Asaya

とりあえず過去に書いた小説や戯曲をパソコンの中に眠らせておくのも忍びないのでアップして…

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とりあえず過去に書いた小説や戯曲をパソコンの中に眠らせておくのも忍びないのでアップしてこうかなと思ってます。 日記部分は半分は創作で日記風小説として書けたらいいなと思ってたりします。なんのストーリーもないので気まぐれです。

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    過去に書いた舞台劇や映像、わけあってボツになったもの、とりあえず書いたもの全部です

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    過去に書いた短いお話を、ポチポチとアップしていきます

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    とりあえず過去に書いた小説(らしきもの)をあげてみます

最近の記事

【短編戯曲】雪やどり

登場人物   あずさ たくま  ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■  雪が降っている。  あずさが軒先に走り込んでくる。  やむ気配のない雪を見つめている。    そこへ、同じように雪宿りをするためにたくまが走り込んでくる。   たくま 「やみそうにないですね」 あずさ 「え、ええ・・・」 たくま 「でも。今夜にはやむそうですよ」 あずさ 「そうですか。早くやめばいいのに」    あずさ、空を見つめる。   たくま 「寒くないです

    • 百年の月夜

       その国は十年にも渡る内乱の最中であった。田畑は荒れ、民は飢え、男たちは戦に駆り出され、女は奴隷として売り買いされていた。  長年の中で幾たびかの小康状態が繰り返されていたが、内乱が終わる気配はなかった。他国の仲裁も役には立たず、お互いにどちらかの陣営が全滅するまでこの戦いは続くのだと息巻いていた。  厭世観から民たちは働くことを諦め、老人は自ら死を選び、子供たちは他国への脱出しか考えていなかった。脱出に失敗し捕まった子供たちは、見せしめと言わんばかりに大した訓練も受けさせず

      • 少年の海

        風が吹いていた。    旅人はツバ広の帽子を目深に被り目を細めた。風の中に小さな砂粒が混じり、かすかに潮の香りがした。 海が近い。  しばらく歩みを進めると、やがて目の前に青く広い海原が広がっているのが見えた。風に煽られ、白波がたっている。 海を見るのはどれくらい振りだろう。  ぬかるみに足をとられるジャングルや、乾かない朝露で一日中湿った林の中や、岩石に囲まれた山を登ってきた旅人は、遙か彼方まで広がった大自然に思わず大きく息を吐いた。  旅人の足は波打ち際に向かった。乾いた

        • 【未発表シナリオ】中野区人情物語「タコのはっちゃん 男一匹人情語り ~麗しの 白い天使は 結婚詐欺師!?~」

          登場人物   八兵衛:元ホームレスのたこ焼き屋 一斎:町にある古い寺の住職 浜勝:八兵衛のたこ焼き屋の師匠 牧田静香:近くに住む女子高生   久米達也:自称親分の息子。詐欺グループのリーダー 山田:久米の仲間 蒲谷:久米の仲間   ヤス:ホームレス時代の先輩 宮代レイカ:謎の女性 ■町中   何かに追われて走っているレイカ。 時折振り返ると二人の男が彼女を追いかけている。 見るからにガラの悪そうな二人組である。 振り切るように横道を入り、さらに入り組んだ道を走る。 やがて、

        【短編戯曲】雪やどり

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        記事

          「タコのはっちゃん 男一匹人情語り」まえがき

          「中野区を舞台に人情映画を作りたい」  僕にそう話したのは、長年の一緒に仕事をしてきた映画監督のO氏だった。映画監督と言っても一般映画を撮ったことはなく、映画の助監督やメイキング、ラインプロデューサー(制作)をメインにしている人で、物語はほとんど短編映画ばかりである。僕は何本かO氏の短編映画のシナリオを書いたり、撮影する企業VPの構成台本などで共に仕事をしていた。  ある日、O氏から呼ばれて言われたのが上記のセリフだ。  当時O氏は中野区での仕事をいくつかこなしており、区役

          「タコのはっちゃん 男一匹人情語り」まえがき

          僕達の距離

          澄み切った冬の空 去年より星の数が増えたみたい 冷め切った僕たちの時代 去年より君の姿が遠くなったみたい 距離とは無関係に 星をつなげて 星座を作るのに 僕たちの距離は 遠すぎて 繋がり合うことができない   よどみきった町の明かり 去年より人の数が減ったみたい 枯れ始めた僕たちの時代 去年より君の笑顔が少なくなったみたい 気持ちなんて無関係に みんな他人を 煽ることに精一杯 僕たちの距離は 戻れない? 信じ合うことは出来ない?   だけどまだ思ってる ほんの少しでも 手を伸

          僕達の距離

          ?月 ?日 LAST DAY

          「文書の解読は以上であります。この内容から察するにこの水成型惑星T-KG8542-14は時間の流れから逸脱したものと考えられます」 「原因は?」 「現在調査中であります」 「この男性以外に同じような体験をしたと思われる人間は見つかったのかね?」 「はい。現在この星の中で12名が見つかっております。うち8名が自殺しておりました」 「残りの4名は?」 「はい。4名のうち2名は錯乱した模様で、1名は部屋の壁中に自分の名前を書き続けており、もう1名は銃火器によって大量の人間を射殺して

          ?月 ?日 LAST DAY

          10月? 2日?(水??)

          久しぶりの日記だ。 10月2日と日付では書いたが、私の感覚では3か月以上、壁に記したバツ印は100個を超えた。つまり100日以上ということだ。しかし世界はまだ10月2日の午前4時42分。前回の日記から3分しか経過していない。   その間、私は私と同じ運命を持った人間を探すために旅に出た。車で出掛けたが途中信号待ちの車に先を阻まれ、移動方法を自転車に変えた。 自転車で、都内から近県まで回りつくした。 同じ境遇の人間には出会えなかった。       みんな うご いて いない

          10月? 2日?(水??)

          10月1日(火)

          昨日はこの日記を書いたあと布団をかぶって寝た。 誰かのうなっているような声で目が覚めた。蒲団から顔を出すと、妻がおそろしくゆっくりした動作で私に近づいてくる。その姿がどこかで見た光景に似ていると思った。 映画で見たゾンビだ。緩慢な動きで人間を果てしなく追いかけてくるあのゾンビだ。私は悲鳴をあげ家の外に飛び出した。 町はゾンビだらけだった。帰宅途中のサラリーマンの格好をしたゾンビ、手を握り合って笑い合っているゾンビ、学生服のゾンビ、携帯電話で喋りながら歩いているゾンビ・・・  

          10月1日(火)

          9月30日(月)

          いつの間にか寝てしまった。 起きたら午前2時だった。 これから朝までの4時間、私にとっては12時間ということになるのか。 これからの出来事は逐一この日記に書いていこうと思う。いつかこの現象が元通りになった時、そして私が笑って話せるときがきた時、沙織に私の体験したこの不思議な出来事を聞かせてやろう。きっと信じないに違いない。それでもいい、私が考えた作り話として聞かせてもいい。沙織は本が好きだ。きっとこの話も気に入ってくれるに違い・・・   私は何を書いているのだ。この現象の原因

          9月30日(月)

          9月29日(日)?

          寝られない。 さっき日記を放棄して横になった。しばらくして起きた。 30分以上たった気がしたのに、時計をみるとわずか10分。時計の秒針を見つめる。なかなか動かない。私の感覚では3秒ごとに実際の時計では1秒。つまり私は3倍の速さで動いていることになる。いや周りが私の三分の一遅く動いているということか? わからない。 スローモーションのような声で妻が私を呼んでいる。 構うな、私に構うな・・・ 思わず大声で怒鳴る。 沙織が泣いている。テープレコーダーを遅回しにしたような声

          9月29日(日)?

          9月29日(日)

          夜中一時に目が覚める。わずか四時間しか寝ていないのに熟睡感がある。しかし今からずっと起きているわけにはいかない。妻を起こさないようにキッチンへ行き、日本酒を飲む。無理やり三合ほど飲みフラフラ状態でもう一度布団にもぐりこむ。こんな状態がずっと続くのだろうか。不安にさいなまれる。やがて再び眠りにつく。   起きると朝六時だった。すでに妻は起きており今日の弁当を作っていた。キッチンに置いたままにしてあったコップから匂いを嗅ぎ取ったのか、夜に酒を飲んだ事を聞かれる。寝つけなかったと話

          9月29日(日)

          9月28日(土)

          四時起床。どうもおかしい。日ごとに朝が早い。 いや、今日はそれだけではない。どうもよくわからないことが続いた一日だった。 順を追って書いていく。 朝食を食べている時、妻にせっかちに食べすぎると言われた。自分はそんなつもりはまったくないのだが、妻がトーストにバターを塗っている途中に、すでに私は一枚食べきってしまった。もっとゆっくり食べればいいのに、と言われても、私は普段通りの手順でバターを塗り、焦る必要もなく食べているだけなのだ。   今日はショッピングセンターへ買い物に行く約

          9月28日(土)

          9月27日(金)

           今日は午前五時に目が覚めた。早起きにも程があると思い苦笑しながら二度寝を試みるが寝られない。昨日の酒のせいかもしれない。身体の調子がいい時に程よい酒は熟睡をもたらすのだろう。  郵便受けから朝刊を抜き、布団の中で読む。隅から隅までたっぷり読んでようやく六時。起床時間だ。沙織の笑顔に癒され、ゆっくりと朝食を食べる朝の二時間が至福の時だと感じる。  そう言えばラッキーなことがあった。いつも通りの時間に家を出たのに、なぜか乗った電車がいつもより一本早かった。たった一本違うだけで、

          9月27日(金)

          9月26日(木)

          最近とみに朝が早い。今日も六時には目が覚めた。かといって寝足りないわけでもない。しっかり熟睡しての朝六時だ。気持ちがいい。九月後半になっても、この時間の明け方は空が明るい。 今朝も妻(注1)と同時に目が覚めた。もう妻は私(注2)の早起きに驚かなくなった。少し遅れて娘(注3)の沙織が起きてくる。沙織も私の早起きに最初は目を丸くしていたが、今では可愛い笑顔を朝一番で私に向けてくる。小学校に入ってもう半年近くになる。友達もずいぶん出来たらしい。この子のために長生きをしなければと思う

          9月26日(木)

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          ≪最重要機密報告書≫ 『先ニ発見サレタ水成型惑星T-KG8542-14 (自ラハ タイヨウケイダイサンワクセイ「チキュウ」ト呼称)ニツイテ 新タナ発見ヲ報告ス コノ惑星ニ勃発シタ 非常ニ理解不能ナ現象ヲ解明スル第一級ノ重要書類トシテ 翻訳解析作業ガ待タレテイタモノデアル 特ニ重要ト考エラレテイタ 最後ノ七日間ヲ ココニ記ス』

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