君が眠れるように瞼にキスをする

※家庭教師ヒットマンREBORN二次創作
高校生位の雲雀と綱吉。


BL的な表現があります、苦手な方はご注意下さい。


突き放しているようで、それでも雲雀なりに綱吉を大切にしていて。

だけど肝心の綱吉には、まるで伝わっていない話。

雲雀の大切にしたいは、永久に伝わらなくて。

拒絶されたと思い込む綱吉は、とことん傷付く。


うわぁ、意味が解らない。

※匂わす程度ですが、BL的表現が含まれます。

 苦手な方はご注意下さい。




※※※※※※※※※※


ぎしり。


ベッドのスプリングが鳴く音で、雲雀は目を覚ました。

真っ暗な部屋の中、目の前にあるのは琥珀色の瞳。



「何してるの?」

「眠れなくて」


雲雀の上に覆い被さる男は無表情で。

何を考えているのか、さっぱり解らない。


「とりあえず、どきなよ」

「嫌です」

「沢田?」

「眠れないんですよ」


届くようで、まるで届かない言葉。

二人の会話が噛み合わないのは、いつもの事で。

それはきっと、二人の心の距離を表しているのでしょう。


「ねえ、雲雀さん」

「何?」

「寒いです」

「そう」

「ねえ、雲雀さん」

「何?」

「温めてくれませんか?」

「………」

「眠れないんです」


彼の言う「温める」の意味が分かって、雲雀は何だか悲しくなった。

その意味が分かってしまう自分自身が、雲雀は悲しくて仕方がない。


こういう時、彼が求めるのはいつだって体だけだ。


心なんかは置いてけぼりで。だから綱吉が雲雀を求めても、雲雀は必ず拒絶する事にしていた。


「チンチクリンでも、沢田もやっぱり男なんだね」

「え?」

「君はずいぶんと簡単に求めてくる。だけどね、それを受け入れる方は結構苦痛なんだよ」

「………」

「体の痛みじゃない。……心が悲しいと言う事」


ぽたり。


雲雀の頬に雫が落ちてくる。

それは雲雀のものではなくて、目の前の男の涙だ。


綱吉は雲雀の前で泣く事をしない。

雲雀が弱い人間を嫌う事を知っているから、だから泣いたりなんかしてこなかった。


「雲雀さんは、苦痛ですか?」

「うん」

「俺と触れ合うのは、本当に?」

「うん」

「そんなに悲しいの?」

「悲しいよ」

「……そうだったんだ」


雲雀は手を伸ばし、綱吉の涙を拭ってやる。

拒絶した癖に、どうして優しくするんだと。綱吉は雲雀に腹を立てた。

受け入れてくれないならば、どうか最後まで。

お願いだから、そんなに優しく触れたり等しないで欲しかった。


綱吉は頬に雲雀の体温を感じながら、ゆっくり瞳を閉じた。


「雲雀さんの手は、あったかいなぁ」

「そう?」

「うん」

「沢田は少し熱いね」

「涙のせいかな?」

「そうだろうね」

「ねえ雲雀さん」

「何?」

「キスしてもいいですか?」

「キスで終わるのかよ」

「終わりますよ」

「ちゃんと寝るかい?」

「寝ます」

「……うん。まあ、ならいいよ」


そう言って瞼を閉じた雲雀に、綱吉はゆっくりと影を落とす。

重なる唇は、どうしてこんなに温かいのだろうか。


『酷い男だな。

本当に酷い男だ。

こんな残酷な仕打ちをして、それでも貴方を。


それでも君を。


幼稚な己は諦める事が出来ない。


貴方を。

君を。


こんなにも好きなのは、自分達が馬鹿な子供だから』


無知で愚かな二人は、静かにキスをする。

その一瞬だけでも、自分を見てくれるなら。


どうか君が

眠れますように。






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