それを滑稽だと君は笑うか

「こんな事は馬鹿げてる……時々もしかするとそうなのかもなって笑えるんです」


ぼやけた視界の中で、霧のように隣の彼は揺らいで見えた。ふらふらゆらゆら。ずっと見ていると酔ってしまいそうな感じがしたので、俺は視線を逃げるように逸らす。


「自分でも滑稽に見えてしまうのだから。きっと他人の目からみたらより、滑稽に映っているんでしょうね」

「そうじゃない奴だっているんじゃないかな」

「例えば、貴方とか?」

「例えば、俺とか」

「それは同情からくるものですか?」

「だったら俺って最悪だよね」

「………」

「俺は、骸っていろいろ凄いなって思ってるよ?」

「何ですか、いきなり」

「例えばその、頭の分け目とか」

「殴りますよ?」

「まあ、それは半分冗談でさ」

「半分は本気なんですね」

「だけど、何て言うかな。同情なんて上から目線で、お前の事を見たくないとは思ってたりはする」

「………」

「復讐ってなるほど俺は誰かを憎んだ事がないから、お前の言う事が時々分からない時があるんだ」

「そうですか」

「でも、だから近づきたくなるんだよ」

「………」

「まあ、骸は俺の事嫌いかも知れないけどさ?」


それでも、歩み寄るのは俺の自由だ。


「だから俺は笑わないよ。そんな汚いもので骸の事を馬鹿にしたくないんだ」

「………」


はあ……。

溜め息をつく隣の彼。

呆れられたかな、なんて考えてたら横から骸の手が伸びてきて頭をわしゃわしゃやられた。ちょっと乱暴だから、俺は犬じゃないんだぞ‼️って文句を言ってやろうかと思ったけど止めた。


「骸が笑ってる」

「僕だって笑いますよ」

「耳赤いよ?」


そう指摘すると、今度は頭を鷲掴みされて左右にぐわんぐわん回される。「わーわーわぁ!」とわざと叫んで見れば、骸は眉間に皺を寄せる。でも、不機嫌そうに見えてそれがただの照れ隠しだと分かるから。だから思わず俺も照れた。


「……君って、実は頭が良いんじゃないですか?」

「え。実は俺って頭良いの?」

「ああ、やっぱり馬鹿です」

「ちょっと‼️」


骸のばーか。

ばーかと言った方が馬鹿です。

ばーかばーか。

なら二倍君は馬鹿ですね。


意地の悪そうな笑顔が憎たらしいくせに、どうしてだろう。

こんな年相応なやり取りが、君と出来るのが嬉しくてたまらないんだ。

例えば君が俺を許せなくても、それでも仕方ない。それでもいいから、生きていて欲しい。生き続けて欲しい。


マフィアが嫌いな君。


だけど、


いつか友達になれたらいいなって。

俺は願いたいんだ。


※家庭教師ヒットマンREBORN二次創作
綱吉と骸。

骸は頭の良い子だから、自分に迷う事もあるんじゃないかなと。その隣に綱吉がいてくれたらいいのにな、ってお話が書きたくなった。

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