見出し画像

THE FEMINISTS(2)設立宣言:性役割の根絶

 こんばんは。夜のそらです。この記事は、ラディカルフェミニズム運動について調べたことをまとめている記事の一部で、The FeministsというNYの運動体についての記事の2つ目です。1つ目の以下の記事では、The Feministsという運動体の誕生から衰退までの流れ、そして運動体の基本思想を説明しました。

2つ目のこの記事では、1969年6月に正式に発足したThe Feministsの、設立文書を紹介します(2)。当初は全体で3つの記事を書く予定でしたが、次の記事で設立以降のThe Feministsの規約などを紹介し(3)、最後にそれらの簡単な解説を書くことにしました(4)。当初予定を変更して(2)と(3)を分割したのは、(2)の内容がもつ鋭さを考えてのことです。設立宣言・マニフェストに相当するこの部分(2)は、独立の文書として丁寧に読んでいただきたいと思い、その他の規約(3)から分離しました。わたしはアトキンスンの思想の全てに賛同しているわけではありませんが、この記事で翻訳した部分には、極めて重要なラディカルフェミニズムの思想が含まれていると確信しています。
 以下はThe Feministsの設立宣言の翻訳です。毎度のことですが、ファイアーストーンとコートが編集して発行した Notes from the second yearに収録されているバージョンから訳しました。ページ数で言うとp.114~115に相当します。その記事の全体のタイトルは「The Feminists: A Political Organization to Annihilate Sex Roles」で、2nd yearには1969年の6月=8月にかけて策定された、The Feministsの設立宣言や基本思想、細かい規約などが掲載されています。このうち、以下に訳出したのは1969年6月13日付で書かれた「歴史(History)」と、7月15日付で書かれた「概念的分析」の項目です。The Feministsの設立は6月13日ですので、この2つの文書は運動体にとっての実質的な設立宣言であり、また運動体としてのマニフェストの中核部分として理解できます。(Notes 2nd yearでも、この記事はManifestoesのジャンルにまとめられています)
 この文書には既存の邦訳はありません。相変わらずアトキンスンの英語は読みづらいのですが、ご興味のある方はぜひ原文もご確認ください。(誤訳も見つけたら教えていただけると幸いです。)以下、全訳となります。

この記事をTERF/SWERF(トランスジェンダー/セックスワーカーを差別・排斥するフェミニスト自認者)やアンチフェミ男性が読むことを禁止します。記事のリンクを共有することも禁止します。あなたのような愚かな人間には、わたしの文章は理解できません。すぐに立ち去りなさい。恥を知れ。

Ⅰ:歴史

 1968年10月17日ニューヨーク。フェミニストたちの一つのグループが、新たな種類のフェミニスト運動を始めることを決心した。ラディカル・フェミニズムである。私たちの大半は、女性たちの迫害に対する適切な解決を形にするための試みのなかで、この一年のあいだ組織の境界線〔=NOWの限界〕を超えてしまっていた。しかし終に明らかになったことは、私たちが模索してきたことが、女性たちに関する現在の色々な考えの総計〔=既存のアイディアの寄せ集め〕ではなく、フェミニズムにとってのみならず政治理論にとっても同様にまったく新たなアプローチだった、ということである。
 私たちは、私たちの発足の日である10月17日を移行期間としての名称とし、その名の下で活動することを決めた。その移行期間は、女性たちの階級としての状況についての分析の概要を描く準備が整うまで、またそうした階級的状況の絶滅のための私たちのプログラムを示す準備が整うまでのあいだで、とされていた。私たちはいまや、私たちの分析と、計画を示す用意を整えた。それゆえ、私たちは私たちの組織の結成をここに告げる。私たちはTHE FEMINISTSである。  1969年6月13日

Ⅰ.概念的分析

 男と女の間の階級の分離(separation)は、政治的な分断(division)である。その分断は、力ある役割を引き受ける人々にとっての利益のうちにある〔=分断はその人々に利益を与えている〕が、その利益と、力のない役割を割り当てられた人びとの利害は対立している。役割(言い換えれば階級)のシステムは、破壊されなければならない。
 役割のシステムは、社会の利益にとって必然的なものでもなければ、社会の利益に内在するものでもない。そのシステムは、【抑圧する者(the Oppressor)】の人間性を台無しにし、【抑圧される者(the Oppressed)】に人間性を認めない。力ある階級のメンバーたちは、自分自身の存在の重要性を大きくするために他者たちを簒奪し、その簒奪を、自分たち個々人の-創造性(self-creativity)に対する代替として用いている。かくして、力ない階級のメンバーは、その個々人の自己-創造性から遠ざけられる。この役割のシステムは、生きること(life)それ自体には何らの正当化の可能性も存在しないのだと信じる者たちに身を捧げることを正当化する、一つの企てなのである。
 女性たち(women)あるいは「女たち(females)」は、人間性から遠ざけられ、そうして自分たちが人間であることを拒まれた最初の階級であった。この排除を実行したのは男たちだが、根絶されなければならないのは、この男の役割、この【抑圧する者】の役割なのであって、必ずしも現在この役割を我がものとしている個々人を根絶やしにせずともよい。男たちは、この男の役割を唯一具体化するものとして、そして【抑圧する者】を最初に具体化するものとして女性たちの敵なのであり、そうして女性たちを【抑圧する者】なのである。女という役割(the female role)は、男という役割(male role)からの産物である。つまりどういうことかと言うと、女という役割は、男という役割によって課せられた恒久的な侵襲に抗する、女たちの自己防衛なのである。しかし女という役割は、男という役割に対する女の内的な適応(adjustment)なのだから、女という役割は〔も〕役割システムの安定を支えている。男という役割も、女という役割も、どちらも根絶されなければならないのである。
 明らかなのは、役割のシステムに加えて、こうした人間的に制約された定義を再び強化している制度があるなら、それは全て絶滅されなければならないということである。しかし私たちはまだ、人間の文化の中のどれだけ多くの形態がその役割のシステムにならって作られているのか、確信を持っていない。確かに言えることは、男と女の役割システムという前提の上に立ってデザインされていたり、そのシステムを再強化するためにデザインされていたりするような諸制度、たとえば家族(および家族の下位制度である結婚)やセックス、愛(love)は、すべて破壊されなければならないということである。こうした諸制度を根絶やしにするために、私たちはそうした制度の内側に働くダイナミクス(dynamics:力の働くメカニズム)を明確に理解していなければならない。こうしたダイナミクスを私たちが完全に理解するまで、私たちは絶滅されねばならないものの全てを知ることは知ることはできないし、私たちにとっての代替となる望ましい形態を知ることもできない。
 全ての政治的階級は、男-女という役割のシステムから生まれ育ってきたものであり、またその役割システムをモデルにしており、そのシステムや、そのシステムの根拠によって合理化されている。この最初の階級システムを基礎として、ひとたび新たな階級システムが構築されるや、新たな階級はそうして男-女システムを再強化するために用いられる。個人を人間性の外側に分類するためのそうした原理や、正当化の理屈。そうした原理や理屈を理解し、私たちの価値のシステムからそれらを根絶やしにすることが、全ての階級のメンバーにとって必然的なことである。
 抑圧の病理が完全に把握されうるのは、その最初の発展においてである。つまり、男-女の分割においてである。男-女システムが最初のものであるから、あらゆる抑圧された個人の自由は、男-女システムのあらゆる側面からあらゆる個人が自由になることにかかっている。性別の役割(sex role)そのものが、破壊されなければならない。これらの役割定義がわずかに部分的にでも残っている限り、抑圧の病理は続くし、それは自分自身を再び主張するようになるだろう。それは、社会を貫く新しい変種においてかもしれないし、これまでと同じ古くからのものかもしれないが、ともかく、抑圧はいつでも再び息を吹き返すだろう。
 加えて私たちは、他の人々の人間性の簒奪と否定をこととする現在の私たちのシステムに替わる、生きること(life)の自己正当化のための道徳的な代替案を提示しなければならない。私たちに必要なのは、社会のための新たな前提(premise)である。その前提とはすなわち、自分自身を定義するための言葉を創造することは、あらゆる個人が有する最も基本的な権利だということである。   1969年7月15日


ありがとうございます。もう1日頑張って生きれそう。
中の人はAセクシュアル でAジェンダー。虹色には輝かない、真っ暗闇のなかから呪いの言葉を吐きます。Aセクシュアリティに関わることについて書きますが、今はUSのラディカルフェミニズム運動を調べています。性愛規範と性別二元論を、わたしは絶対に許さない。(※更新終了しました)