稽古場日誌 #05

「明後日の方向」のnoteにようこそ!『赤目』演出助手の植田です。
『赤目』稽古場(振り返り)日誌、今日は対面稽古の話、特に「明後日の方向」の創作過程とその現場の話をしようと思います。(微ネタバレ)

ちなみに今回の対面稽古を行った稽古場、「アトリエクロイハコ」は、『赤目』の美術・袴田長武さんが運営されています。
とても素敵な稽古場でした!
近くに美味しいケーキ屋さんがあるらしいのですが行き損ねたので次回を虎視眈々と狙っています……🍰

10月のワークショップから始まった約2ヶ月のオンライン期間を経て、やっと始まった2週間の対面稽古。私自身は座組全員と初対面だったのでどきどきしながら稽古場に向かいました。
対面稽古始まってすぐに思ったことを正直に書きますね。

めっちゃみんな自由だな!
てかはっちゃけすぎでは?
本当に2週間で我々小屋入りするの????マジで?????



という心の声はさておき、今回の稽古場について素敵だと思ったことが2つありました。一つはとても自由で、とりあえずやってみる精神だということ。もう一つはとてもフラットな環境であること。

自由な稽古場

今回の『赤目』、対面稽古は2週間しかないし、戯曲は2時間45分もあるしなかなか手強い相手で、お世辞にも時間に余裕があるとは言えません。そんな中でも、稽古場では役者さんたちが、とりあえずなんでもやってみる、広げるだけ広げてみるという姿勢で、全力で実験しまくっていました。モブキャラでシーンに突入してみる、色んなパターンの演技を試してみる、新聞紙をかぶってみる、効果音を出してみる……。
演出のせりさんが「生れてはじめて、稽古の時に俳優さんたちに『ちょっとおとなしくしてくんないかな』って思っている」と言うほど(笑)。
制約の多いオンラインでずっとやってきた分、一気に爆発した面もあると思いますが、それにしてもびっくりするくらい自由度の高い稽古場でした。

「実験」は演技だけではなく、小道具や効果音などでも。
例えば新聞紙。公演を見てくださった方はご存知の通り、『赤目』では新聞紙や紙類が大活躍しています。対面稽古が始まる前に共有されていた小道具の方針は「紙とスマホだけを使う、紙で色々作ったら楽しいんじゃないか」のみ。そこから新聞紙で衣装を作ってみたり小道具を作ったり……。稽古場には大量の新聞紙がボンと用意されているだけで、そこから役者さんたちがいろんなものを作り出していく様は、まさに明後日の方向が目指している「実験」だったんじゃないかと思います。

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フラットな環境

もう一つは、非常にフラットな創作環境であったところです。
今回は座組の世代も幅広く、初対面同士の人も少なからずいるため、通常なら多少距離が出来てしまったり、お互いに遠慮してしまうことが発生しうる状況だと思います。しかし、『赤目』の稽古場はお互いをリスペクトしながら、フラットに意見を言い合ったり、提案したりできる環境でした(これは役者間のみならず、スタッフさんも含めて)。

ちなみに演出助手・植田は、制作助手の谷川さんについで一番年下かつ経験も少ない人間なのですが(つまり稽古場で大体一番年下)、そんな私も「こんなこと言ってもいいのかな」などと心配せずに意見を言うことのできる環境でした。

なぜそんな環境ができていたのか、明確にこれと言った答えはまだ見つかりません(そんな簡単にわかったら苦労しませんね)。演出や主宰がただ「フラットにやろう」というだけで実現できるものではないと思います。
ただ、私自身が年下という立場から思うのは、年上で経験も自分以上にある皆さんが、想像以上に「マジか、それやって怒られないんだ」みたいなことをやっているのを見ているからじゃないかと思います。せりさんの言葉を借りると「年上がバカをやるからいい」(私が言ったわけじゃないですからね!)。
逆に演出助手のヒザイさんは、若手が萎縮せずに思ったことをどんどん言っているのもフラットな環境作りに貢献しているのでは、と仰っていました。

どちらが先かは鶏と卵ですが、双方向に良い影響を及ぼし合って、フラットな稽古場ができあがったのではと思います。
そして何よりもお互いにリスペクトを持っていたことが、一番大事なんじゃないかな。

ざっくりとしたまとめですが、フラットな環境だから、安心してのびのびと実験できる、という好循環が上手くできあがったという点において、『赤目』は成功だったのではないでしょうか。

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最近のnoteは長くなりますね……!

「明後日の方向」が目指している創作環境とそのための現場での取り組みはこちら👇
今回のnoteに出てきた「安心」というキーワードにも通ずるテーマ「ハラスメント対策」について、制作助手の谷川さんが書いてくれていますのでぜひ。

「明後日の方向」の活動の今後などにも興味を持っていただけましたら、ぜひこのnoteとTwitterのフォローもよろしくお願いします。次回更新もお楽しみに〜!


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