧されるであろう重要な問題でもあります。

こういった綿花農家を支援しようというプロジェクトもたくさん立ち上がろうとしているようです。

この負のスパイラルは確実に未来の私たちの生活やビジネスにも多大な影響を与えるでしょう。
そうならないためには今からできることを考えていく必要があると思います。

私たちが今インドでできること、今付き合いのあるサプライヤー工場と色々と向き合ってみたいと思います。