僕の中の一番好きな野球選手

小学校1年生くらいの頃、野球のルールもよくわかっていなかった。
それでも、僕らの年代は野球が最大の娯楽だった。
全国ネットは巨人が放送されていたので、必然ジャイアンツファンが全国区だった。巨人の星、侍ジャイアンツ、漫画も挙って巨人が主役。

そんな中、親戚の家でナイター中継をしていた。
その球場は甲子園。カクテルライトの夜空を高々と白いボールが舞い上がり、スタンドに落ちるまでに物凄く長い時間がかかった。
そんなホームランは見たことが無かった。
このバッターこそが田淵幸一だった。

その瞬間から僕は阪神ファンではなくて、田淵ファンになった。
バットのグリップエンドには『22』とマジックで書いた。
当時、プロ野球のユニフォームパジャマがあったが、当然のことながら田淵のユニフォームパジャマだった。
バッティングも彼のモノマネをして打ったものだ。彼を追いかけて、阪神ファンから西武ファン、そしてダイエーファンにもなった。

彼の野球には花があったと思うが、野球人生にはもう少し花を添えてあげたいと思う。人柄が良過ぎるのだろうか。
時々そんなことを思って寂しくなる。

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