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未経験者がファンドマネージャーになる方法

未経験者が、投資ファンドを運用する資産運用会社(アセットマネジメント会社)に転職して、ファンドマネージャー、アナリストになるパターンについて、自分の体験を踏まえて解説します。


まず最初にお断りしておくと、大前提として、この業界は経験者の間で回っているので、未経験者が「すぐに」ファンドマネージャーになることは、基本的にはあり得ません。


お金を預ける立場から考えると、経験の長い人でないと不安だから当然ですね。


「個人で株をやっていました」というのは、転職の際のアピールとしては、全く役に立ちません。むしろ逆効果の場合もあります。


有名な個人投資家である片山晃(あきら)さん(共著「勝つ投資 負けない投資」)のように、アルバイトで貯めた65万円を25億円にしたくらいの経験があるなら、ひふみ投信を運用するレオスキャピタルワークスに採用された事例もありますが、言うまでもなく例外です。

しかしながら、最初は誰もが未経験です。ファンドマネージャーは経験者の間でまわっているとはいえ、未経験者にも必ず、ファンドマネージャーになる道があります。

1. 未経験可の運用会社のジュニアアナリストが無いか相談する

ビズリーチに登録し、求人をこまめにみていると、


「ジュニアアナリスト募集 未経験可 将来はファンドマネージャーも視野」


という求人がたまに出てきます。いわゆる「ポテンシャル採用」です。

ファンドマネージャーになる一番の王道は、最初は、このようにバイサイドのジュニアアナリストとして、実際のファンドマネージャーの下で経験を重ねることです。


将来、自分がファンドマネージャーとなって、アナリストと銘柄の議論をするためにも、地道な業績モデルの作成や取材を経験するのは、当然重要なことです。


アナリストに応募する際には、証券アナリスト資格やCFAを取得していれば(少なくとも1次は合格)、より評価されるでしょう。


私の場合は、証券アナリスト一次資格に3科目合格した時点で履歴書に書き、「証券アナリスト一次合格済。二次試験受験予定」とアピールしていました。


それに加えて、先方企業がどういう人を求めているか、あらかじめ知っておくことが、非常に重要です。


採用側は、

「何にも染まっていない人を、ゼロから教育したい」

「とにかく株に興味のあるガッツのある若者をとりたい」

「医薬品業界で開発していたなど、専門知識がある人がいい」

「できれば女性がいい」

「年齢は35歳まで」

など、いくつか条件を決めています。


「未経験可」の場合、大抵の企業は「他社のやり方に染まっていない人を自社で育成したい」と考えています。


その場合、想定される候補者は、「何でも吸収する素直な努力家」タイプであり、「僕はスキルがあるので、株のトレードで○万円稼ぎました」と話すのは、逆効果となるリスクがあります。


企業によって採用したい人のイメージ像が違うので、あらかじめ転職エージェントと相談して、

「先方企業は、どのような人を求めているのか」

「前回落ちた人は、どういう理由でだめだったのか」

などの情報収集をしておくと、優位に立てます。

アナリストになれば、自分のアイデアがファンドに反映される

多くの人は、最初はファンドマネージャーに憧れますが、1つ1つの銘柄について詳しいのは、アナリストの方です。


運用会社によっては、各担当セクター内の銘柄の売り買いの判断を、事実上アナリストが決めている場合もあります。ファンドマネージャー兼アナリストの場合もあります。


つまり、華やかそうに見えるファンドマネージャーの仕事ですが、事実上の銘柄判断はアナリストが行っており、ファンドマネージャーは全体のウェイトバランスやリスク調整、ファンドのマーケティングに集中する場合もあるのです。


「勝てば自分の成果、負ければアナリストの推奨のせいにする」ファンドマネージャーもいます。それくらい、ファンドパフォーマンスは、アナリストの銘柄推奨の腕にかかっています。


アナリストになって実力をつければ、ファンドマネージャーは、「あいつの推奨する銘柄なら、買っておくか」と、そのままファンドに組み入れてくれることが多くなります。


つまり、アナリストになれば、銘柄選択という点においては、ファンドマネージャーと同様の仕事が可能になります。


未経験者は、まずはアナリストを目指してみましょう。

2. 運用部門のある大手金融機関に総合職として転職する

前述のように、アセットマネジメント会社のジュニアアナリストに応募しようとしても、募集をしていないかもしれません。


そこで、信託銀行や保険会社などの大手金融機関の総合職としての転職を目指すのも、一つのやり方です。彼らは調査部門や運用部門を抱えており、中途採用を募集することがあります。

このような国内大手金融機関への転職に強いのは、 リクルートエージェントなどの、いわゆる大手の日系転職エージェントです。


大手金融機関では、「尖がった才能ある人材」というより、どちらかというと、金融機関の総合職として、「真面目さ」、「協調性」、「礼儀正しさ」があって、かつ「運用の仕事に強い情熱がある」人を求める傾向があり、未経験者にも門戸を開いていることがあります。


そういうチャンスがあれば、採用のハードルは低くはないですが、チャレンジする価値はあると思います。


勿論、最初からファンドマネージャーになれることはなく、良くてもアナリストの見習いから入るでしょう。又は、資金決済、発注などのなどのミドル・バックオフィス業務、或いは最初は支店での営業を経験するもしれません。


しかし、それは喜んで受け入れるべきであり、いくら運用をしたいとはいえ、未経験なのに「運用以外やる気ありません」というスタンスでは、ゼネラリストを重んじる大手金融機関では、採用されにくいでしょう。


希望以外の部署に配属されたとしても、大手運用機関は、数年ごとに部署を異動させて人材育成する方針のため、いつか希望の部署に配属されるチャンスがあります。


海外拠点では運用関連業務を行っていることも多いので、海外勤務を希望するのも一つのやり方です。


また、国内外のMBA取得制度や、運用会社への短期派遣制度がある場合は、積極的に応募すべきです。


このようなステップで、海外経験から外国運用部に配属されたり、アナリストの見習い業務から徐々にセクターを担当するアナリストへの道が開けます。

3. セルサイドのジュニアアナリストになる

今は人員削減で人数も減っているかもしれませんが、セルサイドアナリストのジュニアに応募するのも、一つの入り口だと思います。


未経験でもやる気と一定の事務スキルがあればOKという場合があります。エクセルのデータ処理等の最低限の知識と、業界を学びたい熱意、セルサイドアナリストのハードな仕事に耐えられる忍耐強さが必要だと思います。


そこから、トップアナリストのレベル感、企業への取材方法、業績モデルの作成方法など、多くの貴重なことを学ぶことができます。それは将来転職しても、財産となるでしょう。


そして、少しずつ中小型銘柄などをカバーし、徐々にバイサイドの顧客の前で推奨を披露するようになるでしょう。そこまでいけば、セルサイドアナリストから、バイサイドへ転職する例は、周りでも割と見かけます。

事業会社からセルサイドアナリストへ転職して成功した事例

一昔前の、医薬品セクターのトップアナリストは、医薬品会社で長年新薬開発に携わっていた方でした。


セルサイドアナリストの中には、

「半導体製造装置会社で勤めていて、トップアナリストになった方」

「建設会社に勤めていて、ITセクターのアナリストになった方」


などが実際にいます。


つまり、「事業会社」から「証券会社のアナリスト」への転職です。


セルサイドアナリストは激務ですが、年収は、通常はバイサイドよりも高いです。


そのままセルサイドを続けてもいいですし、セルサイドである程度のアナリストになれば、バイサイドへの転職は容易です。年齢が40歳以上でも、十分可能なようです。


「バイサイドからセルサイドへの転職」は大変ですが、「セルサイドからバイサイドへの転職」は、よくあるパターンです。特にヘッジファンドでは、そのような事例があります。

4. 証券会社の営業マンになる

証券会社の営業マンから、資産運用会社を目指すのも一つのパターンです。

株に興味があって証券会社の営業マンに転職

証券アナリスト資格をとって、社内のリサーチ部門(アナリスト)に異動

運用会社に転職

というパターンがあります。


また、
証券営業マンになり、機関投資家営業を担当

顧客であるヘッジファンドに自分の推奨銘柄を情報提供

ヘッジファンドに認められ、スカウトされた

という人も、レアケースですが実際にいます。この場合は、そのアイデアやパフォーマンスが、相当優れたものである必要があります。


いずれの場合も、ポイントとしては、セルサイドアナリストとして、または金法(金融法人営業)として、機関投資家相手の仕事をした、ことがきっかけとなっているということです。


証券会社で、個人投資家相手にリテール営業を何年続けても、バイサイド側にまわる道がなかなか開けないでしょう。


証券営業の仕事は、今も昔も大変だと聞きますが、証券会社の数も多いですし、離職率が高いので大量採用するため、門戸は比較的広いです。中途採用もあります。

5. 海外MBAをとって、ヘッジファンドに応募する

年齢が若く、お金と時間に余裕があるならば、海外MBAを取得して、ヘッジファンドにダイレクトに応募するパターンもあります。


MBAで学んだ理論は、株式市場の実践でたいして役に立ちません。それでも、面接にたどり着くための武器になるでしょう。


日本にはヘッジファンドは少ないですが、欧米やシンガポール、香港には会社が多くあります。海外のヘッジファンドは、MBAなど学歴を重視している会社も多いです。

この場合の接点としては様々だと思いますが、ブティック型の外資系転職エージェントに相談するか、Linkedinでアピールしてエージェントからメッセージが届いたり、知人の紹介というケースがあると思います。

<出典> fundmanager-job.net

アセマネ業界への転職におすすめのエージェントと活用のコツはこちら。

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